投資情報部　鈴木　英之

4月の振り返り
2018年4月、日経平均株価の月末終値は22,467円87銭となり、前月末比4.7%の上昇となりました。月次ベースとしては3ヵ月ぶりの上昇です。
3/22（木）にトランプ大統領が中国からの輸入へ600億ドルの関税を課す大統領令に署名して以降、米中が歩み寄りの姿勢を見せるなど、世界的な貿易戦争への懸念は小康状態となりました。また、朝鮮半島では、緊張緩和が進み、4/27（金）には南北首脳により、非核化と休戦を目指す「板門店宣言」が署名されました。一方、米長期金利の上昇を受け、外為市場では円安・ドル高が進み、東京株式市場にとって追い風となりました。
3月までの米国市場は軟調で、外為市場でも一時、1ドル104円台まで円高・ドル安が進むなど、市場環境は不安定でした。多くの上場企業（3月決算企業）は、この頃に次年度の計画を練り始めるため、不安定な市場環境は、企業の慎重な業績予想につながりやすかったと考えられます。すなわち、株式市場では「2019年3月期の会社計画では、減益または微増益の慎重な予想を公表してくる企業が多いかもしれない」という不安が強く、それが上値を押さえてきた大きな要因であると考えられます。
しかし、足元では外為市場で円安・ドル高が進んでいることもあり、企業業績への不安が後退し、決算発表の進捗につれ、株価は持ち直した形になっています。

物色動向
「SBI証券でのはじめての取引」では4月、すかいらーく（3197）が順位を上げて首位となりました。もともと、株主優待や配当で個人投資家に人気の高い銘柄ですが、足元では月次売上高が回復傾向にあるようです。
コインチェックを買収したマネックスグループ（8698）は新しくランクインとなり、第2位になりました。「レバレッジを使ったはじめての信用取引」では、そのマネックスグループが首位となり、「レバレッジ・インデックス」は第2位でした。数少ない4月決算銘柄で、株主優待を実施している伊藤園（2593）は第3位でした。
「SBI証券の売買代金ランキング」は引き続き「レバレッジ・インデックス」が売り・買いともに首位をキープしました。「SBI証券のREIT人気ランキング」についても、首位は前月と同じ「インヴィンシブル投資法人　投資証券」でしたが、4月末が決算のREITも複数、上位にランクインしました。

5月相場の見通し
株式市場では「Sell　in　May」という格言があります。一般的には「5月に株を売れ」と理解されています。正確には「Sell in May, and go away; don't come back until St Leger day」という格言です。直訳すれば「5月に（株を）売ってどこかに行っていなさい。そして、セントレジャーの日までは戻ってこないように」となります。ちなみに「セントレジャー」とは9月に英国のアスコット競馬場で開催される3歳馬の大レースで、今年は9/15（土）の予定です。「5月に株を売り、9月に戻ってきた方が良い」という意味に捉えられます。

6月から9月にかけて、株価が下がりやすい傾向にあるため、5月が売りタイミングになるという意味です。過去30年間における日経平均株価の月別平均騰落率をみると確かに、6月から9月にかけ、パフォーマンスは悪くなる傾向にあり、この格言は日本市場でも適用できるかもしれません。この時期は「夏枯れ」の時期を含んでおり、海外投資家の市場参加も減りやすい時期になります。そのため、少しの悪材料でも大きく下げやすい季節と考えられます。

ただ、注意も必要です。この時期の成績の悪さは、平成バブル崩壊後の1990年や1991年、ITバブル崩壊後で持ち合い解消・代行返上売りが増えた2001年・2002年の成績が足を引っ張った結果であるとも言えるのです。逆に商いが薄くなりやすい分、好材料が出た時は大きく動きやすく、1995年や2003年は大幅高となっています。株式市場に伝えられている格言であり、その教訓は十分に参考にすべきですが、現実の投資環境をみながら、冷静に対応していくべきなのでしょう。