投資調査部　鈴木　英之

10月の日経平均株価の月末終値は17,425円02銭となり、9月末終値16,449円84銭に対して5.9%の上昇となりました。9月の2.6%の下落から反発した形になりました。米国が年内に利上げする可能性がより確実視され、米長期金利が上昇し、円安・ドル高が進んだことが追い風になりました。米大統領選挙の趨勢に大きな影響を与えるテレビ討論会がクリントン氏優位のうちに終わったことや、日米で決算発表が比較的順調に推移したことも好感されました。複数の追い風に乗る形で、日経平均株価は10/11（火）に17,000円を回復し、10/20（木）には9/5（月）の高値17,156円を回復し、月末には高値17,613円の回復が意識される水準になっています。

個別銘柄の物色動向をみると、10月の当社売買代金ランキング（買い）では、株価大幅リバウンドしたブランジスタ （6176）が6位に、フィンテック活用した新決済サービスへの思惑で人気化したメタップス （6172）が8位に、新規上場した九州旅客鉄道 （9142）が10位に新規ランクインしました。新型ゲーム機「ニンテンドー・スイッチ」のニュースで株価が大きくぶれた任天堂 （7974）が相変わらず1位でした。
はじめてお取引された銘柄（現物）では、新規上場した九州旅客鉄道 （9142）が3位に、日産のゴーン氏が会長に就任して急騰した三菱自動車工業 （7211）が5位に、株価がリバウンドした小野薬品工業 （4528）が9位に、プレステ4VRを発売したソニー （6758）が10位に新規にランクインしています。
また、はじめてお取引された銘柄（信用）では、9月優待権利確定銘柄がランク外となり、代わりに10月優待権利確定銘柄のパーク２４ （4666）が3位にランクインしています。その他は値動きの大きかった銘柄がランクインしていました。
ETF/ETN人気ランキングでは、上位10銘柄の中で、日経平均株価に関する銘柄が5銘柄と人気でした。

11月は前半に重要日程が集中します。このうち、米上場企業の決算発表は主要企業については峠を越しましたが、我が国上場企業の決算発表は第2週が佳境で、当面は毎日目が離せない状況が続きそうです。11/8（火）は我が国の株式市場で時価総額が最大のトヨタ（7203）が決算発表を迎え、実質的には決算発表が佳境を迎えることになります。また、決算発表社数ベースでは、532社の発表が予定されている11/11（金）が「最後のヤマ場」になります。
11/8（火）は米国で大統領選挙が投票となり、11/9（水）にかけて開票が進むことになります。選挙は終わるまで何が起こるかわからないことを、我々は英国の国民投票で学びました。ここにきてクリントン氏の私的メール問題が再燃の兆しを見せ、トランプ氏に巻き返しの動きがあり、こちらも選挙当日まで目の離せない状況が続きそうです。どちらが、大統領に当選するかにより、日経平均株価の水準も大きく変わってきそうです。クリントン氏が当選した場合、政策の継続が期待できることから株価は反発に転じそうですが、トランプ氏が当選した場合は短期的な波乱が避けられないとみられます。ただ、月の中旬以降は、どちらが大統領に当選するにせよ「お手並み拝見」のムードが強まり、市場の関心は米国の金融政策や「業績」を尺度とした日本株の銘柄選別に移るとみられます。