投資調査部　鈴木　英之

2015年4月の東京株式市場では、日経平均株価が4月23日に2000年4月14日以来の高値となる20,252円12銭を付けるまでは上昇基調となりました。過剰流動性を背景に、ドイツや中国などでも株価が上昇しており、世界的な株高の影響が大きかったようです。公的資金による株式購入拡大への期待も根強い一方で、海外投資家の買い越しも拡大し、需給環境も概ね良好でした。ただ、日銀短観で示されたように、企業の先行き見通しは慎重で、決算発表が本格化し始めた下旬以降は、売りが優勢になりました。海外株式市場が下落に転じたことも逆風になりました。結局、月末の日経平均株価終値は19,520円01銭となり、前月末（19,206円99銭）比1.6%の上昇となりました。

個別銘柄の物色動向は、日経平均株価が15年振りに2万円を回復し大型株を中心に堅調だったことから、個人投資家も大型株を買う動きが強まりました。売買代金ランキングでは3大メガバンクが揃って順位を上げ、三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループ（8306）が2位、みずほフィナンシャルグループ（8411）が6位、三井住友フィナンシャルグループ（8316）が8位となりました。日経平均株価寄与度の最も高いユニクロを運営するファーストリテイリング（9983）も10位に新規ランクインしています。また、業績好転のソニー（6758）が5位にランクインしている反面、3月まで賑わったオリエンタルランド（4661）やシリコンスタジオ（3907）はランク外に順位を落としました。
はじめてお取引された銘柄（現物）では、3月末に1:4の株式分割を行い、買いやすくなったオリエンタルランド（4661）が2位にランクアップ、4月権利確定の株主優待を実施しているメガネスーパー（3318）が6位に新規ランクインしています。また、堅調相場が続くセブン銀行（8410）は5位に順位を上げています。はじめてお取引された銘柄（信用）では、4月権利確定の株主優待実施銘柄をつなぎ売りするお客様が多く、テンポスバスターズ（2751）が1位に、伊藤園（2593）が4位に新規ランクインしています。

5月の東京株式市場は、4月下旬以降の調整ムードを引き継ぎ、中旬頃までは軟調な展開が続く可能性がありそうです。決算発表における企業の慎重見通しへの警戒感も強く、それが一巡する15日までは、買い持ち高を増やしにくい展開となりそうです。ギリシャ問題が紛糾する可能性を含め、海外からの悪材料にも注意が必要です。ただ、20日に予定されている我が国のGDP（1月〜3月期）発表前後から、株式市場に追い風が強まる可能性も想定されます。決算発表終了を契機に、株価の割高感が後退する形で、日経平均が再度上値をトライする場面もありそうです。