投資調査部　鈴木　英之

6月の株式相場は波乱の展開となりました。上・中旬は日経平均株価12連騰（5/15〜6/1）の反動や、ギリシャ懸念に加え、強い米雇用統計を受け、利上げ前倒し懸念が台頭した米国株が下げたことが逆風になりました。海外投資家の上半期末に伴うポジション調整も重なり、日経平均株価は18日に一時20,000円の大台を割り込みました。
それでも、その後は景気・企業業績への拡大期待や、一時的にギリシャ懸念が後退したことで、日経平均株価は24日に一時20,952円とほぼ18年半ぶりの高値水準まで上昇しました。しかし、29日には前日比596円安と、今年最大の下げを記録し、再び下落に転じました。ユーロ圏やＩＭＦ（国際通貨基金）が、ギリシャ支援の期限延長を拒否したため、ギリシャのデフォルト（債務不履行）やユーロ圏離脱の懸念が強まったためです。結局、6月末の日経平均は前月末比1.6%下落し、20,235円73銭となりました。

個別銘柄の物色動向は、大きく動いた日経平均株価を反映して、売買代金ランキングでは寄与度の高いファーストリテイリング（9983）が10位にランクイン、ソフトバンク（9984）も順位を上げました。1位は相変わらず日経レバレッジ投信（1570）でしたが、9位に日経ダブルインバース投信（1357）も新規ランクインしました。また、東京電力（9501）が2位にランクを上げ、8位にクルーズ（2138）が新規ランクインしました。
はじめてお取引された銘柄（現物）では、痩身ジム「ライザップ」が様々な話題を呼んだ健康コーポレーション（2928）が8位から1位に順位を上げています。株式分割で買いやすくなったオリエンタルランド（4661）が8位に、また東証1部または2部への市場変更の申請を行ったガンホー・オンライン・エンターテイメント （3765）が10位に新規ランクインしています。また、はじめてお取引された銘柄（信用）では、6月に株主優待の権利確定日があったコカ・コーラウエスト（2579）が、1位に新規ランクインしています。

7月相場は、引き続きギリシャ問題が逆風となりそうです。7/5のギリシャでの国民投票に続き、ギリシャによるECB（欧州中銀）への返済期限到来（7/20）等の重要日程があり、再び混乱を及ぼす可能性があります。ただし、7月下旬以降に2015年4〜6月期の決算発表が本格化することを控え、株式市場の関心は次第に企業業績に集まってくるとみられます。そのため、月後半の日経平均株価は堅調な推移が期待されます。日銀短観（6月調査）で企業を取り巻く業況改善が確認されたことや、想定為替レートよりも対ドルやユーロで円安が進んだことを受け、輸出企業の業績が上振れるとみられ、企業業績拡大が期待できそうです。