投資調査部　鈴木　英之

12月の日経平均株価は、5日（月）に一時18,227円の月内安値を付けました。米雇用統計で賃金が減少するなど弱さが見られたことや、イタリアの国民投票で改憲反対派が勝利し、欧州の混迷が懸念されたこと等が要因です。それでも、トランプ次期大統領の経済対策への期待は根強く、円安・ドル高もあり、日経平均株価は6日（火）から16日（金）にかけて9営業日続伸しました。米国時間14日（水）まで開催のFOMC（米連邦公開市場委員会）で想定通り利上げが実施され、15日（木）を境に米金利上昇や円安・ドル高の勢いは止まりましたが、上昇の余韻が残る中で21日（水）には一時19,592円と月内高値を記録しました。しかし、冬休みが迫り、海外投資家の買いが細る中で下旬は売り先行の展開となり、30日（金）には一時19,000円割れまで下落しました。それでもその日の終値では19,114円と何とか19,000円を維持し、月間では4.4%の上昇となりました。

個別銘柄の物色動向をみると、12月の当社売買代金ランキング（買い）では、トランプラリーが継続し、日経平均株価が19,000円の大台に乗せたことから、ＮＥＸＴ　ＦＵＮＤＳ　日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信（1570）が11月に引き続き1位となりましたが、逆張り派が11月に大幅に買い越したＮＥＸＴ　ＦＵＮＤＳ　日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信（1357）が9位にランクダウンしています。スマホゲームアプリ「スーパーマリオラン」の配信で、株価が一時30,000円を回復し、その後急落した任天堂（7974）が、2位にランクアップしています。また、原子力発電所関連で特別損失の可能性の報道によって株価が急落した東芝（6502）が7位に新規ランクインしました。
はじめてお取引された銘柄（現物）では、トランプラリーで大型株が大きく値上がりしたことから、上場インデックスファンドＴＯＰＩＸ（1308）が2位にランクアップしています。課題だったテレビ事業での新たな成長戦略を期待して大きく株価が上昇したシャープ（6753）や、12月に株主優待権利確定の日本マクドナルドホールディングス（2702）が新規にランクインしています。
また、はじめてお取引された銘柄（信用）では、12月に権利確定日がある銘柄が人気となっており、1位に日本マクドナルドホールディングス（2702）、2位にキリンホールディングス（2503）、3位にすかいらーく（3197）、4位にヒューリック （3003）が新規ランクインしています。原子力発電所関連で特別損失の可能性の報道によって株価が急落した東芝（6502）が5位に新規ランクインしています。
ETF/ETN人気ランキングでは、上位10銘柄の中で、日経平均株価に関する銘柄が先月に引き続き5銘柄と人気でした。

1月の株式相場も堅調に推移しそうです。大発会となった1/4（水）に日経平均株価は479円高と大幅高しましたが、2017年の先高観を反映している可能性があります。過去10年の統計では、大発会の日が下落となった4回のうち3回は月足もマイナスとなりました。しかし、大発会が上昇となった6回の「1月」は平均騰落率が±0%でした。アノマリー的には波乱が避けられる可能性が大きくなっています。ただ、1/20（金）にトランプ大統領が就任し、好材料が出尽くしになる可能性には要注意です。12月までで勢いがなくなった米金利上昇、円安の動きが再び強まるかどうかにも注意です。ただ、想定外の円安を受け、下旬以降本格化する10〜12月期の決算発表は前向きな材料になりやすく、株価の下支え材料になると考えられます。