投資調査部　鈴木　英之

8月末の日経平均株価終値は19,646円24銭と前月末比1.4%の下落となり、7月に続き2ヵ月連続の下落となってしまいました。地政学的リスクの高まりに加え、米国政治の不透明感や外為市場における円高圧力の強まりなど、悪材料には事欠かなかった印象です。
8/8（火）に米国で「北朝鮮がミサイル搭載可能な核弾頭の開発に成功」との分析が紹介され、8/9（水）の日経平均株価は257円30銭安となり、それまでのボックス相場を下放れてしまいました。その後も人種問題を巡りトランプ政権への不信が強まる中で株価は低迷。8/29（火）早朝に北朝鮮が日本上空を通過するミサイル発射実験を強行し、その日の日経平均株価は一時19,280円02銭を付け、そこが8月の安値を付けました。米利上げ観測が後退する中で月を通じ、米長期金利は低下傾向となり、円高圧力が蓄積する形になりました。

SBI証券に証券総合口座開設後、はじめてご購入された方が多かった銘柄人気ランキングではイオン（8267）、すかいらーく（3197）、吉野家（9861）など株主優待で人気の銘柄が上位になりました。これらの銘柄はいずれも8月に権利確定の銘柄となっています。上位にランクされた日産自動車（7201）は自動車株の中でも予想配当利回りの高い銘柄になっています。また、はじめて信用でお取引された方が多かった銘柄人気ランキングでも8月に株主優待銘柄の権利が確定している銘柄が多く、つなぎ売りを利用されている方も増えているように思われます。なお、ＳＢＩ証券の売買代金ランキング（売り・買い）では任天堂が引き続き人気ですが、ＫLab（3656）やルック（8029）など、決算発表等を機に人気化する銘柄も見受けられました。SBI証券のETF/ETN人気ランキングでは、「レバレッジ・インデックス」や「ダブルインバース」の他、「VIX短期先物指数」も上位になりました。8月相場は前半こそもみ合いだったものの、後半は下放れ、ボラティリティは高まる形になりました。

9月相場は日経平均株価が一時、8/29（火）の安値を下回るなど波乱のスタートになっています。引き続き北朝鮮情勢が懸念されている他、相次ぐハリケーンの襲来で米国経済への悪影響が懸念され、外為市場で一時10ヵ月ぶりの円高・ドル安水準となる1ドル107円台を付けたことが逆風となっています。ただ、米債務上限が12月まで凍結されるなど、不透明要因の一部は後退しつつあります。日経平均株価の予想PERは一時13.69倍まで低下しましたが、これは「アベノミクス相場」スタート直前の13.60倍にほぼ並ぶ水準であり、市場心理的には「陰の極」にあるとみられます。北朝鮮情勢が落ち着きを取り戻せば、日経平均株価が戻りを試す場面もありそうです。