投資情報部　鈴木　英之

11月の振り返り
11月末の日経平均株価終値は22,351円06銭となり、前月末比430円60銭（2.0%）の上昇となりました。月次ベースでは10月にマイナス9.1%と大きく下げた後の「反発」となりました。
東京株式市場では10月下旬以降、3月決算企業の「中間決算」の発表が本格化し、強弱対立する内容に一喜一憂する展開になっていました。それでも、11/5（月）にソフトバンクグループ、11/6（火）にトヨタといった主力企業の発表が無難に終了。さらに米国時間11/6（火）に実施された米中間選挙の大勢が日本時間11/7（水）に判明し、市場予想通りの結果に落ち着きました。市場は「重要イベント通過」の形となり、リスク許容度が回復する中、日経平均株価は11/8（木）に22,486円92銭まで上昇しました。
しかし、この頃から、米アップル社のスマートフォンである「iPhone」について販売不振の可能性を心配する声が増え始めたこと、それと並行して半導体・電子部品株に売りが広がったことも逆風となりました。日経平均株価は11/21（水）終値が21,507円54銭と、当月の安値を付けました。
ただ、この日の日経平均株価の予想PERは12.13倍であり、3/23（金）の12.22倍を下回り年初来最低水準となりました。さらに、アベノミクス相場では最低水準を更新したことになります。日経平均株価はここを起点に反発に転じ、11/22（木）〜12/3（月）は7営業日連続高となりました。
11/23（金）に「大阪万博」が決定したこと、また同じ日の米国（ブラックフライデー）でオンラインの小売売上高が前年同月比で大幅に増加したこと等が、市場心理を明るくした面もありそうです。パウエルFRB（米連邦準備制度理事会）議長が11/28（水）の講演で、現在の政策金利が「中立金利」に近いとハト派的な発言を行ったことで、米利上げ停止観測が強まり、米国株が追い風を受けたことも影響したと考えられます。

ランキングコメント
「SBI証券でのはじめての取引」の現物株部門では11月、ソフトバンクグループ（9984）が首位となりました。月初めに当面の安値を形成したことや12日の取引終了後に通信子会社の新規上場を発表するなど、再び関心が高まりました。予想配当利回りが高い日本たばこ産業（2914）も決算期末接近で順位を上げました。
「レバレッジを使ったはじめての信用取引」ではトップが「日経平均レバレッジ・インデックス」（1570）、第2位がソフトバンクグループという構図に変化はありませんでした。
「SBI証券の売買代金ランキング」についても、売り買いともに、第1位と第2位はこれと同じでした。また「SBI証券のETF/ETN人気ランキング」では第1位「日経平均レバレッジ・インデックス」、第2位「日経平均ダブルインバース・インデックス」という順位に変化はありませんでした。
なお、「SBI証券のREIT人気ランキング」では首位の「インヴィンシブル投資法人」に変化はありませんでしたが、第2位には「大江戸温泉リート投資法人」がランクアップしてまいりました。

12月の展望
12月の最初の取引となる12/3（月）に、日経平均株価終値は7営業日連続高の223円70銭高の22,574円76銭と、100日移動平均線22,551円18銭をわずかに上回ってきました。この水準は11/8（木）に跳ね返された「鬼門」でしたが、またもこの水準では売り優勢に転じることになります。続く12/4（火）の日経平均株価は、前日比538円71銭安と8営業日ぶり反落となり、7連騰となった11/22（木）〜12/3（月）の上昇幅1,067円の約半分を打ち消す格好となりました。その後も12/5（水）に116円72銭安、12/6（木）に417円71銭安と波乱の展開になっています。
12/1（土）の米中首脳会談で、米中貿易摩擦が「一時休戦」となり、翌週明けの東京株式市場では短期的に買い安心感が強まりました。しかし、米中貿易摩擦については引き続き注意が必要との見方が強まり、買いは長続きしませんでした。12/6(木)には中国の通信機器大手華為技術（ファーウェイ）副会長（創業者の娘）がカナダで逮捕され、米中貿易戦争が再び強まるとの懸念から、日経平均株価は大幅安となりました。
12月相場は波乱のスタートになったと考えられます。12/5（水）現在、日経平均株価の予想EPSは約1,785円で、それに本年の最低予想PER12.13倍（11/21）をかけると21,652円と計算されます。12/6（木）の終値はそれを割り込んでいます