投資情報部　鈴木　英之

＜足元の株式相場の動き＞
3月末の日経平均株価は18,917円01銭となり、前月末比2,225円95銭（10.5%）の下落となりました。これで1月（1.9%下落）、2月（8.9%下落）に続き、3ヵ月連続の下落になりました。新型コロナウイルスの感染拡大地域が中国・アジアから欧米に移り、感染拡大ペースも加速しました。そうした中、主要国が相次いで非常事態宣言を発令し、人の交流が途絶えたことに加え、生産・サービス活動もストップとなり、世界経済への甚大な影響が懸念されるに至りました。また、産油国の協調減産体制が崩れ、原油先物相場が急落したことも波乱を助長する形になりました。
なお、3月のNYダウは前月末比13.7%の下落となっています。新型コロナウイルスの感染拡大は特に米国において著しく、2月末に62人程度だった同国の感染者数は3/31（火）時点で16万人超まで拡大しています。NYダウは3/23（月）には一時18,213.65ドルまで下落し、2/12（水）の取引時間中に付けた最高値からの下落率は38%に達しました。米国株式市場は下落率をみる限り「弱気相場」に突入した形で、世界の株式市場はリスクオフの局面となっています。

＜3月に人気を集めた銘柄の「なぜ」、話題のポイントは＞
「SBI証券でのはじめての取引」では日本航空（9201）がトップとなりました。第5位のANAホールディングス（9202）同様、株主優待で投資家の人気が高い銘柄ですが、新型コロナウイルスの感染拡大で世界のヒトの移動が止まり、株価が深押ししたことで値ごろ感が強まったためとみられます。相場の下落トレンドを生かすべく日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信（1357）も人気を集めました。
レバレッジを使ったはじめての信用取引では日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信（1357）が順位を上げてトップになりました。日経平均株価は２月末から一時23%弱下りましたが、この銘柄は最大で60％上昇しています。下げ相場の流れを生かした投資家が利益をあげました。
ＳＢＩ証券の売買代金ランキング（売り・買い）は、第1位は日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信（1570）で前月と変わりませんでした。第2位は、日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信（1357）で前月の第3位からひとつ順位を上げ、ソフトバンクグループ（9984）は前月の第2位から第3位に順位を落としました。上位の組み合わせに変化はありません。
SBI証券のETF/ETN人気ランキングでは、日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信（1357）が、引き続きトップになりました。新型コロナウイルスの感染拡大で波乱相場を予想した投資家が多かったという結果です。
SBI証券のREIT人気ランキングでは第1位のインヴィンシブル投資法人（8963）、第2位のジャパン・ホテル・リート投資法人（8985）の上位に変化はありませんでした。

＜当面の相場見通し・ポイント＞
日経平均株価は3/19（木）に一時、16,358円19銭まで下げ、1/17（金）の取引時間中に付けた高値24,115円95銭からの下落率は32.2%に達しました。日経平均株価のPBR（株価純資産倍率）は一時0.82倍まで低下し、リーマンショック時の最低水準である0.81倍に接近しました。日経平均株価は3月に1番底を形成した可能性がありそうです。
主要国の多くで非常事態宣言が発令されて新型コロナウイルス感染拡大を抑えるための取り組みが本格化したこと、米国が2兆ドル規模の財政支出を決めるなど各国の経済対策が本格化したこと、FRB（米連邦準備制度理事会）が実質ゼロ金利を復活させ、無制限の量的緩和に踏み切り、世界の中央銀行が金融緩和姿勢を強め始めたことなど、事態を打開する動きも本格化しつつあります。
我が国でも緊急事態宣言と100兆円規模の経済対策の発動を同時に行い、経済の悪化を最低限にとどめながら、新型コロナウイルスの恐怖からの脱出が試みられています。アビガンなど他の病気の治療薬を新型コロナウイルスの治療に転用するための治験も進みつつあります。4月はそれらの効果が期待される1ヵ月になりそうです。