投資情報部　鈴木　英之

＜12月相場の振り返り＞
日経平均株価の終値は12月、23,656円62銭となり、月足ベースでは1.6%の上昇となりました。11月の1.6%に続き4ヵ月連続の上昇で、月終値ベースでは2018年の9月以来の高値水準になりました。
米製造業の景況感を示す指標が市場の予想を下回ったこともあり、月はじめは波乱気味の展開となりました。しかし、世界の主要中央銀行が緩和的金融政策を継続する中、米雇用統計（11月）が予想を上回り、早々と切り返す展開となりました。米国時間の12日に、米中通商協議が第1弾の合意に達したと報じられ、事実、米国による中国からの輸入に関する関税強化が見送られ、米中通商問題はとりあえず休戦状態となりました。これを受けて中・下旬の米国株式市場はジリ高の展開になり、日本株もその追い風を受ける形になりました。
ただ、第3週以降は、目先最大のリスク要因が後退したことを受け、年末休暇が本格化し、薄商い状態となりました。特に23日以降は6営業日連続で東証1部売買代金が1.5兆円を下回る状態になりました。

＜1月相場の展望＞
2019年までの過去10年、大発会の日の騰落は5勝5敗であり、過去の相場が示す事前の期待値としては「中立状態」にありました。ただ、大発会の日の日経平均株価の騰落は2016年582円安、2017年479円高、2018年741円高、2019年452円安と近年は乱高下する傾向にありました。そうした中、6日（月）大発会の日は、日経平均株価が前年末比451円安となり、過去の経験則通り波乱のスタートとなりました。
米国がイラクにおいて、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官（イランの実質ナンバー２と紹介されています）をドローン攻撃により暗殺し、米国とイランとの間の緊張が高まったことが原因です。事実、イランによる米軍への報復攻撃が観測され、8日の日経平均株価は一時624円安する場面がありました。
1月相場は、こうした中東地域における地政学的リスクの高まりを横目にみながら、米中通商協議や日米の企業業績（2019年10〜12月期決算）へ注意を払わねばならないため、株価の乱高下に十分注意が必要な月になりそうです。

＜ランキングコメント＞
「SBI証券ではじめてお取引された銘柄人気ランキング」（現物）では、ネットで取引をする投資家になじみの深いネット企業や、株主還元（配当・株主優待等）に積極的な企業が上位にランクされる傾向があります。12月のトップ企業は主力銘柄の一角を占めながら予想配当利回りが高い日本たばこ産業（2914）がトップとなりました。第2位は前月と同順位の日産自動車（7201）がランクインしました。昨年大晦日に発覚したカルロス・ゴーン前会長の逃亡もあり、株価低迷に拍車がかかっていますが、影響が本格化するであろう1月の順位が気になる所です。第3位にはオリックス（8591）が入りました。3月に権利確定の株主優待・高配当利回り期待銘柄ですが、株価上昇により、過去2年間で商いの多い価格帯に入ってきていることが影響しているかもしれません。
レバレッジを使ったはじめての信用取引では、上位銘柄10社中8社が12月決算銘柄であり、権利確定に絡んだつなぎ売り需要の増大が影響しました。SBI証券の売買代金ランキングでは、売り買いともに、日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信（1570）、任天堂（7974）、ソフトバンクグループ（9984）という上位３社を占める銘柄は変わりませんでした。SBI証券のETF/ETN人気ランキングも上位は人気順ともに変動がありませんでした。さらに、SBI証券のREIT人気ランキングについても、上位2社に変動はありませんでした。