投資情報部　鈴木　英之

9月の振り返り
日経平均株価は9月、第1週（9/2〜9/6）は前週比495円20銭（2.4%）高、第2週（9/9〜9/13）は同788円72銭（3.7%）高、第3週（9/17〜9/20）は同90円80銭（0.4%）高と3週間続伸となりました。米中通商協議での合意成立に向けた前向きな報道が目立つ中、米国株の上昇や円安・ドル高等がプラス材料になりました。第4週（9/24〜9/27）は米中通商協議への楽観論の後退に加え、米国でトランプ大統領弾劾を目指す民主党の動きが強まるなど悪材料が目立ち、日経平均株価は200円19銭（0.9%）安と4週間ぶりに反落しました。ただ、権利・配当取りの動きや、配当落ち分を先物で前もって手当てする年金資金の買い等もあり、下支えられました。結局9月末の日経平均株価は前月末比1,051円47銭（5.1%）高となりました。

ランキングコメント
「SBI証券ではじめてお取引された銘柄人気ランキング」では日産自動車（7201）がトップでした。9月末時点でも予想配当利回りが5.9%と高く、配当取りを狙った買いが増えたとみられます。手厚い株主優待と高めの配当利回りが人気のオリックス（8591）も第3位となり、上位を維持しました。ZOZO（3092）の公開買い付けを決めたZホールディングス（4689　旧ヤフー）も第2位と人気でした。
「はじめての信用取引」では株主優待銘柄で9月が権利確定月となるヤマダ電機（9831）がトップになりました。スマホ向けゲーム「ドラゴンクエストウォーク」の配信を9/12（木）に開始したコロプラ（3668）が第3位と人気でした。9/26（木）から正式にサービスを始めたスマートフォン向けゲーム「ラブライブ！スクールアイドルフェスティバル　ＡＬＬ　ＳＴＡＲＳ」の話題等もあり、KLab（3656）が第5位になるなど、ゲーム関連株が人気の月でありました。
「SBI証券の売買代金ランキング」では売り買いともに、日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(1570)がトップになりました。売り買いともに第2位・第3位グループにはソフトバンクグループ（9984）、任天堂（7974）がランクイン。上位の銘柄は安定的と言えますが、信用取引で上位のコロプラ（3668）が売り買いともに第4位に入ってきたことが特徴的でした。
「SBI証券のETF/ETN人気ランキング」では、第1位が日経平均ダブルインバース・インデックス連動型投信(1357)、第2位が同レバレッジ・インデックス連動型上場投信(1570)、と前月の第1位と第2位が入れ替わりましたが、第9位まで前月と同じ顔ぶれでした。
「SBI証券のREIT人気ランキング」ではトップは前月と同じ「インヴィンシブル投資法人　投資証券(8963) 、第2位も前月同様「投資法人みらい　投資証券(3476)」となりました。

10月の展望
10月以降はどうなるのでしょうか。米中通商摩擦の長期化に加え消費税率引き上げの影響が出て、日本経済は正念場を迎えるように見えます。しかし逆に、以下の3つの理由から日本株は上昇するとの見方もあります。
第1に、消費増税は既定路線であり、前もって準備され、悪影響を緩和させる様々な対策が盛り込まれているためです。食品の軽減税率導入はその一例であり、家計を下支えしそうです。そもそも、消費増税を4月でなく、10月にしたのは「妙手」であったかもしれません。年度で考えれば、2019年度はその中に、駆け込み需要と反動減を抱え込む形になり、年度単位での変動が緩和されると考えられます。
第2に、日本経済の足元の状況は警戒された程、悪くないと考えられるためです。10/1（火）に発表された日銀短観（2019年9月調査）では大企業の業況判断指数が市場予想を上回りました。中長期的にみた米長期金利の低下余地は限定的とみられ、為替相場も安定化の兆しをみせています。日米通商協議が合意し、自動車関税や円高圧力が強まるリスクが後退したことで、企業の設備投資意欲が下支えされるとみられます。
第3に、配当等でみて、日本の主力株が割安な状態に放置されている現状に変化がないためです。時価総額1千億円企業で実に200社近い企業（REITを含む）が予想配当利回り（市場予想）3%以上になっています。例えば、時価総額トップのトヨタ（7203）の予想配当利回りも3%で、実質ゼロ金利状態の預貯金と慎重な比較が必要になると考えられます。