投資情報部　鈴木　英之

10月の振り返り
10月の日経平均株価の終値は、22,927円04銭となり、月足ベースでは5.4%の上昇となりました。9月の5.1%に続き2ヵ月連続の上昇で、終値ベースでは昨年9月以来の高値水準を回復したことになりました。
世界の主要中央銀行が緩和的金融政策を継続していること、米中通商摩擦への懸念が後退していること、7〜9月期の決算発表が日米ともに予想ほど悪くないこと等が株価上昇の要因になっていると考えられます。これらを背景に、米国株が上昇基調となり、外為市場で円安・ドル高が進んだことも、日本株への追い風になりました。

ランキングコメント
「SBI証券ではじめてお取引された銘柄人気ランキング」（現物）では、ネットで取引をする投資家になじみの深いネット企業や、株主還元（配当・株主優待等）に積極的な企業が上位にランクされる傾向があります。10月のトップ企業はソフトバンクグループでしたが、まさしく我が国を代表するＩＴ企業の1社であり、株価的には長期低迷の後にダブル底を形成しにいった形になっております。
なお、同社については10月より、当社アナリストもカバレッジ対象にしており、今後はアナリスト・レポートで情報を得ることも可能になります。なお、第2から第4位までは株主還元に厚いとされる企業がランクインされています。
「SBI証券ではじめてお取引された銘柄人気ランキング」（信用）も、第1位はソフトバンクグループ（9984）でした。第2位は、「SBI証券の売買代金ランキング」で売り・買いともにトップの「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信（1570）」がランクインしました。ちなみに、同ランキングの第2位は売り・買いともにソフトバンクグループ（9984）であり、両ランキングの傾向は似ていることになります。なお、信用取引のランキング上位には、つなぎ売りの増加を背景に、その月に株主優待の権利が確定する銘柄が多くランクインする傾向にあります。ロック・フィールド（2910）はそんな銘柄のひとつと言えそうです。
「SBI証券のETF/ETN人気ランキング」では、第1位に「日経平均ダブルインバース・インデックス連動型投信(1357) 」が、第2位に「日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信（1570）」がランクインされ、先月と同じ顔ぶれになっています。9月・10月とも、日経平均株価の月間騰落率が大きめのプラスになっており、逆張り思考の個人投資家が「そろそろ相場は高値圏」との見通しのもとに動いた結果と考えられます。
SBI証券のREIT人気ランキングには分配金利回りと「決算月」というタイミングの問題が強く影響する傾向にあります。「投資法人みらい　投資証券 」（3476）、「トーセイ・リート投資法人　投資証券」（3451）、「インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人　投資証券 」（3298）はどれも、10月に順位を上げたREITですが、決算月が4月・10月で分配金の権利確定月という点で共通しています。

11月の展望
11月相場でも買いが優勢になる可能性がありそうです。焦点となる国内上場企業の決算発表では、見通しを下方修正する企業が多いものの、それにより悪材料出尽くしとなり、決算発表後に株価が上昇するケースが多くなっています。米国株の上昇や円安・ドル高基調も続いており、外部環境も悪くはありません。
ただ、業績下方修正企業の増加で、日経平均株価の予想ＥＰＳ（1株利益）が低下し、株価の割安感が後退することには注意が必要です。10月からの消費税増税の影響を示す指標等の発表が続き、国内景況感の悪化が意識されやすくなることにも注意が必要です。
決算発表は「悪材料出尽くし」という名の「好材料」を、上場企業に提供してきたという面もあります。すなわち、決算発表の一巡により「好材料」の供給も一巡すると考えることが可能で、日経平均株価の短期的な調整につながる可能性もあります。