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金は米利下げ予想で上値を試す
2024/3/25
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米PCEデフレータなどを確認
3月18日の週のニューヨーク金市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で年3回の利下げ予想が維持されたことを受けて急伸し、中心限月ベースで史上最高値2,246.6ドルを付けた。米FOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5会合連続で5.25~5.50%で据え置いた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)は会合後の記者会見で、年初以降の指標がインフレの「高止まり」を示したものの、「全体的なストーリーは変わっていない」と強調した。米消費者物価指数(CPI)でインフレの伸びが加速し、利下げ予想の後退が警戒されたが、見通しが維持されたことを受けて金は踏み上げで一段高となった。CMEのフェドウォッチで、6月の米FOMCの利下げ確率は66.7%(前週55.2%)に上昇し、年末までの利下げ幅は75ベーシスポイント(bp)の確率が33.8%(同34.3%)となった。一方、米新規失業保険申請件数は前週比2,000件減の21万件となった。事前予想の21万5,000件から予想外に減少し、労働市場の堅調を示唆した。今週は29日に2月の米個人消費支出(PCE)デフレータの発表がある。
スイス中銀は、主要金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、1.50%とした。予想外の決定で主要中銀として初めて利下げに踏み切った。声明で「過去2年半のインフレとの闘いが効果的であったため、今回の金融緩和が可能になった」とした。インフレ率は数カ月前から2%を下回り、物価安定の範囲内にあると指摘した。金は史上最高値を更新したのち、ドル安一服を受けて利食い売りが出て上げ一服となった。一方、イングランド銀行は、政策金利を約16年ぶりの高水準である5.25%に据え置いた。前回会合まで利上げを主張して2人の委員が据え置きに転じ、ベイリー総裁は英国経済が利下げを開始する「正しい方向に動いている」と指摘した。また欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、借り入れコストの引き下げを開始した後も、あらかじめ設定した回数の利下げにコミットすることはできないと述べた。
日銀金融政策決定会合でマイナス金利解除とイールドカーブコントロール(YCC)廃止を決定した。ただ「当面、緩和的な金融環境が継続する」と明記されたことで円相場は1ドル=151円台後半まで円安に振れた。JPX金先限は上場来高値1万0,734円を付けた。
イスラエルのネタニヤフ首相は、米共和党上院議員に対し、イスラエルはパレスチナ自治区ガザでハマスを打ち負かす取り組みを続けると述べた。イスラエルのロン・ダーマー戦略問題担当相は、米国との間に亀裂が生じたとしても、ハマスの最後のとりでとなっているパレスチナ自治区ガザ最南部ラファを制圧すると述べた。中東情勢の緊張が続くことも金の支援要因である。
3月22日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.49トン増の835.33トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月19日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは20万1,602枚となり、前週から横ばいとなった。今回は手じまい売り、買い戻しともに4,330枚となった。
プラチナは戻り売りも米利下げ見通しが下支え
ニューヨーク・プラチナ7月限は、米消費者物価指数(CPI)でインフレの伸びが加速したことや、大口投機家が買い越しに転じたことを受けて戻りを売られ、6日以来の安値900.9ドルを付けた。ただ米連邦公開市場委員会(FOMC)で年3回の利下げ予想が維持されたことを受けて下げ一服となり、931.6ドルまで戻した。一方、バイデン米政権は、新車販売のうち普通乗用車に占める電気自動車(EV)の比率を2032年までに67%とするとしていた従来の目標を35%に引き下げた。EVの目標引き下げは自動車触媒需要の下支え要因になる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、18日のロンドンで12.29トン(前週末12.30トン)、22日のニューヨークで31.56トン(前週末31.13トン)、20日の南アで11.67トン(同11.67トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月19日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは6,280枚となり、前週の7,419枚から縮小した。
ニューヨーク金は米利下げ見通しで史上最高値
ニューヨーク金6月限は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で年3回の利下げ予想が維持されたことを受けて急伸し、中心限月ベースでの史上最高値2,246.6ドルを付けた。金ファンドへの資金流入が指摘され、価格を押し上げた。ただスイス中銀の予想外の利下げを受けてドル安が一服すると、利食い売りが出て上げ一服となった。今週は2月の米個人消費支出(PCE)デフレータなどの発表がある。テクニカル面ではRSIが買われ過ぎの水準から低下しており、押し目は買われやすい。
3月25日からの週の注目ポイント
25日 | 日銀金融政策決定会合議事要旨(1月22-23日分 | ☆☆ |
米新築住宅販売(2月) | ☆☆☆ | |
26日 | 米耐久財受注(2月速報値) | ☆☆ |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(1月) | ☆☆ | |
米消費者信頼感指数(3月) | ☆☆ | |
27日 | 中国工業利益(2月) | ☆☆ |
南アフリカ準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ | |
28日 | 英国内総生産(10-12月期確報値) | ☆☆ |
独雇用統計(3月) | ☆☆ | |
米国内総生産(10-12月期確報値) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(3月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(3月確報値) | ☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(2月) | ☆☆ | |
29日 | 豪州、香港、欧州、米国、カナダ休場 | ☆ |
失業率(2月) | ☆☆ | |
鉱工業生産指数(2月速報) | ☆☆ | |
小売業販売額(2月速報) | ☆☆ | |
米個人所得・支出(2月) | ☆☆☆ | |
米卸売在庫(2月速報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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