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金は米インフレの伸び加速で調整局面を迎える
2024/3/18
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米FOMCを確認
3月11日の週のニューヨーク金市場は、米国のインフレの伸び加速を受けて調整局面を迎えた。中心限月となる4月限は2,156.2ドルまで下落したのち、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待を受けて押し目を買われたが、インフレの伸び加速による利食い売りに上値を抑えられた。2月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇、前年同月比3.2%上昇した。1月の前月比0.3%上昇、前年同月比3.1%上昇から、ガソリンや住居費の上昇で伸びが加速した。事前予想は前月比0.4%上昇、前年同月比3.1%上昇。また米生産者物価指数(PPI)は前月比0.6%上昇した。1月の0.3%上昇から伸びが加速し、事前予想の0.3%上昇を上回った。2月の米鉱工業生産指数は製造業の生産指数が前月比0.8%上昇した。穏やかな天候が続いたことなどを背景に、伸びは事前予想の0.3%上昇を上回った。CMEのフェドウォッチでは、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率が55.2%(前週57.4%)に低下した。今週の米FOMCでは金利据え置きが見込まれており、金融政策の見通しを確認したい。
今週は18〜19日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利が解除されるかどうかも焦点である。トヨタは春闘で4年連続の満額を回答した。15日の集計で賃上げ率は5%を超え、33年ぶりの高水準となった。ただ個人消費は弱く、解除は4月に先送りされるとの見方もある。また植田日銀総裁はこれまでマイナス金利を解除しても、緩和的な金融環境は当面続く可能性が高いと述べている。JPX金先限は円安も支援要因となって上場来高値を更新したが、日銀がマイナス金利を解除し、円が買い戻されるようなら、上値を抑えられる可能性が出てくる。
イスラエルは、パレスチナ自治区ガザ南部にある国連の食料配給拠点への空爆で、標的としたイスラム組織ハマスの司令官を殺害したと明らかにした。ガザ保健当局によると、このほかに国連職員を含む4人が死亡した。停戦協議について、ハマスからの回答はなく、ラマダン(断食月)前の戦闘休止の合意はなかった。またレバノンの親イラン武装組織ヒズボラは、イスラエルが占領するゴラン高原にあるイスラエル軍の防空前哨基地をドローン(小型無人機)で攻撃したと発表した。中東情勢の行方を引き続き確認したい。
3月15日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比16.71トン増の831.84トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて押し目買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月12日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは20万1,602枚となり、前週の19万1,293枚から拡大した。今回は新規買いが1万8,914枚、新規売りが8,605枚出て1万0,309枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは買い戻し主導で約2カ月ぶりの高値
ニューヨーク・プラチナ4月限は、ファンド筋の売り越しなどを受けて買い戻し主導で上昇した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待も支援要因となり、1月9日以来の高値958.9ドルを付けた。米消費者物価指数(CPI)の伸びが加速したが、ニューヨーク市場で5日時点の大口投機家が4,364枚売り越しとなったことが狙われた。供給不足見通しも下支え要因である。ただ中国経済の先行き懸念から中国勢が高値での買いを見送っており、買い戻し一巡後の上値は限られるとみられる。中国の全国人民代表大会(全人代)は11日、約40年前に制定された「国務院組織法」の改正を承認して閉幕した。期待された景気刺激策はなく、今後の中国の政策を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、8日のロンドンで12.12トン、15日のニューヨークで31.13トン(前週末31.56トン)、14日の南アで11.79トン(同11.64トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月12日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の取組は7,419枚買い越しとなり、前週の4,364枚売り越しから買い方に転じた。
ニューヨーク金は米インフレの伸び加速で上げ一服
ニューヨーク金4月限は、米国のインフレの伸び加速を受けて上げ一服となった。2月の米消費者物価指数(CPI)や米生産者物価指数(PPI)が事前予想を上回る伸びとなった。米連邦準備理事会(FRB)の6月利下げ見通しに変わりはないが、堅調な米経済指標が続くと、利下げ時期が先送りされる可能性もある。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きが見込まれており、金融政策の見通しを確認したい。テクニカル面では2,100ドルの節目を割り込むと、調整局面が進むとみられる。
3月18日からの週の注目ポイント
18日 | 機械受注(1月) | ☆☆ |
日銀金融政策決定会合1日目 | ☆☆ | |
中国小売売上高(2月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(2月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(2月確報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏貿易収支(1月) | ☆☆ | |
19日 | オーストラリア準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ |
日銀総裁記者会見 | ☆☆☆ | |
独ZEW景況感指数(3月) | ☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(2月) | ☆☆☆ | |
対米証券投資(1月) | ☆☆ | |
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 | ☆☆ | |
20日 | 春分の日 | ☆ |
独生産者物価指数(2月) | ☆☆ | |
英消費者物価指数(2月) | ☆☆☆ | |
英生産者物価指数(2月) | ☆☆ | |
米FOMC声明公表 | ☆☆☆ | |
21日 | 南ア休場 | ☆ |
貿易収支(2月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(3月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(3月速報) | ☆☆ | |
英中銀政策金利公表 | ☆☆☆ | |
米経常収支(10-12月期) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(3月) | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(2月) | ☆☆ | |
22日 | 消費者物価指数(2月) | ☆☆☆ |
英小売売上高(2月) | ☆☆ | |
独ifo景況感指数(3月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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