2025年4月21日〜2025年4月25日
更新 : 2025/4/18 18:00
(通常毎週金曜日夜更新)
リスクシナリオ後退、米利下げ催促も
今週の株式見通し
主要指標の推移 | 日経平均株価 | 34730.28 (前週末比 +1144.70) | TOPIX | 2559.15(前週末比 +92.24) |
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今週も金融市場はトランプ関税に神経をとがらせる状況ながら、相場は乱気流をひとまず抜けたようにも見える。先陣を切った日本の対米交渉の行方には不透明感はあるが、短期的にはFRBの利下げ期待も支えになりそうだ。
対立が激化していた米中も、関税引き上げの応酬は事実上ストップし、けん制を交えつつも手打ちを探る局面に入ったとみられる。直近では中国側が「敬意を示すこと」などを条件に米国との協議に応じる用意があると伝わった。また、トランプ大統領も、中国との対話に意欲をにじませている。
相互関税の発動前との比較では、事態は何ら改善していない。それでも市場が最悪のシナリオと距離を置き始めたことは間違いなく、トランプ大統領としても米債や米株の値下がりを許容できる限界値をあらわにした格好だ。また、トランプ大統領はSNSで、パウエル議長を「一刻も早く解任すべきだ」と批判して早急に利下げすべきだと主張した。FRBへの介入は、米国の信認低下に輪をかける行為にほかならない一方、市場は現金な柔軟性も持ち合わせている。利下げの催促相場の様相となれば、経済指標や企業業績の下ブレはむしろ好材料視される。
日本株にとっては、もう1つの焦点が半導体だ。指標的存在である台湾TSMCは17日、一部の予想に反して今年の設備投資計画を下方修正しなかった。AI向け需要は強く、4〜6月の売上も前四半期比で13%拡大する見通し(中央値)。しかし、トランプ政権が月内に発表するとしている半導体・電子機器への関税や、対中規制への警戒感は依然として大きい。
来週は米国企業の決算発表ラッシュを迎え、日本でも先行組のファナック(6954)やニデック(6594)、デンソー(6902)、アドバンテスト(6857)などが1〜3月業績と新年度の見通しを開示する。トランプ関税の逆風は、既にある程度株価に織り込まれたと考えられる。日経平均の予想レンジは3万3,500〜3万5,500円とする。
注目材料・為替
日米財務相の会談を意識した展開
予想レンジ:1ドル=141円00銭−144円00銭
4月14−17日のドル・円は下落した。週初14日は、トランプ関税への警戒が根強く売り優勢。その後反発するも、ウォラーFRB(米連邦準備制度理事会)理事が、景気後退懸念が強まった場合は早期の利下げを支持する考えを示し、重しになった。15日、米4月ニューヨーク連銀製造業景況指数が市場予想を上回り、底堅く推移。16日、目先に控える日米通商協議で円安是正が議論されるとの観測が広がり、円買い・ドル売りに。また、パウエルFRB議長の講演を受けて米経済の先行き不透明感が改めて意識され、ドル・円の下落につながった。17日、日米通商協議で為替が議題に上らなかったことが伝わり反発するも、トランプ米大統領がパウエルFRB議長の辞任を求め、伸び悩んだ。なお、18日はグッドフライデー(聖金曜日)で米国を含む多くの国・地域が休場。
ドル・円はトランプ政権の政策に右往左往する展開が続く。初回の日米通商協議をひとまず無難に通過したものの、月内に次回協議が行われる予定。今後の各国交渉の試金石になると目されており、協議の進展次第では投資家のリスク選好姿勢を大きく左右しそうだ。また、為替については別途、加藤勝信財務相がベッセント米財務長官と協議する方針。加藤財務相は、21−26日の日程で米ワシントンにて開催される世界銀行・IMF(国際通貨基金)の春季会合に出席すべく訪米する。ベッセント米財務長官と日米の通貨問題について会談する機会を模索するとしており、ドル・円は急変動する可能性がある。経済指標では、米3月新築住宅販売件数、米3月耐久財受注、米3月中古住宅販売件数などが発表され、ベージュブック(米地区連銀経済報告)も公表される。FRB高官の発言機会も複数予定されており、トランプ米大統領が利下げ圧力を強める中でスタンスに変化がないか注視したい。
ドル・円はチャート上で、直近安値1ドル=141.75円(4月17日)を維持できるかが焦点。一方、大きく上昇するには力強さを欠き、上値メドは144円とする。
週間タイムテーブル
国内 | 海外 | |
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4月21日(月) | 3月首都圏新築マンション発売=14時 |
中国ローンプライムレート=10時 IMF・世界銀行春季総会(〜26日、ワシントン) 欧州・アジア・オセアニア各国休場 |
4月22日(火) |
◆決算発表=オービック(4684) ◆新規上場=デジタルグリッド(350A) |
米2年国債入札 ◆決算発表=(米国)GEエレクトリック、ハリバートン、インテュイティブサージカル、MSCI、テスラ、RTX、ベライゾン・コミュニケーションズ |
4月23日(水) |
4月auじぶん銀行製造業PMI=9時30分 2月第三次産業活動指数=13時30分 ◆決算発表=ファナック(6954)、シマノ(7309) |
4月HCOBユーロ圏製造業PMI=17時 米4月S&Pグローバル米国製造業PMI=22時45分 米3月新築住宅販売件数=23時 ベージュブック(米地区連銀経済報告)=24日3時 G20財務大臣・中央銀行総裁会議(〜24日、ワシントン) 米5年国債入札 ◆決算発表=(欧州)SAP、(米国)ボーイング、ボストン・サイエンティフィック、CMEグループ、IBM、ニューモント、サービスナウ、レスメド、AT&T、TEコネクティビティ、テキサス・インストルメンツ、ユナイテッド・レンタルズ |
4月24日(木) |
3月企業向けサービス価格指数=8時30分 2年国債入札 ◆決算発表=中外薬(4519)、キヤノン(7751)、NRI(4307)、ニデック(6594) ◆新規上場=LIFE CRATE(352A) |
独4月Ifo景況感指数=17時 米3月耐久財受注=21時30分 米3月中古住宅販売件数=23時 米7年国債入札 ◆決算発表=(欧州)ダッソー・システムズ、ノキア、STマイクロエレクトロニクス、(米国)ダウ、フリーポート・マクモラン、インテル、サウスウエスト航空、モービルアイ・グローバル、メルク、プロクター・アンド・ギャンブル、ユニオン・パシフィック |
4月25日(金) |
4月東京都区部消費者物価=8時30分 3月全国百貨店売上高=14時30分 ◆決算発表=キーエンス(6861)、信越化(4063)、第一三共(4568)、デンソー(6902)、アドバンテス(6857)、アステラス薬(4503)、野村(8604) ◆新規上場=エレベーターコミュニケーションズ(353A) |
◆決算発表=(アジア)平安保険(米国)シュルンベルジェ |
- ※ 海外の時刻は日本時間。