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米中貿易摩擦やシリア情勢に反応
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主要通貨は対円で底固く推移した。週初9日は、米中貿易摩擦への懸念後退から主要通貨は対円で買われたが、トランプ米大統領のロシア疑惑が強まり上値を抑えた。10日、中国の習近平国家主席が米国との対話を重視する姿勢を示した他、自動車の輸入関税の削減や外資規制の緩和などを表明し、リスク回避の動きは後退した。11日、化学兵器使用疑惑がくすぶるシリアのアサド政権に米国が英仏とともに軍事侵攻を行う可能性が高まり、多くの通貨は対円で下落した。12日、トランプ米大統領がTPP(環太平洋経済連携協定)への復帰検討を指示したと伝わり、主要通貨は上昇した。週末13日は、シリア情勢への懸念が再び高まり、主要通貨の上値を抑制した。
新興国通貨は対円でほぼ全面安。週初9日、トランプ米政権の不透明感やシリア情勢への懸念からリスク回避の円買いが優勢となり、特に米国がロシア企業に対する追加制裁措置を発表したためロシアルーブルは急落。10日は中国の習近平国家主席が自動車などの開放政策を推し進める意向を示し、米中貿易摩擦への懸念が後退すると一部の新興国通貨は持ち直したが、ルーブルなどの戻りは限られた。週半ば以降、トランプ米大統領のツイッター上のコメントなどでシリア情勢を巡る思惑が交錯し、方向感の定まらない展開となった。
為替
ランド・円は小幅に下落した。週初9日、日経平均株価の上昇などを手掛かりに序盤は円売りが優勢だったが、シリア攻撃への警戒感が広がってリスク回避の円買いが強まるとランド・円も失速。10日、中国の習近平国家主席が自動車関税を引き下げる方針を表明すると米中貿易摩擦への懸念が和らぎ、リスクオフムード後退からランド・円は下げ渋った。11日になると再びシリア情勢に対する不透明感が意識されてランド・円は軟化した。12日には持ち直したものの、13日は米ロ関係の緊張の高まりもあって上値の重い展開となった。
債券
長期債利回りは上昇した。週前半は米ロ関係の緊張やシリア情勢への懸念などを背景に債券売りが優勢となったが、週半ば以降は債券需要がやや高まった。南ア15年債利回りは前週末の8.62%から8.64%に上昇して越週した。
為替
ドル・円は上昇した。週初9日は、米中貿易摩擦への懸念後退からドル買い優勢となるも、トランプ米大統領のロシア疑惑が強まり上値を抑えた。10日、中国の習近平国家主席が米国との対話を重視する姿勢を示した他、自動車の輸入関税の削減や外資規制の緩和などを表明し、ドルは上昇した。11日、化学兵器使用疑惑がくすぶるシリアのアサド政権に米国が英仏とともに軍事侵攻を行う可能性が高まり、下落した。12日、米国のシリア攻撃は差し迫ったものではないとの見方が広がった他、トランプ米大統領がTPP(環太平洋経済連携協定)への復帰検討を指示したと伝わり、切り返した。週末13日は米4月ミシガン大学消費者信頼感指数が市場予想を下回り、伸び悩んだ。
債券
短期債利回り、長期債利回り共に上昇した。米中貿易摩擦への懸念緩和や、強い米3月PPI(生産者物価指数)、シリア情勢をめぐる地政学リスクが一時後退し、米債券需要は弱まった。2年債利回りは前週末の2.27%から2.36%に上昇、10年債利回りは前週末の2.77%から2.83%に上昇して越週した。
為替
ユーロ・円は上昇した。週初9日は、ドラギECB(欧州中央銀行)総裁がユーロ圏の経済見通しについて楽観的な発言を行い、ユーロ・円の上昇につながった。10日は、ノボトニー・オーストリア中銀総裁が預金金利の引き上げに言及し、利上げ期待が膨らんだことからユーロ・円の上昇が続いた。11日は、シリア情勢の緊迫化に伴いリスク回避の動きが強まり、ユーロ売り・円買いが優勢だった。12日は、一部の経済指標が市場予想を下回ったものの、地政学リスクが後退したことで堅調に推移した。週末13日は、米ロ関係の緊張の高まりもあって上値の重い展開となった。
債券
短期債利回り、長期債利回り共に上昇した。週前半は、ユーロ圏の経済見通しに楽観的な見方が示され、独債券は売り優勢。その後は、米中貿易摩擦への懸念や、シリア情勢の緊迫化から買いに傾いた。独2年債利回りは前週末のマイナス0.59%からマイナス0.58%に上昇、独10年債利回りは前週末の0.50%から0.51%に上昇して越週した。
為替
豪ドル・円は上昇した。週初9日は日経平均株価の上昇やFBI(米連邦捜査局)がトランプ米大統領の顧問弁護士事務所を捜索したと伝わったことなどを背景に、もみ合い。10日は中国の習近平国家主席が自動車の関税引き下げに言及し米中の貿易摩擦懸念が後退、豪ドル・円は上伸した。11日、トランプ米大統領がシリアへの軍事行動を示唆し地政学リスクが意識されると、豪ドル・円はジリ安に。12日、トランプ米大統領がシリアへの軍事介入について軟化姿勢を示しドル・円が切り返すと、豪ドル・円もツレ高となった。13日もリスクオフムード後退から豪ドル買い・円売りが先行したが、米国株が値を下げると豪ドル・円は上げ幅を縮めた。
債券
短期債利回り、長期債利回り共に上昇した。米中貿易摩擦懸念やシリア情勢懸念の後退を背景に安全資産とされる豪債券は売り優勢となった。2年債利回りは前週末の2.03%から2.08%に上昇、10年債利回りは2.66%から2.74%に上昇して越週した。
為替
NZドル・円は上昇した。週初9日は日経平均株価の上昇などを背景にNZドル買い・円売りが進んだが、その後、FBI(米連邦捜査局)がトランプ米大統領の顧問弁護士事務所を捜索したと伝わるとNZドル・円の上値は重くなった。10日は中国の習近平国家主席が自動車の関税引き下げに言及し米中の貿易摩擦懸念が後退、NZドル・円は上伸した。11日、トランプ米大統領がシリアへの軍事行動を示唆し地政学リスクが意識されると、NZドル・円はジリ安に。12日、トランプ米大統領がシリアへの軍事介入について軟化姿勢を示しドル・円が切り返すと、NZドル・円もツレ高となった。13日もリスクオフムード後退からNZドル買い・円売りが先行したが、米国株が値を下げるとNZドル売り・円買い優勢となった。
債券
長期債利回りは上昇した。米中貿易摩擦懸念やシリア情勢懸念の後退を背景に安全資産とされるNZ債券は売り優勢となった。10年債利回りは前週末の2.80%から2.83%に上昇して越週した。
為替
レアル・円は下落した。週初9日は、トランプ米大統領の顧問弁護士に対しFBI(米連邦捜査局)が強制捜査を行ったと報じられると、ドル・円が下落、円買いの流れからレアル・円は下押しした。10日は中国が国内市場の開放や関税を引き下げる意向を示したことから米中の貿易摩擦懸念が後退、レアル・円は底固く推移した。11日はシリア情勢の緊迫化がレアルの上値を圧迫した。12日は、シリア情勢への懸念が後退したものの、米金利の上昇を背景にレアル・円の上値は重かった。週末13日のレアル・円はもみ合い。シリア情勢を巡る米露の関係悪化懸念などが重しとなった。
債券
短期債利回りは低下した一方、長期債利回りは上昇した。週初9日はリスクオフからブラジル債券が買われた。その後は米中の貿易摩擦懸念やシリア情勢を見ながらの展開となった。2年物レアル建て債利回りは前週末の7.33%から7.20%に低下、10年物ドル建て債利回りは前週末の2.10%から2.28%に上昇して越週した。
為替
リラ・円は下落した。化学兵器使用疑惑がくすぶるシリアのアサド政権に米国が英仏とともに軍事侵攻を行う可能性が浮上し、中東の地政学リスクの高まりを背景にリラ売りとなった。ただ、週後半に米国のシリア攻撃への過度な警戒感が和らぐ場面では切り返しの動きとなり、リラ・円は下げ幅を縮小した。期間中の経済指標では、トルコ2月経常収支の赤字額が前月より改善し、市場予想に対しても小幅ながら縮小した。
債券
長期債利回りは上昇した。赤字が続くトルコ2月経常収支や、シリアをめぐる中東の地政学リスクの高まりを受け、トルコ債券需要は弱まった。トルコ9年債利回りは前週末の5.75%から5.76%に上昇して越週した。