先週の225先物は週間で40円高(上昇率0.15%)の27,080円と3週ぶりに小幅反発。
米10年債利回りの上昇が続くなか、金利先高観が警戒され、週初11日から下落。中国株・香港株の大幅下落も投資家心理を悪化させた。
12日は500円安と大幅続落。米シカゴ連銀のエバンス総裁が5月の0.5ptの利上げを支持したことで、米長期金利が東京時間に2.8%台にまで上昇したことが嫌気された。
ただ、その後13日は560円高と大幅反発し、14日も310円高と続伸。米3月消費者物価指数(CPI)は過去最大の伸びを記録したものの、連邦準備制度理事会(FRB)が注視している変動の激しい品目を除いたコア指数では伸びが予想を下回ったことで、インフレはピークアウトしたとの見方が強まった。
また、米3月生産者物価指数(PPI)は総合もコアも共に予想を大きく上回ったが、インフレピークアウトの見方は変わらず、金利も低下したことで、先物主導で短期筋の買い戻しが加速した。
ほか、中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率を引き下げる可能性が高いと伝わり、アジア市況が下げ止まったことも投資家心理を改善させた。
4月8日時点の裁定残高は、ネットベースで5,994億円の買い越し(前週は7,825億円の買い越し)と減少した。株数ベースでは、2億4,561万株の買い越しで、4月1日時点(2億9,527万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(4月8日時点)
裁定買いの動き、TOPIX買い方ではバークレイズとBofA
両先物ともに裁定買いの動きが目立った。225先物では12日にBofA証券とJPモルガンが揃って2,000枚超売り越した一方、買い方では週末にかけてみずほ証券の買い越しが見られた。
TOPIX先物では、JPモルガンが週末にかけて売り越し基調を見せた一方、バークレイズの大幅買い越し基調に続き、BofA証券も買い越し基調で上位に並んだ。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で0.07pt高(上昇率0.34%)の20.81と小幅に上昇した。
週間で株価指数が一進一退の展開となるなか、投資家も相場の方向感が掴めず、プット(売る権利)の売り買いが交錯し、日経VIも一進一退の展開となった。なお、権利行使価格26,000円に相当するプットの建玉の増加がやや目立った。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は週末にかけて上昇転換、インフレピークアウト感が台頭
NT倍率(先物)は週末にかけて上昇転換。米シカゴ連銀のエバンス総裁のタカ派発言などを背景に米10年債利回りが2.8%台に乗せるなど、2019年1月以来の高値を更新するなか、週前半は短期筋の225先物の売りが強まり、NT倍率は低下。
しかし、米3月消費者物価指数(CPI)で変動の激しい品目を除いたコア指数の伸びが予想を下回ったことで、インフレピークアウト感が台頭。
予想を大きく上回った米3月生産者物価指数(PPI)の発表後もこうした見方は変わらず、週後半からは急速に買い戻しが進展。NT倍率は75日移動平均線を下値支持線に切り替えた動きも意識され、水準訂正の結果、週間で上昇となった。
今週の225先物はもみ合いか。
米国での物価指標のイベントも終え、今週は注目度の高い経済指標の発表が少ない。
また、決算シーズンも端境期となり、注目処は日本電産<6594>くらいだ。手掛かり材料に欠けるなか、先物市場も動きづらい展開が予想される。
そうしたなか、今週唯一といってもいい手掛かりは、やはり米金利動向だろう。
米10年債利回りはインフレピークアウトの見方が浮上するなか、一時は2.6%台まで低下し、投資家の安堵感を誘っていたが、先週末には再び2.8%台へと大幅に上昇してきており、改めて投資家が注意せざるを得ない状況となっている。
期待インフレ率の指標とされる米10年ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も14日には2.89%(+0.09pt)まで大きく上昇した。1バレル=90ドル台で沈静化していたWTI原油先物価格も足元106ドルまで上がってきた。
話題に上ることが少なくなってきたウクライナ情勢を巡り、対ロシア制裁への動きなど次第では、原油先物価格を通じて再び一段とインフレ・金利高懸念が強まりかねない。
米10年債利回りが2.9%台、3%台を窺う展開となれば、株式益回りと債券利回りの差、すなわちイールド・スプレッドが縮小し、買い手控え要因となり、短期筋の仕掛け売りの動機が増えそうだ。
海外勢の持ち高は現在中立と指摘されており、売りに傾ける余地があることに留意しておきたい。今週の225先物予想レンジは26,400-27,200円とする。
経済スケジュール(4月18日〜4月24日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
4月18日 | 月 | 国内 | 14:00 | 首都圏新築分譲マンション(3月) |
海外 | 11:00 | 中・GDP(1-3月) | ||
11:00 | 中・鉱工業生産指数(3月) | |||
11:00 | 中・小売売上高(3月) | |||
11:00 | 中・不動産投資(3月) | |||
11:00 | 中・固定資産投資(都市部)(3月) | |||
11:00 | 中・調査失業率(3月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-10)(4月) | |||
23:00 | 米・NAHB住宅市場指数(4月) | |||
ブ・経常収支(2月、23日までに) | ||||
ブ・経済活動(2月、23日までに) | ||||
ブ・融資残高(2月、23日までに) | ||||
ブ・基礎的財政収支(2月、23日までに) | ||||
ブ・純債務対GDP比(2月、23日までに) | ||||
ブ・貿易収支(19日までに) | ||||
国際通貨基金(IMF)・世界銀行の2022年春季会合(24日まで) | ||||
米・セントルイス連銀総裁がオンラインイベントで講演 | ||||
決算発表 BofA | ||||
独・英・豪・仏・NZ・スイス・香港・南ア・株式市場は祝日のため休場(イースターマンデー) | ||||
4月19日 | 火 | 国内 | 13:30 | 鉱工業生産(2月) |
13:30 | 設備稼働率(2月) | |||
海外 | 16:20 | インドネシア・中央銀行が政策金利発表 | ||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(先週) | |||
21:30 | 米・住宅着工件数(3月) | |||
21:30 | 米・住宅建設許可件数(3月) | |||
IMFが世界経済見通し(WEO)公表 | ||||
米・シカゴ連銀総裁が講演 | ||||
東ティモール・大統領選決選投票 | ||||
決算発表 J&J、ロッキード、ネットフリックス、IBM | ||||
4月20日 | 水 | 国内 | 08:50 | 貿易収支(3月) |
08:50 | 輸出(3月) | |||
08:50 | 輸入(3月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存5-10年、残存10-25年)(日本銀行) | |||
海外 | 10:15 | 中・1年物ローンプライムレート(LPR) | ||
10:15 | 中・5年物ローンプライムレート(LPR) | |||
15:00 | 欧・ユーロ圏新車販売台数(3月) | |||
17:00 | 南ア・消費者物価指数(3月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(2月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏貿易収支(2月) | |||
21:30 | 加・消費者物価指数(3月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売件数(3月) | |||
米・G20財務相・中央銀行総裁会議 | ||||
米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表 | ||||
米・20年債入札 | ||||
仏・大統領選で決選投票に進出した2候補による討論会 | ||||
クレジットデリバティブ決定委員会会合(ロシアのドル建て債ルーブル払いがデフォルトかの判断) | ||||
中・博鰲(ボアオ)アジアフォーラム(22日まで) | ||||
米・サンフランシスコ連銀総裁が講演 | ||||
米・シカゴ連銀総裁が講演 | ||||
決算発表 P&G、テスラ、アルコア | ||||
4月21日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
15:00 | 工作機械受注(3月) | |||
15:00 | 金融システムレポート(4月号、日本銀行) | |||
月例経済報告(4月) | ||||
フルハシEPOが東証スタンダード・名証メインに新規上場(公開価格:1140円) | ||||
決算発表 オービック、日電産、ディスコ | ||||
海外 | 07:45 | NZ・消費者物価指数(1-3月) | ||
10:00 | 中・SWIFTグローバル元支払(3月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏CPI(3月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
21:30 | 米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(4月) | |||
23:00 | 米・景気先行指数(3月) | |||
23:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(4月) | |||
米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長とラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁がIMFのパネル討論会に参加 | ||||
英・ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が講演 | ||||
決算発表 AT&T、スナップ | ||||
4月22日 | 金 | 国内 | 08:30 | 消費者物価コア指数(3月) |
09:30 | 製造業PMI(4月) | |||
09:30 | サービス業PMI(4月) | |||
09:30 | 総合PMI(4月) | |||
10:00 | 営業毎旬報告(4月20日現在、日本銀行) | |||
海外 | 15:00 | 英・小売売上高指数(3月) | ||
16:30 | 独・製造業PMI(4月) | |||
16:30 | 独・サービス業PMI(4月) | |||
16:30 | 独・総合PMI(4月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏経常収支(2月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(4月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏サービス業PMI(4月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏総合PMI(4月) | |||
17:30 | 英・製造業PMI(4月) | |||
17:30 | 英・サービス業PMI(4月) | |||
17:30 | 英・総合PMI(4月) | |||
21:30 | 加・小売売上高(2月) | |||
22:45 | 米・製造業PMI(4月) | |||
22:45 | 米・サービス業PMI(4月) | |||
22:45 | 米・総合PMI(4月) | |||
欧・ラガルドECB総裁が講演 | ||||
決算発表 ベライゾン、アメックス、SAP、ボルボ | ||||
4月24日 | 日 | 海外 | 仏・大統領選決選投票 |
- 提供:フィスコ社