225先物は前週末終値比310円高(上昇率1.10%)の28,380円と大幅に反発。
週初は11月米雇用統計での雇用者数の伸びが予想の半分にとどまった一方、連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め路線に変わりはないとの見方から軟調。
しかし、7日、8日は合わせて1,000円超と急伸。国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長の発言や開発中のワクチン候補の有効性に関するニュースフローを背景に投資家心理が大きく改善。
また、中国では中央銀行が預金準備率を引き下げたことに加え、当局が不動産業に対する引き締めを緩和する方針を示唆、さらに、11月貿易収支で輸出・輸入がともに市場予想を上回ったこともあり、景況感が改善。ポジティブな材料が相次いだことで、週末の先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)前の買い戻しが進んだ。
週末にかけては需給要因での買い戻しが一服したほか、翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、11月米消費者物価指数(CPI)への警戒感もあり伸び悩んだが、週前半の貯金が大きく、週間では上昇となった。
12月3日時点の裁定残高は、ネットベースで1,422億円の買い越し(前週は4,343億円の買い越し)と減少した。株数ベースでは、6,054万株の買い越しで、11月26日時点(1億6,358万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(12月3日時点)
メジャーSQに向けたロール中心
9日までは、週末のメジャーSQに向けたロールが中心。週末10日はFOMC前の米CPIへの警戒感から売り優勢となったことで、売り手口がやや目立った。
225先物では野村が1,600枚超売り越し、TOPIX先物ではGSが1,000枚超売り越した。買い方では10日に、225先物では売り越しだったCSが1,200枚超買い越した。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末終値比4.24pt安(下落率16.96%)の20.76と大幅に低下。
国立アレルギー感染症研究所所長がオミクロン株について「重症化の度合いはそれほど高くないようだ」と発言したほか、英グラクソ・スミスクラインなどが開発中の新型コロナワクチン候補が複数の変異株に対して有効性を示したことなどから、投資家心理が大きく改善。
株式市場でも買い戻しが進み、下値不安が後退したことから、プット(売る権利)の手仕舞い売りが進み、日経VIは週前半から大きく低下した。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、SQに向けた買い戻しや中国景況感底打ちがサポート
NT倍率(先物)は上昇。
国立アレルギー感染症研究所所長の発言や新型コロナウイルスワクチンに関するポジティブな報道を背景にオミクロン変異株に対する脅威が後退。
他方、中国では、当局が不動産業の締め付けを緩和する方針を示唆したことに加え、中国人民銀行が預金準備率引き下げを実施、さらに、11月貿易統計が輸出・輸入ともに市場予想を上回ったことで同国経済の底打ち感が台頭。
好材料が相次いだことで、週末の先物・オプション12月物の特別清算指数算出(メジャーSQ)を前に短期筋の買い戻しが進展し、週前半から225型優位の展開に。また、中国リスク後退を好感して現物株市場でダイキン<6367>など日経平均採用の関連銘柄が堅調だったことも、NT倍率の上昇に寄与した。
今週の225先物は神経質な展開か。
経済指標や英国の金融政策委員会、欧州中央銀行(ECB)定例理事会などイベントが多々あるが、14日からの米FOMCが最大の注目イベント。オミクロン株に対する脅威が後退したことで、市場の関心は米金融政策の動向に再び移っている。
次期FRB議長再任が決まった際に、パウエル議長はそれまで使用していたインフレについての「一過性」との表現を止めるべきと考えを改め、インフレを抑え込む姿勢を明確にした。
また、オミクロン株が出現する前の11月下旬には複数のFRB高官が量的緩和縮小(テーパリング)のペース加速を協議することの可能性を示唆し、パウエル議長もオミクロン株の確認後にもそれを肯定していた。
そのため、今回のFOMCで「一過性」との表現が除かれることや、テーパリング加速が決定されることは概ね既に織り込まれているだろう。
ただ、来年の利上げペースを巡ってはどこまで想定されているか不透明で、今回公表される政策金利見通し(ドットチャート)が重要なカギとなる。
また、来年の中間選挙を見据えてバイデン大統領に念を押されているのか定かでないが、パウエル議長のインフレファイターとしてのタカ派シフトが鮮明となっており、議長の記者会見も注目だ。
イベント後のあく抜け上昇に期待したいが、波乱も想定され、イベント前のポジション構築は控えたいところ。今週の225先物予想レンジは28,000-29,250円とする。
経済スケジュール(12月13日〜12月17日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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12月13日 | 月 | 国内 | 08:50 | 日銀短観(大企業製造業DI)(10-12月) |
08:50 | コア機械受注(10月) | |||
海外 | 20:25 | ブ・週次景気動向調査 | ||
21:00 | 印・消費者物価指数(11月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(週次)(12月12日まで1カ月間) | |||
英・イングランド銀行(英中央銀行)が金融安定報告と銀行ストレステスト結果を公表 | ||||
欧・EU外相理事会 | ||||
米・ブリンケン国務長官が東南アジア歴訪(16日まで) | ||||
石油輸出国機構(OPEC)月報 | ||||
12月14日 | 火 | 国内 | 10:00 | 営業毎旬報告(12月10日現在、日本銀行) |
13:30 | 鉱工業生産(10月) | |||
13:30 | 設備稼働率(10月) | |||
CP買い入れオペ(日本銀行) | ||||
海外 | 15:30 | 印・卸売物価指数(11月) | ||
16:00 | 英・失業率(11月) | |||
16:00 | 英・ILO失業率(3カ月)(10月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(10月) | |||
20:00 | ブ・ブラジル中央銀行が金融政策決定会合議事録公表 | |||
21:00 | ブ・IBGEサービス部門売上高(10月) | |||
22:30 | 米・生産者物価コア指数(11月) | |||
米・連邦公開市場委員会(FOMC)(15日まで) | ||||
国際エネルギー機関(IEA)月報 | ||||
12月15日 | 水 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存5-10年、残存25年超)(日本銀行) |
13:30 | 第3次産業活動指数(10月) | |||
海外 | 06:45 | NZ・経常収支(7-9月) | ||
10:30 | 中・新築住宅価格(11月) | |||
11:00 | 中・鉱工業生産指数(11月) | |||
11:00 | 中・小売売上高(11月) | |||
11:00 | 中・不動産投資(11月) | |||
11:00 | 中・固定資産投資(都市部)(11月) | |||
11:00 | 中・調査失業率(11月) | |||
16:00 | 英・消費者物価コア指数(11月) | |||
16:00 | 英・生産者物価産出指数(11月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-10)(12月) | |||
20:30 | 印・貿易収支(11月) | |||
21:00 | ブ・経済活動(10月) | |||
22:30 | 加・消費者物価指数(11月) | |||
22:30 | 米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(12月) | |||
22:30 | 米・小売売上高(11月) | |||
22:30 | 米・輸入物価指数(11月) | |||
24:00 | 米・NAHB住宅市場指数(12月) | |||
24:00 | 米・企業在庫(10月) | |||
25:00 | 露・GDP(7-9月) | |||
28:00 | 米・連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利発表 | |||
30:00 | 米・対米証券投資収支(ネット長期TICフロー)(10月) | |||
米・FOMC終了後、パウエルFRB議長が記者会見 | ||||
12月16日 | 木 | 国内 | 08:50 | 貿易収支(11月) |
08:50 | 輸出(11月) | |||
08:50 | 輸入(11月) | |||
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
09:30 | 製造業PMI(12月) | |||
09:30 | サービス業PMI(12月) | |||
09:30 | 総合PMI(12月) | |||
14:00 | 首都圏新築分譲マンション(11月) | |||
15:00 | 全銀協会長が会見 | |||
日銀政策委員会・金融政策決定会合(1日目) | ||||
海外 | 06:45 | NZ・GDP速報(7-9月) | ||
09:30 | 豪・失業率(11月) | |||
17:30 | 独・製造業PMI(12月) | |||
17:30 | 独・サービス業PMI(12月) | |||
17:30 | 独・総合PMI(12月) | |||
17:30 | スイス・中央銀行が政策金利発表 | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(12月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏サービス業PMI(12月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏総合PMI(12月) | |||
18:30 | 英・製造業PMI(12月) | |||
18:30 | 英・サービス業PMI(12月) | |||
18:30 | 英・総合PMI(12月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏貿易収支(10月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(12月15日まで1カ月間) | |||
20:00 | ブ・中央銀行が四半期インフレ報告公表 | |||
20:00 | トルコ・中央銀行が政策金利発表 | |||
21:00 | 英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表 | |||
21:45 | 欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ラガルド総裁が記者会見 | |||
22:30 | 米・住宅着工件数(11月) | |||
22:30 | 米・住宅建設許可件数(11月) | |||
22:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
22:30 | 米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(12月) | |||
23:15 | 米・鉱工業生産指数(11月) | |||
23:15 | 米・設備稼働率(11月) | |||
23:45 | 米・製造業PMI(12月) | |||
23:45 | 米・サービス業PMI(12月) | |||
23:45 | 米・総合PMI(12月) | |||
28:00 | メキシコ・中央銀行が政策金利発表 | |||
欧・EU首脳会議 | ||||
12月17日 | 金 | 国内 | 日銀政策委員会・金融政策決定会合(2日目)、終了後決定内容発表 | |
黒田日銀総裁が会見 | ||||
海外 | 16:00 | 英・小売売上高指数(11月) | ||
16:00 | 欧・ユーロ圏新車販売台数(11月) | |||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(週次)(12月15日まで1カ月間) | |||
18:00 | 独・IFO企業景況感指数(12月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏CPI(11月) | |||
19:30 | 露・ロシア中央銀行が政策金利発表 |
- 提供:フィスコ社