企業評価レポートの手引き 投資指標
企業評価レポートサンプル
投資指標 |
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2/28 株価 |
2,115円 |
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52週高値 |
2,315円 |
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52週安値 |
1,159円 |
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1カ月騰落率 |
32.4% |
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時価総額 |
12,129億円 |
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発行済株数 |
5.7億株 |
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連結ROE |
19.1% |
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配当利回り |
0.7% |
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連結PBR |
2.7倍 |
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株主資本比率 |
50.2% |
解説
投資指標
『株価』は現在の株価ではなく企業評価レポートが発表される直前の株価なので、注意が必要です。 『過去52週間(過去1年間)の高値と安値』から、その株が過去1年間ではどの程度の範囲で変動してきたのかがわかります。詳しくは株価チャートを参照にしてみましょう。
『1カ月騰落率』は、レポート作成前の1カ月間で株価が上昇または下落した割合です。住友金属鉱山の例では、2月28日までの1カ月間に32%株価が上昇したことを表しています。 『時価総額』は「株価」にその企業が発行している株式数(=発行済株式数)を掛けたもので、その会社の市場価値を表しています。
時価総額 = 株価 × 発行済株式数
『ROE』とはReturn On Equityの略語で、当期利益を自己資本で割って求めます。株主が投下した資本に対して、その企業が年間でどの程度の収益を上げているかを表しており、企業の収益性を表す代表的な指標です。例えばROE 10%であれば、自己資本100に対して年間10の当期利益を上げたことを表します。
ROE = (当期利益 ÷ 自己資本) × 100 (%で表示されます)
『配当利回り』とは1株あたりの配当金が株価の何%に相当するかを見る指標です。日本では企業が行う配当は例年それほど大きく変動するものではありません。特に業績が安定している企業の株式に投資を行うのであれば、配当は比較的安定した投資収益源と考えられます。
1株の時価が2,500円の企業が50円の配当を行えば、配当利回りは2%になります。
配当利回り = 1株あたり配当 ÷ 株価 × 100 (%で表示されます)
『連結BPS』は、連結ベースの純資産を発行済み株数で割って求められます。純資産は会計上の会社の総資産から総負債を差し引いた金額であり、『1株あたり純資産』は一単位あたりの株主の持分金額と考えられます。
連結PBR = 株価 ÷ 連結ベースの1株あたり純資産
『株主資本比率』は自己資本比率とも呼ばれ、株主資本の総資産に対する比率を表しています。総資産は株主資本と負債からなるので、株主資本比率は企業の調達総額(株主資本+負債)の何%が株主資本で占められているかを表しており、企業の財務内容の健全性を表す代表的な指標です。
株主資本比率 = 株主資本 ÷ 総資産 × 100 (%で表示されます)
着眼点
これらの指標の中で、特に注目すべきものは『ROE』です。ROEは、その会社が株主資本をどの程度の利回りで運用しているかを表しており、もしROEが一般の金利よりも低いようであれば、株主としてはその会社に投資する魅力が少ないといえます。
注意するポイントとして、1点目は、ROEは株主資本が小さい会社(すなわち、負債の大きい会社)のほうが高くなる傾向があるので、株主資本比率がどれだけあるかを把握しておくことが必要です。2点目は、ROEが高くても新規の投資を十分していないと、成長余力が小さくなり将来的にROEが低下する恐れがあること等があげられます。