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2021-12-04 04:56:11

OPECプラス サプライズ減産維持の影響

2021/3/17
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

3月4日に開催されたOPECプラスの会合では50万バレル〜150万バレルの増産が決定されるとみられていたが、見送りとなった。さらに、北米の気温低下によってシェールオイルの生産設備が毀損、減産となっていることから、OPECプラスの枠組みとは別に「自主的に」サウジアラビアが行っている▲100万バレルの減産も解除されるとみられていたが、この解除も見送られることとなった。市場は足下の原油価格の上昇もあって増産を実施すると判断、市場はこれを織り込んで下落していたため、週末を控えていたということもあって急速に買い戻しが入り、減産を織り込む前の水準を上回る価格上昇となった。

今回の減産幅維持は、いくつかの要因が重なったことによるものだ。春は夏や冬のピークシーズンではないため3月中旬から4月中旬にかけて、原油価格は季節的に弱含みやすいこと、昨年の3月6日に開催されたOPECプラス閣僚級会合で、OPEC産油国が減産強化を主張する中、非OPECの代表であるロシアが減産に反発したことで交渉が決裂、4月から生産が自由になり、さらにはサウジアラビアが原油価格に上乗せする価格調整金を大幅に引き下げたことを材料に原油価格が急落、WTIがマイナス価格になるまで下落するなど、生産者にとっては厳しい状況に陥ったことへのトラウマ、コロナウイルスの変異型に対する現在のワクチンの有効性が不透明な中、人や物の移動制限解除が想定よりも遅くなるのではないか、といったあたりが要因だろう。

いずれにしても、少なくとも4月は減産が継続される見込みであり、米エネルギー省も今年の4月以降は供給過剰に転じると予想していたが、恐らく供給不足のままであり、原油価格には上昇圧力が掛りやすい。

このように、世界最大のカルテルであるOPECが生産調整を行えば、原油価格は自由に操作できる、ように見える。しかし実際には必ずしもそうなるわけではない。それはなぜか。OPECが減産を決定するのは高い確率で原油価格が下落している時である。「需給時間差の原油価格への影響」でも触れているが、商品価格の動向を決めるのは「需要」である。つまり、原油価格が下落している時は基本的には「景気が減速して需要が減少、ないしは需要の伸びが減速している」時で、生産調整を行っても、需要の減少が下げ止まらなければ価格は反転しない。なお、需要が減少している時に産油国が減産を行うのはある意味当然である。というのも、地下にある原油を掘り出して地上に引き上げた場合、販売先が引き受けてくれれば良いのだが、販売先が決まっていない場合には生産者はその原油を自身で維持・管理しなければならない。それには当然コストがかかる。地中に埋まったままにしておけばかからなかったコストが追加でかかるようになるのだ(注:保有する保管設備の容量の範囲内なら、必ずしも追加でコストがかかる訳ではない)。そのため、需要減少期には自動的に産油国には減産バイアスがかかりやすい。しかし、サウジアラビアを初めとする産油国は、原油販売が歳入の大半を占めているため、価格が下落と生産減少が続いた場合、歳入が減少して財政状況が悪化することになる。そのため、原油価格が下落している局面では、仮に各国が減産で合意していたとしても抜け駆けで増産が発生するリスクが高まる。結局、需要が回復しないことには価格は上昇しない。過去、何らかの需要側のショックで価格が下落した際に、価格が上昇に転じるまでに時間がかかったのは、価格の下落によって需要が喚起されるまでに時間がかかるためだ。もちろん、需要の減少分を遙かに上回る規模の減産が行われれば話は別だが、産油国の場合、減産は直接的に歳入の減少に繋がるため、容易に選択できるオプションではない。そのため、今回の減産維持決定による価格上昇は、OPEC諸国が価格下落を警戒しているものの、実は「需要が回復している」ことを示唆している。

実際、米国の石油統計を見ていると経済対策の強化によって商業向けの需要は回復しており、さらにはコロナウイルスのワクチン開発と接種が進んでいることから、将来の需要回復期待は根強い。その状況での減産維持であるため、しばらくの間、原油価格には上昇圧力が掛ることになるだろう。コロナ下では一顧だにされなかった中東産油国間での武力衝突もこの状況では材料にされやすくなる。「原油価格から乖離して上昇する期待インフレ率」でその可能性は低いと指摘していたWTI・80ドルも、ありえない話ではなくなってきた。

しかし、景気回復の足取りがまだしっかりしたものではないこと、OPECプラスもまだ膨大な生産余力を抱えていること、価格上昇が続けば脱炭素バイアスがかかっているとしても米国の生産者の増産バイアスが強まること、原油・石油製品価格の上昇が需要を減じる可能性があることから、今回の減産決定による価格上昇が、逆に中期的には原油価格を下押しする材料になり得る。OPECはどのようなペースで減産を解除するのか。再び難しい状況に置かれることになるだろう。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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