先週の日経225先物は週間で60円安の32,420円と反落。
米雇用統計で労働市場の逼迫緩和が示唆されたことや為替の円安に加え、インフレ鈍化と底堅い景気による米国経済のソフトランディング(軟着陸)期待も支援材料に、週半ばまでは堅調に推移した。
しかし、サウジアラビアの減産延長を背景に原油市況が昨年11月中旬以来の水準にまで上昇したほか、米ISM非製造業景況指数の雇用と価格の項目が上昇したことを契機に、米雇用統計後に上昇を再開していた米10年債利回りが一段と上昇、株式市場の調整要因として働いた。
週末にかけては9月限先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)に絡んだ買い戻しが一服するなか、中国政府による米アップル製品への規制強化を受けた米中対立懸念や為替の円安基調の一服なども背景に一段と株価は下落する展開となった。
なお、SQ値は32,921.39円だった。週末の日経225先物はSQ値を大幅に下回った推移となり、「幻のSQ」となった。
9月1日時点の裁定残高は、ネットベースで1兆2,104億円の買い越し(前週は7,551億円の買い越し)と増加した。
一方、株数ベースでは、4億8,908万株の買い越しで、8月25日時点(3億1,395万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(9月1日時点)
裁定売りで買い方は裁定業者が主体
週末を除いて全体的にメジャーSQに伴うロール(限月乗り換え)が中心だった。
週末については、日経225先物の売り方では商品投資顧問(CTA)との連動性が高いドイツが大きく売り越した一方、買い方では、裁定売り(先物買い・現物売り)が強まり、AアムロCが大幅に買い越した。
TOPIX先物では売り方でBofA、JPモルガン、モルガンSが大幅に売り越した一方、買い方では、裁定売りからソジェン、AアムロCが買い越した。また、週末はGSがTOPIX先物を1,000枚超買い越した。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で0.38pt高の17.24と上昇。
米長期金利の動向や米中対立などが気がかりな中、週末にかけて下値への警戒感が高まり、プット(売る権利)が買われたことで、日経VIは上昇した。
10月限オプション取引の建玉状況
<コール>
34,000円に約4,850枚
33,500円に約5,400枚
33,000円に約5,500枚
32,500円に約3,800枚
<プット>
30,000円に約10,800枚
30,500円に約4,500枚
31,000円に約4,900枚
32,000円に約4,500枚
32,500円に約3,100枚
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、米長期金利の上昇や米中対立懸念、買い戻し一巡感が重し
NT倍率(先物)は低下。米雇用統計は労働市場の軟化を示唆したが、レーバーデー明け後の企業の社債発行の増加を見越して米長期金利は再び上昇基調に転じていた。
また、原油市況の上昇や米経済指標の上振れを背景に金利は一段と上昇し、現物市場ではハイテクの重しになった。
週後半にはメジャーSQに向けた買い戻し一巡感や米アップル製品を巡る米中対立の悪化懸念も加わり、ハイテクはさらに軟化。
こうした物色動向を映し、先物市場では日経225先物主導で下落、NT倍率は13.85と2月下旬以来の水準にまで低下した。
今週の日経225先物は神経質な展開か。米長期金利の先高観がくすぶるなか、13日には米消費者物価指数(CPI)、14日には米卸売物価指数(PPI)、欧州中央銀行(ECB)定例理事会、15日には米9月ミシガン大学消費者信頼感指数の期待インフレ率などが発表予定で、週末まで警戒感の高い状況が続きそうだ。
来週には日米の金融政策決定会合も控えており、指標の結果次第では波乱含みの展開が予想される。
先週のメジャーSQの前日から東京株式市場は調整色を深めており、SQを境に買い戻しが一服し、需給は悪化し始めている印象がある。
また、東京証券取引所が6日に公表した1日時点の裁定残高はネットベースで1兆2,104.03億円の買い越しと、前週(7,551.34億円の買い越し)から大幅に増加した。
ここからも買い戻しが既に一巡している可能性が示唆されている。
奇しくも、米中対立の懸念などを背景に米アップルを筆頭にハイテク株の調整色が深まっており、悪材料に反応しやすい状況が創出されている。
指標結果を受けて米長期金利が一段と上昇した場合にはリスク回避の動きが先行しやすく、海外短期筋の先物売りが裁定売りを誘発する可能性も想定される。
今週は要警戒の週となろう。今週の225先物予想レンジは31,700−33,000円。
経済スケジュール(9月11日〜9月17日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
9月11日 | 月 | 国内 | 08:50 | マネーストック(8月) |
15:00 | 工作機械受注(8月) | |||
海外 | 16:00 | トルコ・失業率(7月) | ||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(先週) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
27:00 | ブ・貿易収支(先週) | |||
中・マネーサプライ(8月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出残高(8月、15日までに) | ||||
中・資金調達総額(8月、15日までに) | ||||
米バイデン大統領がアラスカ訪問 | ||||
米・同時多発テロから22年 | ||||
米・3年物国債入札 | ||||
欧・欧州委員会(EC)が経済見通しを発表 | ||||
露・東方経済フォーラム(10-13日) | ||||
オーストリア・国際原子力機関(IAEA)理事会(15日まで) | ||||
タイ・新首相が施政方針演説 | ||||
9月12日 | 火 | 国内 | 10:00 | 営業毎旬報告(9月10日現在、日本銀行) |
ライズ・コンサルティング・グループが東証グロースに新規上場(公開価格:850円) | ||||
決算発表 神戸物産 | ||||
海外 | 15:00 | 英・失業率(8月) | ||
15:00 | 英・ILO失業率(3カ月)(7月) | |||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(先週) | |||
18:00 | 独・ZEW期待指数(9月) | |||
21:00 | 印・鉱工業生産(7月) | |||
21:00 | 印・消費者物価指数(8月) | |||
21:00 | ブ・拡大消費者物価指数(IPCA)(8月) | |||
米・10年物国債入札 | ||||
米・アップルがイベント開催 | ||||
石油輸出国機構(OPEC)月報 | ||||
独・2年債入札 | ||||
9月13日 | 水 | 国内 | 08:50 | 景況判断BSI大企業全産業(7-9月) |
08:50 | 景況判断BSI大企業製造業(7-9月) | |||
08:50 | 国内企業物価指数(8月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存5-10年、残存25年超)(日本銀行) | |||
海外 | 15:00 | 英・鉱工業生産指数(7月) | ||
15:00 | 英・商品貿易収支(7月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(7月) | |||
21:30 | 米・消費者物価コア指数(8月) | |||
27:00 | 米・財政収支(8月) | |||
印・貿易収支(8月、15日までに) | ||||
米・30年物国債入札 | ||||
米・民主党シューマー上院院内総務のAIフォーラム | ||||
北米国際自動車ショー(NAIAS)のプレスデー(一般公開は16-24日) | ||||
英・アームのIPO価格決定の予定 | ||||
伊・3年債、7年債入札 | ||||
独・30年債入札 | ||||
9月14日 | 木 | 国内 | 08:50 | コア機械受注(7月) |
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
13:30 | 設備稼働率(7月) | |||
13:30 | 鉱工業生産(7月) | |||
ニデックがTAKISAWAに対し株式公開買い付け開始予定 | ||||
海外 | 10:30 | 豪・失業率(8月) | ||
15:30 | 印・卸売物価指数(8月) | |||
21:00 | ブ・IBGEサービス部門売上高(7月) | |||
21:15 | 欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、ラガルド総裁が記者会見 | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
21:30 | 米・小売売上高(8月) | |||
21:30 | 米・生産者物価コア指数(8月) | |||
23:00 | 米・企業在庫(7月) | |||
英・アームが取引開始の予定 | ||||
9月15日 | 金 | 国内 | 13:30 | 第3次産業活動指数(7月) |
海外 | 10:20 | 中・1年物中期貸出ファシリティ金利 | ||
10:30 | 中・新築住宅価格(8月) | |||
11:00 | 中・鉱工業生産指数(8月) | |||
11:00 | 中・小売売上高(8月) | |||
11:00 | 中・固定資産投資(都市部)(8月) | |||
11:00 | 中・不動産投資(8月) | |||
11:00 | 中・調査失業率(8月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏貿易収支(7月) | |||
19:30 | 露・ロシア中央銀行が政策金利発表 | |||
21:00 | ブ・小売売上高(7月) | |||
21:30 | 米・輸入物価指数(8月) | |||
21:30 | 米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(9月) | |||
22:15 | 米・鉱工業生産指数(8月) | |||
22:15 | 米・設備稼働率(8月) | |||
23:00 | 米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(9月) | |||
欧・ユーロ圏財務相会合 | ||||
欧・欧州連合(欧)財務相非公式理事会(16日まで) | ||||
9月17日 | 日 | 海外 | 豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)ロウ総裁が任期切れ |
- 提供:フィスコ社