先週の日経225先物は週間で1,480円高の30,900円と6週続伸。
この週は負けなしの6日続伸で、6日間の1日当たりの上昇幅は全日3ケタを記録した。
東証のPBR改善要請や著名投資家バフェット氏の日本株への追加投資表明、植田日銀体制下での金融緩和継続などを背景に、相対的な不安材料に乏しい日本株に対する海外投資家の注目度が高まり、4月からは海外勢の記録的な現物買いが続いていた。
ただ、先週半ばからは現物市場において値がさ株の上昇率が目立つなど、先物主導の買いに変わっていった。
日経225先物が大台の3万円を超えたことで売り方の買い戻しが加速したほか、商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロー型ファンドの買いも押し上げ役として加わった。
特に週後半の2日間は先物の売買高が急増、19日は夜間取引だけで売買高が3万枚を超えるなど異例の盛り上がりを見せた。
ほか、日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信(ETF)<1570>を通じて売り方に回っていた個人投資家なども踏み上げに見舞われたと思われる。
5月12日時点の裁定残高は、ネットベースで8,752億円の買い越し(前週は6,784億円の買い越し)と増加した。一方、株数ベースでは、3億4,741万株の買い越しで、5月2日時点(3億1,002万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(5月12日時点)
ドイツ証券が両先物で売り越しに転換
日経225先物の売り方では裁定買いの動きからAアムロCが累計トップとなったほか、日産証券とモルガンSが売り越し基調。買い方では前週までから一転してドイツ証券が買い越し基調を見せたほか、バークレイズとJPモルガンは前週に続き上位に入った。
TOPIX先物の売り方ではJPモルガンが大幅に売り越した。三菱UFJは前週に続き上位に入り、SMBC日興も久々に上位となる。裁定買いの動きからBNPパリバも前週に続き大きく売り越した。買い方ではBofA証券が2週連続で大きく買い越し累計トップ。
ドイツ証券は前週までから一転して買い越し基調。ほか、バークレイズ、モルガンS、GSの海外勢が目立った。
日経225先物手口(期近)週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は4.29pt高の20.07と大幅上昇。
終値で20を超えたのは3月下旬以来となる。日経225先物が急ピッチで上昇するなか、一段高を期待する向きと反動による下落を警戒する向きとで先行きに対する見方が大きく分かれたもよう。
オプション市場では現行価格水準から離れた権利行使価格のコールやプットの取引が活発になった。
6月限オプション取引の建玉状況
<コール>
34,000円:約4,900枚(前週末比+3,300枚)
33,000円:約7,400枚(+3,100枚)
32,000円:約12,100枚(+5,900枚)
31,000円:約9,400枚(+0枚)
30,500円:約8,600枚(−300枚)
30,000円:約12,400枚(−1,700枚)
29,500円:約7,000枚(−300枚)
<プット>
26,000円:約21,100枚(−500枚)
26,500円:約12,100枚(+1,500枚)
27,000円:約21,900枚(+6,900枚)
27,500円:約10,800枚(−600枚)
28,000円:約15,400枚(+4,500枚)
28,500円:約8,500枚(+2,500枚)
29,000円:約9,400枚(+3,700枚)。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は大幅に上昇、昨年12月中旬来の水準、3万円突破でCTA買い強まる
NT倍率(先物)は大幅に上昇。東証のPBR1倍割れ企業への改善要請や米著名投資家バフェット氏の追加投資表明、植田日銀体制下での金融緩和継続などを背景に日本株への見直し機運が高まった。
こうした中、日本株へのエクスポージャーを効率的に取得できる先物買いも強まったもよう。
また、日経平均が3万円を回復したことで商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロー型ファンドの買いが加速したほか、レバレッジ型ETFを通じて日経平均をショート(売り持ち)していた個人投資家による買い戻しも強まった。
こうした背景から、日経225先物主導の急伸劇が続き、NT倍率は週を通して上昇、週末には昨年12月中旬以来の水準にまで上昇した。
今週の日経225先物は上昇継続か。
現物の日経平均がバブル崩壊後の高値を更新したことで、さすがにスピード調整が警戒されているが、節目の31,000円をキープできるかが焦点。
先週末に株高に寄与していた米連邦政府の債務上限問題で「交渉が一時停止」などとネガティブな報道がされており、為替の円安一服とともに調整売りが出そうだ。
先週はドイツ証券が前の週までの売り越し基調から一転して225先物とTOPIX先物で大きく買い越しに転じるなど、225先物の3万円突破を受けてCTAが買い方に回った様子が窺われた。
米国株が大きく崩れなければ、東京市場の調整も軽微にとどまるだろうが、米株が大きく下落した場合には、225先物もこれまでの上昇ピッチが速かった分、反動売りが出やすい。
さらに、節目の31,000円を維持できれば問題ないが、これを下回ると、買い方に転じたばかりのCTAが再び売り手に回る可能性が考えられ、その場合、29,500円までの調整は不可避と考えられる。今週は米債務上限問題の行方に要注視だ。
ただ、急ピッチな株価上昇と米国の債務上限問題の中で個人投資家の売り姿勢が強まっているが、海外勢の断続的な買いは継続しており、短絡的な売姿勢は禁物。相場を素直に見ることが重要な局面。
今週の225先物予想レンジは29,500−31,500円とする。
経済スケジュール(5月22日〜5月28日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
5月22日 | 月 | 国内 | 08:50 | コア機械受注(3月) |
海外 | 10:15 | 中・1年物ローンプライムレート(LPR) | ||
10:15 | 中・5年物ローンプライムレート(LPR) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
23:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(5月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(先週) | |||
米・セントルイス連銀総裁が講演 | ||||
米・リッチモンド連銀総裁とアトランタ連銀総裁がリッチモンド連銀主催の会合で討論 | ||||
欧・欧州連合(欧)外相理事会 | ||||
韓・欧・韓国首脳会談 | ||||
エジプト・アフリカ開発銀行(AfDB)及びアフリカ開発基金(AfDF)年次総会(26日まで) | ||||
5月23日 | 火 | 国内 | 09:30 | 製造業PMI(5月) |
09:30 | サービス業PMI(5月) | |||
09:30 | 総合PMI(5月) | |||
10:00 | 営業毎旬報告(5月20日現在、日本銀行) | |||
14:00 | 基調的なインフレ率を捕捉するための指標(4月、日本銀行) | |||
14:30 | 東京地区百貨店売上高(4月) | |||
14:30 | 全国百貨店売上高(4月) | |||
海外 | 16:30 | 独・製造業PMI5月) | ||
16:30 | 独・サービス業PMI(5月) | |||
16:30 | 独・総合PMI(5月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(5月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏サービス業PMI(5月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏総合PMI(5月) | |||
17:00 | 欧・ユーロ圏経常収支(3月) | |||
17:30 | 英・製造業PMI(5月) | |||
17:30 | 英・サービス業PMI(5月) | |||
17:30 | 英・総合PMI(5月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(先週) | |||
22:45 | 米・製造業PMI(5月) | |||
22:45 | 米・サービス業PMI(5月) | |||
22:45 | 米・総合PMI(5月) | |||
23:00 | 米・新築住宅販売件数(4月) | |||
米・ダラス連銀総裁が歓迎のあいさつ (リッチモンド連銀主催の会合2日目) | ||||
欧・欧外相理事会(国防) | ||||
カタール経済フォーラム(25日まで) | ||||
米・2年債入札 | ||||
独・2年債入札 | ||||
5月24日 | 水 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存3-5年、残存5-10年、残存10-25年)(日本銀行) |
13:30 | 相場操縦事件でSMBC日興証券元幹部らの初公判 | |||
15:00 | 工作機械受注(4月) | |||
海外 | 11:00 | NZ・ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||
15:00 | 英・消費者物価コア指数(4月) | |||
15:00 | 英・生産者物価産出指数(4月) | |||
17:00 | 独・IFO企業景況感指数(5月) | |||
26:30 | ブ・連邦政府債務残高(4月) | |||
27:00 | 米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月2-3日会合分) | |||
英・ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁がネットゼロ・デリバリー・サミットで講演 | ||||
英・中銀総裁がWSJ主催のイベントで講演 | ||||
米・5年債、2年変動利付債入札 | ||||
独・15年債入札 | ||||
5月25日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
海外 | 15:00 | 独・GDP改定値(1-3月) | ||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(先週) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者信頼感(5月) | |||
20:00 | トルコ・中央銀行が政策金利発表 | |||
21:00 | ブ・IBGEインフレ率IPCA-15(5月) | |||
21:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
21:30 | 米・GDP改定値(1-3月) | |||
23:00 | 米・中古住宅販売成約指数(4月) | |||
南ア・南アフリカ準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||||
韓・中央銀行が政策金利発表 | ||||
欧・欧外相理事会(貿易) | ||||
米・アジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合(26日まで) | ||||
米・7年債入札 | ||||
伊・2年債入札 | ||||
5月26日 | 金 | 国内 | 08:30 | 東京CPI(5月) |
08:50 | 企業向けサービス価格指数(4月) | |||
海外 | 10:30 | 豪・小売売上高(4月) | ||
15:00 | 英・小売売上高指数(4月) | |||
20:00 | ブ・FGV建設コスト(5月) | |||
21:30 | 米・耐久財受注(4月) | |||
21:30 | 米・卸売在庫(4月) | |||
21:30 | 米・個人所得(4月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(4月) | |||
21:30 | 米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(4月) | |||
23:00 | 米・ミシガン大学消費者マインド指数(5月) | |||
香港・株式市場は祝日のため休場 | ||||
5月27日 | 土 | 海外 | 10:30 | 中・工業利益(4月) |
5月28日 | 日 | 海外 | トルコ・大統領選決選投票 |
- 提供:フィスコ社