先週の225先物は週間で450円高(上昇率1.61%)の28,330円と反発。
週明けは小幅ながら上昇スタート。米ボストン連銀・コリンズ総裁のタカ派発言を受けて米長期金利が上昇していた中ではあったが、28,000円割れでは買い需要が根強く観測された。
22日は150円高と続伸。米サンフランシスコ連銀・デーリー総裁が、過剰な利上げが時間差を伴って実体経済に及ぼす影響に懸念を示したことがハト派的と捉えられ、投資家心理にプラスに働く中、国内祝日前の売り方の買い戻しが入った。
また、商品投資顧問(CTA)の買い観測も聞かれた。祝日明け24日は250円高と続伸。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でメンバーの大半が利上げペースの減速で見解が一致していることが判明し、米金利低下・米株高の流れを引き継ぐ形となった。
ただ、心理的な節目の28,500円近辺では戻り待ちの売り圧力も強く失速した。
週末25日は前の日の米国市場が感謝祭の祝日で休場となる中、手掛かり材料難となり、動意に乏しい展開の末に40円安と小反落。
なお、祝日を挟んだ22、24日はTOPIX先物の売買高が225先物より大幅に増加し、グローバルマクロ系ファンドのTOPIX先物買いが入っているとの指摘が聞かれた。
11月18日時点の裁定残高は、ネットベースで2,504億円の買い越しとなり、前週(194億円の売り越し)から買い越しに転じた。一方、株数ベースでは、1億116万株の買い越しで、11月11日時点(1,722万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(11月18日時点)
TOPIX先物ではGSが大幅買い越し
全体的に手掛かり材料難の中、225先物では目立った手口が少なかった。
売り方トップはAアムロCで、主に裁定買い(現物買い・先物売り)の動きと推察される。一方、買い方では小幅ながらバークレイズやGSなど海外勢が上位に並んだ。
対してTOPIX先物では売買が比較的活発となり、売り方では裁定買いの動きと思われるソジェンのほか、BofA証券やBNPパリバが上位に入った。
買い方ではGSが大きく買い越し、グローバルマクロ系ファンドの動きと推察される。また、JPモルガンやモルガンSの買い越しも目立った。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
先週の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は週間で0.71pt安(下落率3.90%)の17.49と低下。
現物の日経平均株価が位置する水準に近い権利行使価格のオプション取引の建玉が増加する一方、離れた価格帯のオプション取引の建玉は減少したことで、日経VIの低下につながった。
オプション建玉の多いところで、コール(買う権利)では権利行使価格31,000円に約11,400枚(前週末比約100枚減)、30,000円に約12,300枚(約800枚減)、29,500円に約11,400枚(約900枚増)、29,000円に約19,400枚(約500枚増)、28,500円に約12,300枚(約300枚増)、28,000円に約14,800枚(約400枚減)となっている。
一方、プット(売る権利)では25,000円に約19,100枚(約1,800枚減)、26,000円に約20,000枚(約400枚増)、26,500円に約10,900枚(約500枚増)、27,000円に約13,700枚(約1,100枚増)、27,500円に約10,700枚(約100枚増)、28,000円に約13,800枚(約2,600枚増)となっている。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、グローバルマクロ系ファンドのTOPIX先物買い観測
NT倍率(先物)は低下。日米ともに株式市場の立ち会いが4日に限られるなど、手掛かり材料に乏しい週であったこともあり、日経225先物での目立った手口は少なかった。
一方、来年の世界経済の減速度合いは想定程には悪くないとみたのか、ゴールドマン・サックス証券が連日でTOPIX先物を大幅に買い越すなど、グローバルマクロ系ファンドのTOPIX先物買いが観測された。
こうした背景から、先物市場では日経225先物よりもTOPIX先物が相対的に優勢の展開となり、NT倍率の低下につながった。
今週の225先物は弱含みか。
30日にFRBのパウエル議長の講演があるほか、12月1日には米10月個人消費支出(PCE)コアデフレータ、2日には米11月雇用統計と重要イベントが多くある。
PCEコアについては既に発表済みの10月の物価指標の減速から、同様に伸びの鈍化が期待される一方、雇用統計では平均賃金の下方硬直性が懸念され、週末にかけては神経質になりやすいだろう。
また、先週までの米10年債利回りの低下基調が金融緩和的な環境を生み出してしまっているが、こうした状況はFRBにとって望ましくなく、30日のパウエル議長の講演には要警戒だ。
ほか、先週はTOPIX先物でグローバルマクロ系ファンドの買いが観測されていたが、その手口と推察されるGSの12月限TOPIX先物の建玉をみると、24日にかけての大幅な買い越しにより、すでに同日時点で売り持ちから買い持ちに転じている。
余程の買い材料でも出てこない限り、GSによるTOPIX先物買いもすでに一服したと推察され、ここから先の株式市場の上昇には材料不足と考える。今週の225先物予想レンジは27,500-28,700円とする。
経済スケジュール(11月28日〜12月4日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
11月28日 | 月 | 国内 | 10:10 | 国債買い入れオペ(残存3-5年、残存5-10年、残存10-25年、残存25年超)(日本銀行) |
海外 | 09:30 | 豪・小売売上高(10月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏マネーサプライ(10月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
21:00 | ブ・個人ローン・デフォルト率(10月) | |||
21:00 | ブ・ローン残高(10月) | |||
21:00 | ブ・融資残高(10月) | |||
22:30 | 加・経常収支(7-9月) | |||
欧・欧州連合(欧)外相理事会 | ||||
米・サイバーマンデー(感謝祭翌週の月曜日) | ||||
11月29日 | 火 | 国内 | 08:30 | 有効求人倍率(10月) |
08:30 | 失業率(10月) | |||
08:50 | 小売売上高(10月) | |||
08:50 | 百貨店・スーパー売上高(10月) | |||
海外 | 17:00 | スイス・GDP(7-9月) | ||
18:30 | 南ア・失業率(7-9月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(11月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏景況感指数(11月) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレIGPM(11月) | |||
22:00 | 独・消費者物価指数(11月) | |||
23:00 | 米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(9月) | |||
23:00 | 米・FHFA住宅価格指数(9月) | |||
24:00 | 米・消費者信頼感指数(11月) | |||
米・1年債入札 | ||||
伊・10年債、5年債入札 | ||||
11月30日 | 水 | 国内 | 08:50 | 鉱工業生産指数(10月) |
14:00 | 住宅着工件数(10月) | |||
15:30 | 村田製作所が中期方針などに関する説明会を開催 | |||
19:00 | 外国為替平衡操作の実施状況(10月28日-11月28日) | |||
ウェルプレイド・ライゼストが東証グロースに新規上場(公開価格:1170円) | ||||
海外 | 10:30 | 中・製造業PMI(11月) | ||
10:30 | 中・非製造業PMI(11月) | |||
10:30 | 中・総合PMI(11月) | |||
16:00 | トルコ・GDP(7-9月) | |||
17:55 | 独・失業率(失業保険申請率)(11月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(11月) | |||
19:30 | 印・財政赤字(10月) | |||
21:00 | 印・インフラ産業8業種(10月) | |||
21:00 | 印・GDP(7-9月) | |||
21:00 | ブ・全国失業率(10月) | |||
21:00 | 南ア・貿易収支(10月) | |||
21:30 | ブ・基礎的財政収支(10月) | |||
21:30 | ブ・純債務対GDP比(10月) | |||
22:15 | 米・ADP全米雇用報告(11月) | |||
22:30 | 米・GDP改定値(7-9月) | |||
22:30 | 米・卸売在庫(10月) | |||
23:45 | 米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(11月) | |||
24:00 | 米・求人件数(10月) | |||
24:00 | 米・中古住宅販売成約指数(10月) | |||
米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演 | ||||
米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表 | ||||
独・10年債入札 | ||||
12月1日 | 木 | 国内 | 08:50 | 設備投資(7-9月) |
08:50 | 企業利益(7-9月) | |||
08:50 | 企業売上高(7-9月) | |||
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
09:30 | 製造業PMI(11月) | |||
10:30 | 野口日銀審議委員が秋田県金融経済懇談会で講演、同記者会見 | |||
14:00 | 消費者態度指数(11月) | |||
14:00 | 自動車販売台数(11月) | |||
15:10 | 黒田日銀総裁がアジア開発銀行研究所25周年記念式典であいさつ | |||
サイフューズが東証グロースに新規上場(公開価格:1620円) | ||||
海外 | 08:00 | 韓・GDP(7-9月) | ||
10:45 | 中・財新製造業PMI(11月) | |||
14:00 | 印・製造業PMI(11月) | |||
16:30 | スイス・消費者物価指数(11月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(11月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏失業率(10月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(11月) | |||
21:00 | ブ・GDP(7-9月) | |||
22:00 | ブ・製造業PMI(11月) | |||
22:30 | 米・個人所得(10月) | |||
22:30 | 米・個人消費支出(10月) | |||
22:30 | 米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(10月) | |||
22:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
23:45 | 米・製造業PMI(11月) | |||
24:00 | 米・ISM製造業景況指数(11月) | |||
24:00 | 米・建設支出(10月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(11月) | |||
米・自動車販売(11月、2日までに) | ||||
米仏首脳会談 | ||||
欧・欧州安全保障協力機構(OSCE)閣僚会合(2日まで) | ||||
印・G20議長国に就任 | ||||
米・テスラがEVトラック「セミ」納車イベント | ||||
12月2日 | 金 | 国内 | 08:50 | マネタリーベース(11月) |
10:00 | 営業毎旬報告(11月30日現在、日本銀行) | |||
10:30 | 黒田日銀総裁がASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)主催のフォーラムであいさつ | |||
海外 | 16:00 | 独・貿易収支(10月) | ||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(11月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏生産者物価指数(10月) | |||
21:00 | ブ・鉱工業生産(10月) | |||
22:30 | 米・非農業部門雇用者数(11月) | |||
22:30 | 米・失業率(11月) | |||
22:30 | 米・平均時給(11月) | |||
22:30 | 加・失業率(11月) | |||
米・シカゴ連銀総裁がイベントで基調講演 | ||||
欧・ECB総裁がパネル討論会に参加 | ||||
12月4日 | 日 | 海外 | 「OPECプラス」閣僚級会合 |
- 提供:フィスコ社