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「米国株スクリーナー」を使った業績好調小売銘柄のスクリーニング
〜米国企業の業績についてドル高の影響が気にされていることから、ドル高がメリットに効く小売銘柄についてのスクリーニングをご紹介します〜
急激に進んだドル高
現在米国の株式市場では、米国企業の業績に対するドル高の影響が気にされています。主要500社の海外売上比率は約3割と言われ、特に海外売上比率が高いグローバル企業については、その影響が懸念されて物色が抑制される要因になっているようです。
図表1は、複数の主要通貨に対するドルの総合的な価値を測るドル指数の長期の推移で、昨年後半からドル高が進んだ状況が分かります。ここまでの上昇が急ピッチであったため、目先はスピード調整が入る可能性もあるでしょう。一方、値幅では2003年から2007年にかけて進んだドル安の半分程度を戻した水準であり、世界と米国の金融政策の方向性の違いを考慮すれば中期的にはまだ上昇する可能性が高いと言えそうです。
Bloomberg よりSBI証券が作成。
注:週次データ。2015年4月3日現在。
ドル高の米企業業績へのインパクトを考える
ドル高の企業業績へのインパクトを考えるために、ドル指数の四半期ごとの前年同期比の変化率を計算したものが図表2です。
15年1Q(第1四半期)までの実績は青色で、15年2Q(第2四半期)以降は、足もとの水準が今後も続いたとして計算したもので、ピンク色で示しています。
これを見ると、ドル高のインパクト(米国外売上・利益の目減りの影響)が最も大きく出るのは、これから決算発表を迎える15年1−3月期であることが分かります。今回の四半期決算発表では、ドル高による企業業績への影響とそれに対する市場の反応が特に注目されると言えるでしょう。
今四半期のインパクトが最大ならば、グローバル企業が為替要因による業績悪化で売られたところを拾うというのも短期的な投資戦略として可能ではないでしょうか。
Bloomberg よりSBI証券が作成。
注:週次データ。2015年4月7日現在。
ドル高がメリットとなり、個人消費堅調の恩恵を受ける小売セクター
しかし、 1.中期のトレンドは依然ドル高の可能性が高く、米国の内需株への物色は息の長いものになりそう、また、 2.雇用の改善、ガソリン安などから、米国の個人消費は堅調が続くと見込まれる、との投資環境に対する判断から、今回は「米国株スクリーナー」を使ってドル高がメリットに効く小売業種の業績好調企業をスクリーニングしています。
スクリーニングの条件は、以下の5つです。
1. 小売業種に属する
2. 実績および予想売上高成長率5%以上
3. 自己資本利益率20%以上
4. 過去3ヶ月の株価値上がり率がプラス
5. 時価総額50億ドル以上
スクリーニングの結果は以下の8銘柄で、投資指標としてPERを付けてあります。
(※米国企業のみ選出)
コード |
銘柄名 |
市場 |
財務 |
現在値 |
前日比(%) |
売上高成長率(%)- |
売上高成長率 |
ROE(自己資本利益率)(%) |
時価総額 |
値上り率(%)- |
PER(株価収益率)(倍) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
AN |
NYSE |
(連) |
64.9 |
+0.4 |
9.08 |
7.23 |
20.31 |
7,325 |
9.79 |
18.01 |
|
DLTR |
NASDAQ |
(連) |
81 |
-0.1 |
9.72 |
9.39 |
40.55 |
16,691 |
17.93 |
27.89 |
|
JWN |
NYSE |
(連) |
80.3 |
+0.3 |
7.7 |
7.68 |
31.86 |
15,225 |
4.56 |
21.1 |
|
ORLY |
NASDAQ |
(連) |
216.2 |
+0.6 |
8.52 |
7.17 |
39.06 |
21,946 |
14.95 |
28.88 |
|
ROST |
NASDAQ |
(連) |
104 |
0.0 |
7.93 |
6.83 |
43.15 |
21,562 |
10.78 |
23.24 |
|
TSCO |
NASDAQ |
(連) |
86.2 |
+0.6 (+0.72%) |
10.59 |
10.09 |
29.2 |
11,685 |
14.53 |
31.8 |
|
ULTA |
NASDAQ |
(連) |
153.3 |
+1.9 |
21.37 |
16.47 |
22.85 |
9,720 |
20.73 |
37.86 |
|
WSM |
NYSE |
(連) |
79.4 |
-0.2 |
7.08 |
6.21 |
24.9 |
7,296 |
7.14 |
24.14 |
注:「売上高成長率(%)− 前年度比」は、直近期実績の売上成長率、「売上高成長率(予)(%)」は、今期予想の売上成長率。SBI証券の米国株スクリーナーを基に作成。2015年4月7日現在。
コード |
銘柄名 |
事業内容 |
---|---|---|
AN |
米国最大の自動車小売業者で、新車および中古車を取り扱う。 |
|
DLTR |
日用雑貨を均一価格で販売するディスカウントバラエティーストア。日本の百円ショップに近い。 |
|
JWN |
全米で有数の百貨店チェーン。 |
|
ORLY |
自動車用品の小売チェーン大手。日本のオートバックスに近い。 |
|
ROST |
衣料品・アクセサリー・靴などのディスカウント・チェーン。通常販売価格の20〜60%引きで日常販売する。 |
|
TSCO |
郊外型の生活を楽しむ人のためのホームセンターチェーン。 |
|
ULTA |
独立店舗で美容関連商品のワンストップショップサービスとサロンサービスを展開する。 |
|
WSM |
高級キッチン用品を中心に家具なども取り扱う専門小売業者。ネット販売が5割を占める。 |
各種資料よりSBI証券が作成。2015年3月末現在。
いずれも米国売上比率が100%に近いため、日本人にはあまり馴染みのない銘柄となっていますが、高成長が期待されている米国の優良小売銘柄と言えそうです。今後、折に触れ、注目していきたいと思います。
今回は上記銘柄の中からウィリアムズ ソノマ(WSM)をご紹介します。当社は、有名シェフやセレブも御用達で、アメリカでとても人気が高い高級キッチン用品を販売する会社です。
> ドル高の恩恵に期待
当社の商品調達は主にアジア・欧州で、販売は主に米国のため、ドル高の恩恵が大きいと期待されています。ドル建取引が多いため直ぐには効果は表面化しないものの、交易条件の改善は中期的に利益率を押し上げる可能性が高いと見込まれています。
> ネット販売で成功している会社
当社のネット売上比率は50%に達しています。米国の小売企業への投資を検討する場合、アマゾンとの競合がどうかということが一つのチェックポイントになります。当社は多くの独自企画の商品をネットで販売することに成功しており、この面での懸念は小さいと考えることができそうです。
> 一時的要因で今四半期は減益見通し
当社は3月18日の決算発表時に、今四半期(3月〜5月)の比較可能売上高の前年同期比伸び率が前四半期の+5%から同+2〜4%へ鈍化、EPSは0.40〜0.45ドルと前年同期の0.46ドルから減少するとの見通しを発表しました。これを受けて株価も軟調となりました。しかし、売上減速とEPSの減少見通しは、西海岸の港湾問題の影響を受けたもので一時的とも考えられます。年末にかけて業績のモメンタムは改善していくことが見込まれそうです。
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