今週の株式見通し(2024/4/8~4/12)
今週(2024/4/8-4/12)の日経平均株価の予想レンジは39,000円-40,000円。東京株式市場は週末のSQ(特別清算指数)算出日を控え、4万円を意識する場面も想定される。
4/5の米国株式市場は反発した。注目された米3月雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が30.3万人増と予想の20.0万人増を大きく上回り、米10年債利回りが上昇。ただ、リセッション懸念の後退や企業業績の拡大期待などを背景に、前日の大幅安の反動で上昇幅を拡大した。米国市場は大幅安があれば押し目買いで大幅高する保ち合い相場が継続しており、短期的にはこの流れが続きそうだ。
一方、日本株は需給イベントが一巡したあとも不安定な展開が続いているが、ドル円相場は横ばいが続く。円高・円安かによって上下の振れ幅が大きくなる局面も想定され、大幅高もあれば大幅安もあるといった荒い動きが続くだろう。
国内では週後半に決算発表が多く予定されている。4/11にファーストリテイリングが上期決算を発表予定で、決算内容を消化する4/12がオプションSQ算出日。海外では、4/10に米3月消費者物価指数(CPI)が発表され、この日に3月開催のFOMCの議事録も公表される。また、4/11には欧州でECB理事会が開催される。足元では中東情勢の緊迫化に加え、米国の利上げ時期や回数を巡って思惑が交錯しており、経済指標や中銀からのメッセージに長期金利や為替が強く刺激されることもあろう。
日経平均株価(図表1)は3/22高値を起点に値幅調整の局面が続く。25日移動平均線(39,789円 4/5)を下回り、50日移動平均線(38,585円 同)付近まで比較的短期間で下押す展開となっている。4/5は一時1,000円近く下げる場面があり、3/18の急反発で形成した下のマドを埋め戻しやや下げ幅を縮小して終えた。
一方、終値ベースでは、3/13安値(38,695円)を下回っておらず、年初からの上昇基調は保っているといえよう。ただ、日柄調整が長くことは避けられず、当面は良くて保ち合いに入る想定が必要である。そのためには、3/13安値を割り込まないことや、上昇基調にある50日移動平均線上から再度4万円超えに突っかける動きなどが必要となる。
終値ベースでみた上値メドは、25日移動平均線、心理的節目の40,000円、3/22高値40,888円、心理的節目の41,000円などが考えられる。終値ベースでみた下値メドは、3/13安値、50日移動平均線、心理的節目の38,000円、75日移動平均線(37,134円 同)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2023/5/1-2024/4/5)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、2月毎月勤労統計、3月景気ウォッチャー調査(4/8)、3月消費動向調査(4/9)、3月国内企業物価指数(4/10)、3月都心オフィス空室率(4/11)、オプションSQ(4/12)がある。
企業決算の発表では、ウエルシアHD、クリエイトSDH、マニー、フジ、リソー教育(4/8)、イオンモール、
U-NEXT、イオンFS、パルGHD、イオンディライ、カーブスHD、技研製(4/9)、7&I-HD、ABCマート、サイゼリヤ、吉野家HD、ライフコーポ、コーナン商事、イオン北海、コメダ、ベル24HD、イオン九州、MV東海、近鉄百、コシダカHD、ボードルア、ファンタジー(4/10)、ファーストリテイ、ローソン、SHIFT、ローツェ、久光薬、Sansan、ベルク、大黒天、タマホーム、乃村工、ウイングアーク、ハローズ、松屋、クリーク&リバ、進和、ABEJA、ブックオフGH、PRTIMES、FIXER(4/11)、良品計画、コスモス薬品、ベイカレント、高島屋、マネフォワード、竹内製作、ビックカメラ、QPS研究、パソナG、ELEMENTS、Gunosy(4/12)が予定している。
海外の経済指標の発表やイベントは、米3月消費者物価指数、FOMC議事録(3/19 ~ 3/20開催分)、米10年国債入札(4/10)、中国3月消費者物価指数、中国3月生産者物価指数、ECB理事会(ラガルドECB総裁定例会見)、米3月生産者物価指数(4/11)、中国3月貿易収支、米3月輸出物価指数、米3月輸入物価指数、米4月ミシガン大学消費者マインド指数(4/12)などがある。
米国の企業決算の発表では、デルタ航空(4/10)、ファスナル、コンステレーション・ブランズ、カーマックス(4/11)、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ、JPモルガン・チェース、ステート・ストリート(4/12)などが予定している。
来週の注目銘柄!( 4/8~ 4/12)
銘柄 コード |
銘柄名 | 目標株価 (円) |
ロスカット株価 (円) |
注目ポイント | |||||||||
5232 | 住友大阪セメント | 4,350 | 3,470 | セメント国内大手。半導体製造装置用部品も手掛ける。2022年3月期以降の損益低迷を受け、株価はコロナショック時の下落分を取り戻せていない状況。ただ、コスト改善などから底打ちの兆しが出てきた。PBR1倍割れ、前期予想ベースで配当利回りは3%を超えるため、投資妙味があると考える。日経平均株価は年初から急上昇したが、同社株はむしろ売りが続いた。3月以降はやや持ち直しているものの、それでも市場全体から見て出遅れ感が目立つ。そのような中、上昇基調にある75日移動平均線まで調整したことで、押し目買いの好機となる。過熱感もないことから買いのタイミングとみる。ターゲットは4,350円、ロスカットは3,470円 | |||||||||
6863 | ニレコ | 2,450 | 1,740 | 金属業の生産ライン向け製品や計測機器などを手がける。2月に発表した前期見通しの上方修正と増配が好感されてから、強い上昇基調が続いている。スタンダード市場ということもあり話題になりづらいが、レーザ光源を手がける隠れた半導体関連銘柄。こちらの受注は好調であり、今期業績にも期待ができる。前述のとおり株価上昇が顕著で、3月には1996年6月につけた高値2,100円を奪回。直近は25日移動平均線を下回ったところで鋭角的に反発しており、4/2には年初来高値を更新している。マーケット全体がさえないなか、今後は個別物色が強まる可能性も高い。同社株は戻り売りの不安がなく、上値の軽さから買いが続くと予想する。ターゲットは2,450円、ロスカットは1,740円 | |||||||||
6952 | カシオ計算機 | 1,600 | 1,200 | 腕時計や電卓の大手。2024年3月期は中国市場の低迷などにより厳しい状況だが、同国の景況感が改善傾向にある。株高から富裕層の消費も旺盛であり、今期以降の業績改善期待も出てきた。出遅れ銘柄として注目したい。株価は低調な推移を続けていたが、3月半ばから大きく上昇したことで2月上旬に形成した窓を埋めた。4/1には中国関連が物色されるなかで大陽線を形成し、4/2まで続けて年初来高値を更新。13週移動平均線が上向きの26週移動平均線を上回るゴールデンクロスが形成されたため、中期的な上昇トレンドへの転換が想定される。過去に2,000円台だったことを踏まえれば、買い時と判断する。ターゲットは1,600円、ロスカットは1,200円 | |||||||||
7715 | 長野計器 | 3,200 | 2,120 | 圧力計器の世界大手。2024年3月期の売上高は期初想定をやや下回る見込みだが、値上げや経費削減などもあって利益は伸びる見通し。昨今では株主還元強化がより強く求められるが、前期EPSベースでは配当性向が17%にとどまる。今期の増配などにも期待したい。株価は2022年10月に1,004円の安値をつけ、2023年9月に2,795円まで上昇。その後はいったん調整に入り、2023年12月に1,898円まで下げた。この水準は半値押し値1,899.5円とほぼぴったりであり、調整一巡から持ち直し基調となっている。4月に入ると軟調相場の中でも上昇する日が多く、4/5は出来高が増えて大陽線を形成。RSI(14日)はまだ過熱感の域に達しておらず、買い優勢の展開が続くと予想する。ターゲットは3,200円、ロスカットは2,120円 | |||||||||
8237 | 松屋 | 1,400 | 950 | 老舗の百貨店。株高による資産効果は富裕層の消費意欲を刺激する。また、2月の訪日外客数は278.8万人となり、同月の過去最高を更新した。店舗は銀座と浅草の2店体制だが、このエリアに来る層が増えて販売需要が盛り上がる環境が整っている。3月半ば辺りから三越伊勢丹など百貨店株に動意がみられており、同社株ももみ合いを上に放れてきた感がある。日足の一目均衡表では三役好転となり、週足では実体の長い陽線を形成して52週移動平均線を上回る好転サインが点灯した。先週は反動安で陰線で終えたが、好転サイン直後の初押しは買い場と判断したい。ターゲットは1,400円、ロスカットは950円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・4/5現在、プライム・スタンダード市場に上場、時価総額が100億円以上、PBRが2.5倍未満、PERが30.0倍未満、今期増収予想(日経予想)、株価が75日・200日移動平均線を上回っている中から、成長性や話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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