今週の株式見通し(2023/12/25〜12/29)
今週の日経平均株価の予想レンジは33,000円-33,800円。年内最終週で5営業日あるが、特段注目の経済指標やイベントはなく材料難である。12/25はクリスマスで米国含め休場が多い。週初は薄商いが予想され、週間ベースでは為替市場の動向に左右されそうだ。年末年始の為替市場の変動が警戒要因となることから、円高が進行するようだと株式市場では先物主導で下値を叩く動きが生じる公算が大きい。
一方、12/22に発表された米連邦公開市場委員会(FRB)が注目する11月個人消費支出(PCE)価格指数は、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアPCE価格指数が前月比+0.1%と市場予想の+0.2%を下回る伸びとなった。前年比でも10月改定値の+3.4%から+3.2%に鈍化し、予想の+3.3%も下回った。CMEのフェド・ウォッチが示す来年3月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率は前日の83%から93%に上昇した。ただ、米長期金利(10年債利回り)の反応は鈍く、最近は3.9%前後で下値が高まりつつあるようだ。ここからの米金利上昇→ドル買い・円売りの動きがみられれば、今の日本株には追い風になる可能性が高く、掉尾の一振(年初来高値更新)のシナリオも想定される。クリスマス休暇開けの米債券市場の動向がポイントとなろう。
日経平均は「投資の日(10/4)」を起点に上昇基調が続いている。2020年3月の新型コロナショック後の安値を起点とした上昇を第1波とすると、2021年から2年余りの保ち合いとなった調整第2波を経て、2023年初に始まった上昇第3波の段階にある。6月以降は小休止の局面だが、2024年は一段と上昇基調を強めていく可能性が高い。
年前半はハイテク株の上昇が牽引し、春から夏にかけて36,000円程度を目指す展開になると予想している。内需の持ち直しやインバウンド需要は一巡する反面、米中の景気が持ち直して、恩恵の大きい製造業の業績上振れが期待できそうだ。円安・ドル高は一巡したものの、後半に向けては1ドル=150円のフシに向けて再び円安に戻っていくとみている。米国の長期金利も再び緩やかな上昇局面が予想されるが、米国株は史上最高値更新によって金利上昇に対する耐性がつき、日本株も上がりやすい環境になることが予想される。国内企業の業績改善のモメンタムは大きくなく、市場のリスク許容が高くなることで高PERを正当化する相場展開を想定している。トランプ氏が米大統領に再選すれば、「トランプラリー」のリスクオン相場も想定する必要があるだろう。
2023年は東京証券取引所から株価純資産倍率(PBR)が継続的に1倍を割れている企業に改善計画を求める方針が示され、PBR1倍割れ銘柄への買いがバリュー株相場を後押した。2024年は買われる銘柄とそうでない銘柄に分かれる可能性が高い。
マイナス金利やイールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃などは金融政策の正常化という意味ではプラス要因だ。しかし、相場の下落局面などでETFの買い入れ政策を停止する議論が台頭する場合、投機筋による売りの材料になり、大きな値崩れの要因になることが予想される。トランプ氏が米大統領復帰で内向き政策を一段と強める場合、また米国債の格下げ、昨年大幅に上昇した半導体関連の総崩れなどもネガティブな要素になる。
日経平均株価(図表1)は33,000円台後半からの上値の重さが目立つ。先週は25日移動平均線(33,172円 12/22)を上回る場面もあったが、早々に下に押し戻される展開となった。25日移動平均線は下向きに転じており、8月高値時や9月高値時のようにマドを形成した後の連続陰線でややネガティブなイメージとなる。
ただ、10日移動平均線(33,018円 同)上は保っている。先週の上昇で11/24の終値ベースの直近高値を上回ったことで、10月安値を切り上げる上昇波動は継続。上向き基調にある10日移動平均線をサポートに陽線で切り返すことができるかがポイントとなる。
上値メドは、12/20高値(33,824円)、心理的節目の34,000円処、10/4安値から10/13高値までの上昇幅を10/13高値に足した34,580円処、35,000円などが考えられる。下値メドは、10日移動平均線、32,500円前後、75日移動平均線(32,470円 同)、12/8安値(32,205円)、32,000円、11/1高値(31,601円)などが考えられる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/11/1-2023/12/22)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、11月完全失業率、11月有効求人倍率、11月企業向けサービス価格指数、2年国債入札(12/26)、日銀政策委員会・金融政策決定会合の主な意見(12/18〜19開催分)、配当優待権利付き最終売買日(12/27)、11月小売業販売額、11月百貨店・スーパー販売額、11月鉱工業生産(12/28)、大納会(12/29)がある。
企業決算の発表では、しまむら、高島屋、壱番屋、象印(12/25)、Jフロント、スギHD(12/26)、DCM(12/27)、クスリのアオキ、平和堂(12/28)、アダストリア(12/29)が予定している。
海外の経済指標の発表やイベントは、米10月住宅価格指数、米10月ケース・シラー米住宅価格指、米2年国債入札(12/26)、米5年国債入札(12/27)、米11月NAR仮契約住宅販売指数、米7年国債入札(12/28)などがある。
なお、12/25はクリスマスのため、米国、英国、香港市場などが休場となる。
今週の注目銘柄!(12/25〜12/29)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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6323 | 17,500 | 13,100 | ウエハ、ガラス基板の搬送装置メーカー。半導体市況の低迷から今期は上期時点で営業減益となったが、四半期ベースでみると2Qは前四半期比で回復傾向となった。現状では各社担当アナリストからの評価も高く、来期業績への期待は大きい。日米の金融政策動向を踏まえ、ハイテク株への投資環境が改善していることで投資妙味も増していると考える。株価は長期の上昇トレンドとなっており、マーケット環境が悪化して売られることがあっても強烈に買い戻される展開が続いている。直近は高値圏で推移していたところ、12/19の日銀会合結果を受けて後場一段高。12/20は上場来高値を更新しており、上値追いが続くと予想する。ターゲットは17,500円、ロスカットは13,100円 | |
6337 | 3,000 | 2,110 | 半導体向け選別装置や測定装置の大手。このごろ買われる半導体株は東証プライムに偏るが、スタンダード市場にも関連銘柄は多く存在する。そのような中で米国の長期金利は低下し始め、国内の早期利上げ観測も後退。今後の活躍が期待される後工程関連の中で同社PERは9倍台であり、出遅れ感が強いと考える。株価は2024年3月期の上期決算(10/31発表)で減益だったことを受け、翌営業日11/1はマドを開ける急落となった。ただ、その日に付けた安値2,130円を足元まで下回ることなく、2,100円台に入ると買い支えられる展開となっている。5月に安値をつけた価格帯でもあり、当面の値固めを通じて8月安値のネックライン3,000円付近まで上昇する可能性が高いと予想する。ターゲットは3,000円、ロスカットは2,110円 | |
6551 | 1,300 | 800 | 小売業・飲食業のアルバイト採用代行を主力としている。今期の営業利益は前期比49%増と3期連続の過去最高益を見込む。その一方で、現状の株価は900円台。2017年7月につけた上場来高値2,306円とはかい離が大きく、利益成長が軌道に乗ってきたにもかかわらず評価不足と考える。12/12に今年の高値977円をつけており、ボラティリティは大きいが上昇トレンドが継続している。11月終盤から高値圏でもみ合うなか、足元で25日移動平均線を割り込んだものの、12/22には平時より商いを伴って上昇。早々に25日移動平均線上を回復する強い動きであり、スローストキャスティクスも好転した。買いに弾みがつき、高値を更新する展開を予想する。ターゲットは1,300円、ロスカットは800円 | |
6817 | 1,500 | 1,060 | コイル専業の大手。2023年12月期の業績は好調であり、3Q累計時点で営業利益は前年同期比39%増となった。四半期ベースで伸びが鈍化したこともあり、決算直後の反応は売りだったが、通期計画に対する進ちょく率は86%と高い。株価の推移を考えると12月の配当権利取りを狙って上昇しているようにはみられず、権利落ち後の急落リスクも低いと考える。9月以降に株価が急降下していたが、1,000円の節目を割れず11月上旬に底打ちし、徐々に水準を戻しつつある状況。9/5高値と9/29高値を結んだ上値抵抗線に跳ね返されず、これを突破してきたことから投資家心理は改善傾向にあると考えられる。PER7倍台、PBR0.6倍台とバリュエーションの割安感からも買いのタイミングと判断する。ターゲットは1,500円、ロスカットは1,060円 | |
8088 | 6,900 | 5,990 | 産業・家庭用ガスの専門商社。12/1に旧村上ファンド系からコスモエネルギーホールディングス株を取得すると発表。コスモHDに対する保有割合は19.93%と2割近い水準になり、株式取得のための借り入れが1,053億円と大きい。株価は財務悪化を懸念した売りが続いたが、半月で約1,000円安は短期的に売られすぎと考える。一方、12/15には「はらみ足」を形成。同時に、RSI(14日)が20%超に回復したことで基調転換の兆しを示唆している。翌営業日12/18に上昇したことから、その確度がより高まったと考えられる。25日移動平均線の突破を通じて7,000円付近までの回復が予想され、短期での値幅取りを狙いたい。ターゲットは6,900円、ロスカットは5,990円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・12/22現在、プライム・スタンダード市場に上場、時価総額が5,000億円未満、PERが18.0倍未満、PBRが6.0倍未満、配当利回りが0.9%以上、株価が10日移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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