今週の株式見通し(2023/12/18〜12/22)
今週の日経平均株価の予想レンジは32,600円-33,400円。先週、上値を抑えられた25日移動平均線を上回れるかが焦点となる。最大の注目イベントは、12/18-19に開催される日銀金融政策決定会合(以下、日銀会合)。米経済指標や半導体企業のマイクロン・テクノロジーの決算なども注目材料となる。
日銀会合では政策修正や変更があれば、先物のアルゴリズム取引などで多少は荒れるだろう。直近、植田日銀総裁の発言をきっかけに日銀がマイナス金利解除に動くとの観測が強まり、ドル円は12/7に1日で高値から一時5.50円超の急落となった経緯があり、何かあるかもしれないという警戒はある程度共有されている。一方、欧州市場序盤に「日銀は賃金と物価の好循環の実現に向けた十分な確証が得られていないため、マイナス金利やイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の撤廃などを今月急ぐ必要はほとんどないとの認識」との観測報道なども伝わっている。
事前に為替市場の変動の大きさを目の当たりにしていることもあり、12月は現状維持のシナリオが濃厚か。いずれにしても、今回の日銀会合では大きな政策変更は想定しづらく、多少のネガティブな材料にも耐性を示すことができれば、先物へのショートカバーを通じて株買い・円売りが強まる展開が予想される。
一方、米10年債利回りは昨年以降のトレンドラインまで低下しており、短期的な上昇がいつ生じても不思議ではない。ドル高・円安は日本株にとって追い風だが、金利上昇で高値警戒が強まってきた米主要指数の調整につながりかねない。緩やかな金利上昇によるドル高・円安なら日米株にとって追い風となりえるが、金利急反発によるドル高・円安なら米国株だけではなく日本株への影響もネガティブだろう。
米国市場ではダウ平均の史上最高値更新など主要指数が軒並み堅調に推移する中、日本株が見劣りしているのは日銀会合が控えていることが大きい。日銀会合が終わる週半ば以降は米国株の上昇に対して、出遅れを意識した日本株買いが入ることが予想される。米国市場ではマグニフィセント・セブン以外の銘柄を物色する流れになっており、年末ラリーを意識し始めている。東京市場でも足もとで堅調な電機・機械などハイテク株が引き続き相場全体をけん引することが予想されるが、半導体関連以外の電子部品、FA(ファクトリーオートメーション)関連などにも注目したい。
日経平均株価(図表1)は先週、25日移動平均線(33,125円 12/15)に上値を抑えられる展開が続いた。今週は25日移動平均線上に浮上できるかが、11月中旬からの保ち合いレンジに回復できる条件となる。上値にもたつくと25日移動平均線の下げにつながり、再び32,000円割れを試す動きに発展することが予想される。
上値メドは、25日移動平均線、12/6高値(33,452円)、11/20高値(33,853円)、心理的節目の34,000円処などが考えられる。下値メドは、75日移動平均線(32,428円 同)、12/8安値(32,205円)、32,000円、11/1高値(31,601円)、200日移動平均線(31,221円 同)、10/31高値(30,973円)などが考えられる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/11/1-2023/12/15)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、日銀金融政策決定会合(〜12/19)(12/18)、植田日銀総裁会見(12/19)、11月貿易収支、11月首都圏マンション販売、11月訪日外客数(12/20)、日銀金融政策決定会合議事要旨(10/30〜10/31開催分)、11月全国消費者物価指数(12/22)がある。
企業決算の発表では、ツルハHD(12/19)、サツドラHD、コーセル(12/20)が予定している。
海外の経済指標の発表やイベントは、独12月Ifo景況感指数、米12月NAHB住宅市場指数(12/18)、米11月住宅着工件数、米11月建設許可件数(12/19)、米11月中古住宅販売件数、米20年国債入札(12/20)、米7-9月期GDP確報値(12/21)、米11月個人所得、米11月個人消費支出、米11月耐久財受注、米11月新築住宅販売(12/22)などがある。
米企業決算の発表では、アクセンチュア、フェデックス(12/19)、マイクロン・テクノロジー(12/20)、ナイキ(12/21)が予定している。
今週の注目銘柄!(12/18〜12/22)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1433 | 1,600 | 980 | プラント解体工事などを手がける。1Q時点では豊富な受注残から業績期待が高まったが、2Q決算時に想定外の下方修正を発表した。上期では営業赤字だったが、2Q以降に開始した大型工事により3Q累計では黒字転換。現状の巻き返しペースを踏まえると、通期では計画を上回るシナリオも出てきた。工事進ちょくに加え、利益率改善の取り組みに期待したい。株価は1Q、2Qの各決算発表で窓を開ける上下となったが、3Q決算発表では黒字着地が好感されて上昇。2Q決算前の水準を回復した。ボリンジャーバンド(20日線)は現在+2σを上回り、拡大の兆しが現れている。スローストキャスティクスなどのオシレーター系指標ではまだ過熱感は見られない。25日移動平均線も上向いてきたことから、上昇トレンドへの転換を予想する。ターゲットは1,600円、ロスカットは980円 | |
2410 | 2,500 | 1,780 | 転職サイト「type」などの人材関連サービスを手がける。コロナ禍の影響から業績はV字回復。2024年9月期は3期連続の増収増益を見込む。今期配当性向は36.8%と無理のない水準であるにもかかわらず、配当利回りは3.9%程度と東証プライム平均を上回る。成長性、利回りのいずれにおいても投資妙味があり、為替動向に左右されづらい内需系であることにも注目したい。11/8に今期ガイダンスを発表したが、株価のその後の反応は売りが優勢となった。ただ、1,800円前後では底堅い動きをみせ、10月安値(1,751円)を下回ることなく持ち直す展開。足元ではガイダンス発表直前の水準を上回っている。26週移動平均線も上向いてきたことで、中期的な上昇局面に入った可能性も高まった。ターゲットは2,500円、ロスカットは1,780円 | |
4062 | 9,000 | 6,690 | インテル向けICパッケージを主力としている。先端半導体の需要から後工程が重要視されているものの、同社株価は9月に高値9,285円をつけてから軟調に推移。今期の厳しい見通しが要因の一つではあるが、生成AI用関連は好調。直近ではグーグルの最新AIモデル、米AMDによる新AI半導体など、競争は勢いを増している。これらの開発に必須な部材を提供する同社にとっては、さらなる追い風となりそうだ。9月以降は下落トレンドだが、週足では10月終盤〜11月初めに52週移動平均線を割り込むと買い戻され下ヒゲを形成。12月2週目も同様の動きを見せており、直近の安値を下回らずに下げ渋っており、見直し買いの機運が高まりそうだ。ターゲットは9,000円、ロスカットは6,690円 | |
5711 | 2,900 | 2,300 | 非鉄大手。銅加工、電子材料、超硬工具、鉱山出資など多面的に展開している。11/8に2024年3月期の連結業績予想を下方修正した。金属事業、高機能製品、加工事業における低調が響き、連結営業利益予想を従来の500億円から400億円に下方修正した。一方、株価は2022年7月安値(1,840円)を起点に下値を切り上げる展開が続く。8/2の年初来高値(2668.5円)からの調整では次第にレンジが狭くなる三角保ち合いのような動きとなっており、11月後半からは25日移動平均線をサポートに底堅い。三角保ち合いを上放れる可能性が高く、2,600円以下の水準は買い場として魅力的だ。ターゲットは2,900円、ロスカットは2,300円 | |
7420 | 2,300 | 1,740 | 半導体・電子部品商社。10/12に1Q決算と上期の上方修正を発表。通期見通しは据え置いたものの、1Qの進ちょくを踏まえると通期は上振れ、一転して増益となる公算が大きい。マクニカHDや加賀電子などの業界大手と比べPBRに割安感があり、業績、バリュエーションともに妙味があると考える。株価は前述の上方修正を受けて翌10/13に年初来高値を更新。その後は利益確定売りに押されたものの、チャートが崩れるような動きにはならなかった。足元では徐々に水準を切り上げ、12月12日までの上昇で再び年初来高値を更新した。10/13の出来高は過去の決算直後と比べて出来高が少ないため、高値づかみの買い方はそこまで多くないとみられる。ここからの上値は軽くなることが予想される。ターゲットは2,300円、ロスカットは1,740円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・12/15現在、プライム市場に上場、PERが60.0倍未満、PBRが3.0倍未満、配当利回りが0.5%以上、株価が25日・75日・200日移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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