今週の株式見通し(2023/10/16〜10/20)
今週の日経平均株価の予想レンジは31,800円-32,800円。方向感に欠ける展開か。国内は小売などの決算発表が一巡して材料難となる。米国では金融株やテスラ、ネットフリックスなど、台湾ではTSMCが決算を発表予定で、これら海外企業の決算を受けた反応や米国の長期金利をにらみながらの一進一退が続くだろう。
先週の日経平均株価が週間で大きく上昇したことで、直近の急落に対する警戒感は一巡しやすい。また、国内では10月後半から3月決算企業の上期業績が出始める。今週に関しては「待ち」の姿勢が強まる分、明確なトレンドは出てこないと思われるが、地合いの改善と先のスケジュールから売りは出しづらい地合いになるとみており、下値は堅いと予想する。
日経平均株価(図表1)は10月に入り、不安定な動きが続いている。とはいっても、大局観は9月までの状況や見通しから変化はない。現時点では、3万円処を推移している200日移動平均線(30,054円 10/13)を上回っており、長期視点では強気継続局面の短期的な調整と判断できる。
反発力も強い。このまま、25日・75日・100日移動平均線が集まっている32,250〜32,450円のフシを上抜けると、情勢は一気に買い方優位に傾く。今回の急落が腰の弱い買い方の「振るい落とし」になっていたとしたら、上記のフシ突破で年初来高値更新は意外と早いかもしれない。要するに、買い方の離散によって需給が軽くなっているはずだからである。
一方、今年5月の段階で、2021年2月高値30,714円、同年9月高値30,795円の上値のフシをブレイクアップした。過去の戻り高値などのフシをブレイクアップすると、その後の調整ではもとのフシまでリターンムーブ(揺り戻し)という現象が生じることが多い。今回の10/4安値30,487円が上記の2つの水準付近まで下げる単なる揺り戻しだとしたら、ほんとの意味での「投資の日」だった可能性も高いとみられる。
そんな楽観的な見方ができる一方、直前安値である8/18安値(31,275円)を下回ったことで、あとあとの相場に響いてくる。例えば、今回とは期間は異なるが、2018年12月後半の急落場面や、2022年3月前半までの下落場面である。直前高値を更新しながらも、その直後の下落で直前安値を下回る場面があった。結局、高値水準を回復するまでに、それまで保ち合ってきた期間とほぼ同じ期間の日柄調整を強いられた経緯がある。直前安値をいったん下回ってしまうと、戻り待ちの売りなどをこなす、投資家心理が改善する、までに時間を要することになるからだろう。
そういった意味では、今回も8/18安値を下回ったことで、6/19高値から10/4安値までの期間と同期間を10/4安値からさらに引き延ばした日柄までは調整が長引くと考えることもできる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/11/1-2023/10/13)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、9月首都圏マンション発売、9月訪日外国人客数(10/18)、9月貿易収支(10/19)、9月全国消費者物価指数、臨時国会召集(10/20) がある。
企業決算の発表では、アークス、日置電、日本国土、古野電、バロック、大庄、スーパーV、テイツー(10/16)が予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、米10月ニューヨーク連銀景気指数(10/16)、米9月小売売上高、米9月鉱工業生産、米8月対米証券投資(10/17)、中国7-9月期GDP、中国9月鉱工業生産、中国9月小売売上高、米9月住宅着工件数、ベージュブック(米地区連銀経済報告)、米20年国債入札(10/18)、米10月フィラデルフィア連銀景気指数、米9月中古住宅販売(10/19)、中国10月の最優遇貸出金利(LPR)(10/20)などがある。
米企業決算の発表では、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ロッキード・マーチン、ユナイテッド・エアラインズ(10/17)、テスラ、モルガン・スタンレー、ネットフリックス、トラベラーズ、P&G、アボット・ラボラトリーズ(10/18)、ユニオン・パシフィック、フィリップ・モリス・インターナショナル、スナップオン、CSX(10/19)、アメリカン・エキスプレス(10/20)が予定している。
ほか、10/19は台湾のTSMCの決算発表が予定されている。
今週の注目銘柄!(10/16〜10/20)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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4483 | 6,460 | 4,870 | 医療分野のビッグデータなどを取り扱う。10/11にTOBが成立したと発表。今後はオムロンの連結子会社となる予定。同社の業績は拡大を続けているが、ヘルスケアで知名度のあるオムロンとのシナジーにより、いっそうの成長加速に期待したい。株価は8月の急落から戻しつつあったところ、9/8にTOBが発表されて急騰。75日移動平均線上に回帰した後は10/2に5,555円まで上昇した。その後に地合いが悪化したこともあり、瞬間的に5,000円割れ手前まで下落したが下げ渋る展開となっている。10/12は大陽線を形成し、10/2高値を更新。RSIが急上昇して50%を超えてきたことから、しばらく買い優勢とみる。ターゲットは6,460円、ロスカットは4,870円 | |
6368 | 4,900 | 3,980 | 水処理技術に強みを持つ。半導体向け純水製造装置に強み。2024年3月期の1Q(4-6月)の連結営業利益は28.6億円(前年同期比28.9%増)で着地。上期計画に対する進ちょく率は43.3%だった。株価は材料出尽くしで、決算発表後は日柄調整が続いている。一方、10/13は4,375円まで上昇し、年初来高値をわずかに更新。再び、先高期待が強くなってきた状況だ。2019年以降で長期上昇トレンドが続いており、足元の短期的な動意が上値余地の拡大につながる。株価の動きに派手さはないものの、物色が集中する銘柄ではないため、上昇の持続力には定評がある。ターゲットは4,900円、ロスカットは3,980円 | |
6925 | 2,500 | 1,780 | 産業用ランプ大手。8月以降、上値の重い動きが続いていたが、1,800円どころでは下げ渋っており、下値の方は固まっていた。そのような中、10月に入ってから騰勢を強め、10/12には1,953.5円まで上昇。9月につけた戻り高値の1,921.5円を超えてきた。週足チャートを見ると、26週移動平均線近辺での一進一退が続いていたところから上放れた格好となっており、13週移動平均線も突破。日足の一目均衡表では抵抗帯(雲)を上に抜けてきた。値固めが進んでチャートが一気に好転してきたことで、ここからは下げづらい流れが続くと予想する。ターゲットは2,500円、ロスカットは1,780円 | |
7581 | 6,500 | 4,900 | 10/2に発表した9月の月次動向では既存店売上高が前年同期比21.7%増と良好。10/11には2024年8月期の連結営業利益は前期比81.4%増の131億円になりそうだと発表した。市場コンセンサスを上回ったことで動意の展開となっている。円安がデメリットとみられている銘柄ではあるが、足元の円安をものともせず強い動きが続いている。ドル円は一時150円台に乗せており、いよいよ介入があるのではとの見方も強まっている。円安基調が続いたとしてもここまでネガティブな影響は見られておらず、円高に振れるようなら恩恵がある銘柄として注目が集まりやすい。株価が高値圏にある中でも、直近の信用倍率は1倍を大幅に割り込んでおり需給は軽い。ターゲットは6,500円、ロスカットは4,900円 | |
8802 | 2,300 | 1,840 | 三菱グループの総合不動産。足元では高止まりしていた米国の長期金利が低下傾向にある。これを受けて、不動産株への注目度が高まると予想する。国内大手デベロッパーの株価は米長期金利の上昇が続く中でも比較的底堅く推移しており、同社も9月には年初来高値を更新している。10月1週目の週足が下に長いヒゲをつけた陽線となっており、押し目での買い意欲が旺盛であることも確認できた。13週移動平均線に接近したところで鋭角的に切り返したのも確認しており、上目線は継続したい。9月には2,110円まで上昇しており、2022年や2021年の高値を上回っている。ここからは、2020年高値の2,283円に向けて水準を切り上げる展開を予想する。ターゲットは2,300円、ロスカットは1,840円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・10/13現在、プライム市場に上場、時価総額が1,000億円以上、PBRが6.0倍程度以下、今期増収予想
(日経予想)、株価が25日・75日・200日移動平均線を上回っている中から、成長性、話題性など総合的
に考慮した上でピックアップした。 - 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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