今週の株式見通し(2023/8/28〜9/1)
今週(2023/8/28〜9/1)の日経平均株価の予想レンジは31,300円-32,300円。東京株式市場は方向感に欠ける展開か。週初は、ジャクソンホール会合(8/24-26)におけるパウエルFRB議長の講演内容で米国株が上昇したことや円安を受け、買い戻し先行のスタートが予想される。一方、週後半の中国8月製造業PMIや米8月雇用統計など米中重要指標の発表を控え、日米株は動きづらく値固めにとどまる公算が大きい。米ハイテク株の動向や長期金利など外部環境に一喜一憂する地合いが続きそうだ。
月末・月初によるリバランスの売買や、月間ベースで相対的に売られ過ぎの銘柄や業種への買い戻し、買われ過ぎた銘柄や業種への売りなどが予想される。8月末の権利取り狙いの買いなども入りそうだ。
また、8/30は東証グロース市場にインバウンドプラットフォーム(5587)が新規上場する。訪日旅行事業を展開しており、中国の団体旅行解禁を機にインバウンド関連が再びテーマ化しており、追い風が吹くなかで人気化が期待される。
2013〜2022年における日経平均株価の年間推移の平均は7月までは比較的しっかりだが、8月は調整する傾向がある。ただ、同時に年末に向けた上昇への起点になってきた。特に、今年と同じように年初から強い上昇となった2013年、2015年は8月は大幅調整となったが、9月に入ると底入れにつながった経緯がある。
今年も8月は軟調な推移で終わる可能性が高いが、7月からの日柄調整が十分進展していることもあって、9月初旬に向けては仕込み場といえる局面に入ることが予想される。
日経平均株価(図表1)は8/25に大幅反落となり、10日移動平均線(31,848円 8/25)を下回るほぼ安値圏引けの陰線で終えた。週足では上ヒゲの長い陽線となり、戻り待ち売りの強さを印象付けられた。
目先の戻りは25日移平均線(32,300円 同)までにとどまり、8/1高値(33,488円)を起点に8/14高値(32,613円)を通る右下がりの支持線までの揺り戻しが生じる格好となった。8/24にはトレンド転換を判断する新値三本足が陽転しており、早期の底割れは回避したいところだ。揺り戻しから早々に反発に転じられるかが今週前半のポイントとなる。
7月以降で、高値と安値を切り下げるフラッグ型(ボックスが下方向に傾く)の保ち合いパターンの見当がつく局面である。
上値メドは、75日移動平均線(32,135円 同)、25日移動平均線、心理的節目の33,000円、8/1高値(33,488円)、6/19高値(33,772円)などが考えられる。下値メドは、8/18安値(31,275円)、100日移動平均線(31,212円 同)、心理的節目の31,000円、2021年9月高値(30,795円)、心理的節目の30,500円、心理的節目の3万円などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/11/1-2023/8/25)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、7月失業率、7月有効求人倍率(8/29)、7月鉱工業生産、7月商業動態統計、7月住宅着工統計(8/31)、4-6月期法人企業統計、8月新車販売台数(9/1)がある。
一方、海外の経済指標やイベントでは、米2年国債入札、米5年国債入札(8/28)、米6月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米8月消費者信頼感指数、米7月JOLTS求人件数、米7年国債入札(8/29)、米8月ADP全米雇用リポート、米4-6月期GDP改定値、米7月NAR仮契約住宅販売指数(8/30)、中国8月製造業PMI、米7月個人所得・個人消費支出(8/31)、中国8月財新製造業PMI、米8月雇用統計、米8月ISM製造業景気指数(9/1)などがある。
米国企業の決算では、ベスト・バイ、ヒューレット・パッカード(8/29)、セールスフォース・ドットコム(8/30)、ダラー・ゼネラル、ブロードコム(8/31)が発表を予定している。
今週の注目銘柄!(8/28〜9/1)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1925 | 4,500 | 3,700 | ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが米国の住宅株を取得したことが判明した際、東京市場でも同社株や住友林業など住宅株に連想買いが入った。実際、第1四半期は前年同期比で20.5%増収、55.9%営業増益で、米国の戸建住宅販売の好調が業績アップに大きく貢献している。株価は4月に2023年3月期の見通しを引き上げたあたりから強い基調が続く。6月後半から7月にかけて軽めの調整が入った際も、13週移動平均線近辺で切り返した。最近では8/7の上ヒゲ高値(3,965円)を上回り、年初来高値を更新。中期の上昇基調に変化はないとみられ、この先は2018年につけた上場来高値の4,594円を目指す展開を予想する。ターゲットは4,500円、ロスカットは3,700円 | |
1942 | 1,450 | 1,195 | 電気設備工事の最大手。2023年に入ってからは、強い基調が長く続いている。直近では7/31に第1四半期決算を確認した後、8月初旬に利益確定売りに押されたが、上向きの25日移動平均線に接近したところで早々に調整が一巡。年初来高値更新が続いている。株高が続く中でもPERは10倍台前半でPBRは1倍を割り込んでおり、バリュエーション面で過熱感はない。直近の信用倍率は0.4倍台と需給も軽い。2018年5月につけた高値1,308円もクリアしており、一段と上値を伸ばす展開を予想する。ターゲットは1,450円、ロスカットは1,195円 | |
3031 | 910 | 650 | 衣料・雑貨の企業間電子商取引「スーパーデリバリー」の運営などを手掛ける。先行投資により今期は減益の予想。8/31に第1四半期決算の発表を予定しているが、株価は底値圏で推移。人流回復を受けて進ちょくが想定以上となれば、ポジティブサプライズとして大きく買われる展開が期待できる。今年は2/28から3/1にかけてマドを開けて急落した後、なべ底を形成。7月以降は600〜700円台で底堅く推移し、大きな売りも一巡したとみられる。短期と中期の移動平均線が収れんしてきたところで大陽線を形成しており、短期的な買いが強まると予想する。ターゲットは910円、ロスカットは650円 | |
4595 | 3,950 | 2,140 | 8/10に2023年12月期上期(1-6月)の決算を発表。営業利益は大幅減となった。新型コロナウイルス検査薬関連の売上減少が主な要因だが、織り込み済みとみられる。特需がなくなり通常運営に戻っただけであり、来期以降の利益回復に期待したい。むしろ同時に発表した配当予想の増額修正が好感された。昨年12月以降、コロナ収束とともに株価も軟調に推移し、8月上旬まで下落トレンドが継続。一方、上記の配当積み増しが好感され、上値抵抗線となっていた75日移動平均線を大きく突き抜けた。これによって25日移動平均線が75日移動平均線を上回るゴールデンクロスを形成。トレンド転換が示唆され、モメンタムも強い勢いを維持していることからしばらく上昇が続くと予想する。ターゲットは3,950円、ロスカットは2,140円 | |
7453 | 2,200 | 1,750 | 「無印良品」で衣服、生活雑貨、食品を展開。7/7に発表した第3四半期決算を受けて、7/10の株価はストップ高となった。8/14には2,000円に乗せた。さすがに到達感から売りに押されたが、1,900円を割り込んだところでは下げ渋っている。25日移動平均線が推移していることもあって、同線をサポートに値固めから反転攻勢が予想される。決算を受けてストップ高となったのは直近3カ月で利益を大きく伸ばしたことが要因だが、7月度の月次でも概ね良好な内容が確認できた。復活に対する期待値が高く、軽く押した今が買いの好機と判断する。ターゲットは2,200円、ロスカットは1,750円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・8/25現在、プライム・スタンダード市場に上場、時価総額が150億円以上、PERが30.0倍未満、PBRが3.0倍未満、配当利回りが2.0%以上、株価が25日・75日移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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