今週の株式見通し(2023/7/3〜7/7)
今週(2023/7/3〜7/7)の日経平均株価の予想レンジは33,100円-33,800円。東京株式市場は堅調な展開か。まずは週初に発表される6月日銀短観に注目だ。6月の日本株の上昇を裏付けるような内容になるかが注目ポイントとなり、結果次第では先週末の米国株上昇とともに指数上昇の追い風になろう。6月末に向けた年金基金など機関投資家によるリバランス売り警戒が一巡することも、心理的な改善要因となる。
一方、週末には米6月雇用統計が発表される。米国では製造業や雇用関連で注目度の高い経済指標がいくつか出てくるほか、7/5には6月開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録が公表される。米国の金融引き締め長期化に対する警戒がくすぶり続けると思われるだけに、週後半は上値追いには慎重か。7/7の大引け後には安川電機の1Q決算発表が予定されており、手掛けづらさも意識される週となる。
6/30の米国株式市場は大幅高。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視する米5月個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが予想を下回り、米国債利回りが低下。ハイテク株を中心に幅広い銘柄が上昇した。5月PCE価格指数は変動の大きい食品、エネルギーを除くコアPCE指数が前年比+4.6%と4月分と予想の+4.7%を下回り、前月比でも+0.3%と4月分の+0.4%から伸びが鈍化した。ダウ平均は285.18ドル高(+0.84%)で終了。S&P500も1.23%高で終了し、ともに2日続伸した。前日にほぼ変わらずとなったナスダックは1.45%高の大幅高で終了した。
日経平均株価(図表1)は25日移動平均線(32,561円 6/30)までの調整が一巡し、持ち直す展開となっている。高値圏のもみ合いの範ちゅうにあるが、10日移動平均線(33,123円 同)が再び上向きに転じることができれば高値更新を通じて上昇再開が期待できそうだ。
週前半は5日移動平均線(32,970円 同)の上昇が下値を支える要因になるほか、株価上昇の追い風となるかが試される。25日移動平均線自体も上昇が続いており、上目線を継続すべき局面が続く。
一方、終値で32,506.72円を下回ると新値三本足が陰転し、調整期間入りを示唆するサインとなる。
上値メドは、6/19高値(33,772円)、2021年9月高値から2022年3月安値までの下落幅に対する1.5倍返しとなる33,850円、心理的節目の34,000円処、34,400円などが考えられる。下値メドは、25日移動平均線、心理的節目の32,000円処、6/8安値(31,420円)、心理的節目の31,000円、5/25安値(30,558円)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/7/1-2023/6/30)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、6月日銀短観(7/3)、6月都心オフィス空室率(7/6)、5月家計調査、5月景気動向指数(7/7)などがある。
国内企業の決算では、ネクステージ、象印(7/3)、アスクル、アークス、ハイデ日高、霞ヶ関キャ、バイク王(7/4)、キユーピー、サンエー、トーセイ、薬王堂HD、エスプール、アオキスーパー(7/5)、OSG、WNIウェザー、大黒天、オンワードHD、大有機、クリーク&リバ、ヨンドシーHD、わらべや、キユソー流通、アヲハタ、フェリシモ(7/6)、安川電、良品計画、フジ、ライフコーポ、ワキタ、技研製、サーラ、TAKARA&C、北興化、ジャステック、日本BS放、Fブラザース、ミタチ、和田興産(7/7)が発表を予定している。
一方、海外の経済指標は、中国6月財新製造業PMI、米6月ISM製造業景気指数(7/3)、米5月製造業受注、FOMC議事録(6/13〜6/14開催分)(7/5)、米5月ADP全米雇用リポート、米5月貿易収支、米6月ISM非製造業指数、米5月JOLTS求人件数(7/6)、米6月雇用統計(7/7)などがある。
なお、7/4の米国市場は独立記念日のため休場となる。
今週の注目銘柄!(7/3〜7/7)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2492 | 460 | 279 | クラウドを活用した受発注や請求書などのシステムを運営している。先行投資により今期純利益は1.5億円(前期比49%減)を見込む。ちなみに2019年12月期の純利益は16.9億円と、本来同社の利益率は高い。現在の500倍近いPERはイレギュラーであり、来期以降に利益が大きく伸びれば割高感も一気に解消されるだろう。2021年に1,300円台を付けた株価は、その後売られ続け一時200円台にまで低迷。ただ、250円を割れそうになると押し目買いが入り、足元では300円台に回復している。同社を取り巻く環境についても、外食需要の回復、インボイス制度の開始など追い風が吹く。ターゲットは460円、ロスカットは279円 | |
3853 | 930 | 700 | データ連携ツールなどのソフト事業のほか、投資事業も展開している。同社が出資する米スペースXについて、一部報道で企業価値が1,500億ドル(21兆円以上)と伝わった。同社は過去に投資先の上場に関する材料で急騰したことがあり、今回も思惑が強まる可能性がある。株価は4月終盤に609円まで下げたが、その後は6/12に一時820円まで回復。5月発表の今期増収ガイダンスが好感されたほか、AI関連の人気化も上昇に拍車をかけたもよう。急上昇後の保ち合いにより25日移動平均線からの乖離率が5%以内にまで縮小しており、短期的な過熱感が和らいできた。その後6/28の上昇でモメンタムもプラスに転じたことから、再び買いが強まると予想する。ターゲットは930円、ロスカットは700円 | |
4182 | 2,400 | 1,900 | 基礎化学品や機能化学品を生産しており、半導体やスマホ向け材料に強み。株価は6/15高値2,128円から25日移動平均線前後までいったん調整したが、急速に持ち直し6/26には2,150円と年初来高値を更新した。今年に入ってからは1月の1,766円を大底に下値を切り上げる動きが続いており、25日移動平均線が強いサポートになる公算が大きい。半導体絡みでもSPE(半導体製造装置)株と違って半導体材料株はバリュエーション面で割安感が強く、同社もPERは一桁台でPBRは1倍を下回る。化学セクター全体でも再評価機運が高まりやすいなか、高値を更新した同社の買い安心感が強まると予想する。ターゲットは2,400円、ロスカットは1,900円 | |
5020 | 555 | 455 | 今期の見通しを確認した5/11に急伸した後、反動売りに押されて5月中旬以降は調整した。しかし、6月に入ると売りが一巡。原油価格が弱含む局面でも底堅く推移しており、直近で原油が持ち直しの動きを見せた際には、それにしっかり反応して強い動きを見せている。上向きの13週移動平均線を支持に上昇が続いており、5月後半の下げ局面でも同線を割り込んだところで買いが入った。日足の一目均衡表では抵抗帯(雲)の下限で切り返し、先週は雲を上に抜けてきた。自然体の上昇で5/11の高値507円に接近しており、これを早々に超え、昨年6月高値の580.8円を試しに行く展開を予想する。ターゲットは555円、ロスカットは455円 | |
5334 | 3,250 | 2,650 | 自動車向けのプラグなどを製造・販売する。円安進行を追い風に6/30は連日で年初来高値を更新した。本決算発表時に前2023年3月期の営業利益が計画未達となったことが嫌気され、5/1に急落。大幅にギャップダウンスタートとなりインパクトのある下げとなったが、この時の下げ分を完全に埋めきった。決算で急落する前の4/28高値2,838円、3/9高値2,853円を上抜け、一気に需給環境が好転した。PERは一桁台で、まだ評価は不十分にある。動きが良くなってきたことで、2015年につけた上場来高値の3,900円に向けて、水準を切り上げる展開を予想する。ターゲットは3,250円、ロスカットは2,650円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・6/30現在、プライム市場に上場、時価総額が100億円以上、PBRが7.0倍以下、信用倍率が20.0倍以下(6/23現在)、株価が10日・20日・75日移動平均線を上回っている銘柄の中から、業績面、成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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