今週の株式見通し(2023/6/19〜6/23)
今週(2023/6/19〜6/23)の日経平均株価の予想レンジは32,850円-33,850円。東京株式市場は日米欧の中央銀行イベントを消化し、おおむね材料難の週となる。プライム市場は上昇が続いた主力株への利益確定売りが指数を下押す要因となる一方、出遅れ銘柄や業種への循環物色が予想され、外部環境が弱気に傾くことがなければ下値は限定的とみられる。
プライム市場の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率をみた騰落レシオ(25日)は6/16現在で110.6%。昨年以降、指数反落の高値警戒サインとなってきた120%超の水準からみると依然として過熱感はない。空売り比率も先週は一時38%台と昨年以降で指数が高値から反落調整した水準に低下する場面もあったが、6/16は再び41%台を回復した。空売り筋の買い戻しが好需給を演出する構図が見え隠れする。
6/16の米国株式市場は株価指数先物・オプション・個別株オプションなどの最終売買日が重なるクワドルプル・ウィッチングに絡む売買が重しとなった。週明けの6/19はジューンティーンスの振替休日のため休場。6/22にパウエルFRB議長が上院で議会証言を予定しているが、6月FOMC(連邦公開市場委員会)で最新のメッセージを受け取ったばかりでもあり、米主要指数のトレンドに大きな影響を与えるイベントにはなりづらい。
国内では5社のIPO(新規上場)が予定されており、プライム市場に上昇一服感が出てきたとしてもグロース市場の活況が期待できそうだ。
日経平均株価(図表1)は33,000円台まで水準を切り上げ、さらに34,000円台も視野に入ってきた。25日移動平均線(31,528円 6/16)からの上方乖離率は6.9%(6/16)と過熱感はあるが、引き続き上目線のトレンドフォローの見方が優先される。上向きの5日移動平均線(33,229円 同)や10日移動平均線(32,669円 同)上に沿った動きが続いており、強いモメンタムは保たれている。
一方、33,500円〜34,000円水準にはこれまでの長い過去の値動きから算出されるフシが集中している。10日移動平均線を下回り、さらに終値で32506.72円を下回ると新値三本足が陰転し、短期的な調整期間入りを示唆するサインとなる。
上値メドは、2022年3月安値から同年8月高値までの上昇幅を高値に足した33,763円、2021年9月高値から2022年3月安値までの下落幅に対する1.5倍返しとなる33,852円、6/7高値から6/8安値までの値幅調整幅に対する倍返しの33,996円、心理的節目の34,000円や34,500円処などが考えられる。
下値メドは、心理的節目の33,000円、6/7高値(32,708円)、心理的節目の32,000円、25日移動平均線、6/8安値(31,420円)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/7/1-2023/6/16)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、5月首都圏マンション発売(6/19)、日銀金融政策決定会合議事要旨(4/27〜28開催分)(6/21)、5月全国消費者物価指数(6/23)などがある。
国内企業の決算では、ツルハHD(6/23)が発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントは、米5月住宅着工件数(6/20)、英国金融政策発表、米5月中古住宅販売、パウエルFRB議長が米上院で議会証言(6/22)、米6月製造業PMI(6/23)などがある。
米国企業の決算では、フェデックス(6/20)が発表を予定している。
なお、6/19の米国株式市場はジューンティーンスの振替休日のため休場となる。6/22の中国本土・香港市場は端午節のため休場となる。
来週の注目銘柄!(6/19〜6/23)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
2767 | 3,500 | 2,350 | 遊技機の開発や「ウルトラマン」シリーズのコンテンツ事業を手掛ける。前期の大幅営業増益から反動減とはならず、今期も前期比10%増を見込む。業績好調ではあるものの、配当性向は20%台にとどまり自己株式の取得も2021年3月期以降は実施していない。今後の株主還元強化が期待される。株価は5/10に75日移動平均線を割れたが、5/15引け後に発表した今期ガイダンスが好感されて急騰。調整を否定するような強いモメンタムが続き、年初来高値を更新中である。3,000円の心理的節目は単なる通過点となりそうだ。ターゲットは3,500円、ロスカットは2,350円 | |
3097 | 4,100 | 3,050 | メディアで取り上げられることが多い人気チェーン「焼肉きんぐ」などを展開している。コロナ禍でも営業黒字を維持した数少ない外食大手であり、今期営業利益は前期比で2.2倍と過去最高益を見込む。株価はコロナショックの急落から倍返し以上の上昇となり、今年の3月以降は上場来高値の更新が続く強い動き。6/16も連日で高値を更新しており、オシレーター系指標ではやや過熱感もみられる。一方、信用倍率は直近で0.25倍と需給は悪くない。6月は株主優待の権利月でもあり、権利取りの買いによってもう一段の上昇を予想する。ターゲットは4,100円、ロスカットは3,050円 | |
5381 | 810 | 597 | 半導体関連向けなどの研磨剤大手。2023年3月期は半導体市況の低迷などから大幅な営業減益となった。好調だった2022年3月期の水準には届かないものの、今期は増益を見込む。最近ではダイヤモンド半導体の話題が増えたが、同社はダイヤモンドウェーハのエッジ研磨加工サービスを提供する数少ない関連銘柄でもある。株価は2021年10月につけた高値1,353円に対しほぼ半値水準にある。5月後半以降は半導体株高の流れから同社株も買われたものの、主力株と比べると戻りは鈍く上昇余地は大きい。6月は売り買いが交錯しているが、節目とみられる200日移動平均線上を回帰。その後25日移動平均線に接触したところで反発しており、上昇再開か。ターゲットは810円、ロスカットは597円 | |
5408 | 1,050 | 750 | 日本製鉄系の鉄鋼メーカー。鉄鋼株の中で2024年3月期のガイダンスの強弱が分かれる中、同社は今期減益減配の見通しを発表。ただ、株価も調整したことで配当利回りは4.6%程度と高い水準にあり、PBRも0.5倍割れ。9月には中間配当の権利が控えており、軟調な地合いになったとしても下値抵抗力を発揮すると考える。昨年後半は同社株を含め鉄鋼株がこぞって買われた。今年3月からは一転して売られ6/1に755円の安値をつけたものの、2020年3月安値314円、2023年2月高値1,205円からみてほぼ半値押し(759円)の水準にある。安値をつけたあとは800円台を回復するとともに、モメンタムもプラス転換していることから、底打ちとみた買いが強まる公算が大きい。ターゲットは1,050円、ロスカットは750円 | |
6337 | 3,200 | 2,380 | 半導体用の選別装置で国内大手。生成AIなども追い風に半導体製造の後工程が重要となる中、検査装置大手のアドバンテストやフリップチップボンダ大手の芝浦メカトロニクスなどが上場来高値を更新。一方、同社株は2022年11月に付けた高値3,930円から3割安い水準にあり、後工程関連の中では出遅れていると考える。前述の高値3,930円をつけた後は半年近く下落基調が続いたが、5月後半からは持ち直し75日移動平均線上を回復した。その後、同線を挟んでもみ合っていたところ、6/12に大きく買われ陽線を形成。一目均衡表の雲上限なども上抜けてきており、ここから上昇に弾みがつくと予想する。ターゲットは3,200円、ロスカットは2,380円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・6/16現在、プライム・スタンダード市場に上場、時価総額が2,000億円未満、PERが40.0倍以下、PBRが5.0倍以下、今期増収予想(会社予想)、株価が25日・200日移動平均線を上回っている銘柄の中から、成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。