今週の株式見通し(2023/6/12〜6/16)
今週(2023/6/12〜6/16)の日経平均株価の予想レンジは32,000円-32,700円。米連邦公開市場委員会(FOMC)(6/13-14)、ECB理事会(6/15)、日銀金融政策決定会合(6/15-16)と日米欧の金融政策ウィークとなるため、積極的に上値は買いづらく踊り場が予想される。
プライム市場の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率は、直近1カ月程度の平均でほぼ中立状態が続いており、全体では過熱感はない。そういった意味では、先週相場をけん引してきた外需の景気敏感株以外の出遅れ感のある内需株などへ物色の広がりがみられるかに注目。また、決算発表を材料にした短期売買で騰勢を強める銘柄も多くなりそうだ。
6/9の米国株式相場は続伸。翌週に物価指標の発表やFOMCの結果公表を控え、様子見姿勢が強まったものの、センチメントの改善を背景におおむね堅調に推移した。ダウ平均は43.17ドル高(+0.13%)と小幅に4日続伸して終了。S&P500とナスダックもそれぞれ0.11%高、0.16%高とともに小幅に2日続伸となった。週間ベースではナスダックが7週続伸となり、2019年11月以来の長期連騰を記録した。
CMEのフェド・ウォッチが示す6月FOMCでの政策金利据え置き確率は71%となっている。
日経平均株価(図表1)は32,000円台まで水準を切り上げる展開となっている。6/7につけた年初来高値(32,708円)からの調整で10日移動平均線(31,666円 6/9)まで調整する場面もあったが、先週末は早々に32,000円台を回復する底堅さがうかがえる。
25日移動平均線(30,715円 同)からの上方乖離率は5.0%と過熱指標もあるが、上向きの5日移動平均線(32,108円 同)上を回復しており、引き続き上目線のトレンドフォローの見方が優先される。ただ、やや値動きが不安定になっており、今週に限っては10日移動平均線上でのもみ合いの想定もしておきたい。
一方、年初来高値を更新できない状態で6/8安値(31,420円)を下回り、終値で31,328.16円を下回ると新値三本足が陰転し、短期的な調整期間入りを示唆するサインとなる。
上値メドは、心理的節目の32,500円、6/7高値(32,708円)、3/9高値から3/16安値までの下落幅に対する3倍返しの32,900円処などが考えられる。下値メドは、心理的節目の32,000円、10日移動平均線、心理的節目の31,000円、25日移動平均線、5/25安値(30,558円)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/7/1-2023/6/9)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、5月企業物価指数、5月工作機械受注(6/12)、4-6月期法人企業景気予測調査(6/13)、日銀金融政策決定会合(〜6/16)、5月貿易収支、4月機械受注(6/15)、植田日銀総裁会見(6/16)などがある。
国内企業の決算では、正栄食、JMHD、GA TECH、シーアールイー、鎌倉新書、アクシージア、学情、トーホー、稲葉製作、巴工業、グッドコムA、アイ・ケイ・ケイ、萩原工業、ラクーンHD(6/12)、神戸物産、ビジョナル、ヤーマン、MacbeeP、J.S.B.、スマレジ、丹青社、テンポスHD、サトウ食品(6/13)、三井ハイテ、パーク24、ANYCOLOR、エイチ・アイエス、ステムリム、ギフトHD、セルソース、MSOL、サンバイオ、丸善CHI、INTLOOP、柿安本店、トウキョベース、pluszero、エニグモ、ダブルエー、Hamee(6/14)が発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントは、米5月財政収支、米10年国債入札(6/12)、独6月ZEW景況感指数、FOMC(〜6/14)、米5月消費者物価指数(6/13)、米5月生産者物価指数、パウエルFRB議長会見(6/14)、中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高、中国5月都市部固定資産投資、ECB定例理事会(ラガルド総裁記者会見)、米5月小売売上高、米6月ニューヨーク連銀景気指数、米6月フィラデルフィア連銀景気指数、米5月鉱工業生産(6/15)、米5月ミシガン大学消費者信頼感指数(6/16)などがある。
米国企業の決算では、レナー(6/14)、アドビ(6/15)が発表を予定している。
今週の注目銘柄!(6/12〜6/16)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3692 | 1,700 | 1,000 | サイバーセキュリティ対策の製品を手がけており、民間企業だけでなく自治体などへの導入実績も有する。エンジニアの採用強化などによる費用増加から今期は営業減益を予想。一方で採用から3カ月〜6カ月で人材を戦力化できていることから、早期の業績貢献が見込める。今期ガイダンスは控えめであり、期末に向けて一転増益の期待もできる。4月半ばに前期業績の上方修正を発表して急騰、5月半ばは今期減益見通しを発表し急落と激しい動きになった。ただ、6月に入るとすぐMACDとDMIにおいて買いシグナルが出現し、株価も持ち直す展開。半月ほどで5月急落時に形成した窓を埋めた。6/9に出来高を伴って大陽線を形成したことから、上昇ペースが強まると予想する。ターゲットは1,700円、ロスカットは1,000円 | |
4381 | 3,100 | 2,200 | 社名でもあるサブスク統合プラットフォーム「Bplats」を提供している。前期営業利益は前の期比9.7倍で着地。今期も前期比59%増と高い利益成長が続く見通し。出遅れていたマザーズ指数が保ち合いから上放れたことで、グロース市場銘柄の見直し機運が高まりつつある。同社の時価総額は100億円未満で値が軽く、好業績も相まって注目されやすい。今期の見通しが好感され、5月半ばから株価は大幅に上昇。同月終盤からは調整が入ったものの、公募価格2,200円を割れない水準で下げ止まった。日足のスローストキャスティクスは上昇基調にあるが過熱感はない。2020年9月高値(4,335円)、2022年2月安値(851円)から計算した半値戻し2,593円は達成していることから、次は3分の2戻しの3,173円を試す展開を予想する。ターゲットは3,100円、ロスカットは2,200円 | |
5726 | 3,850 | 2,870 | 航空機向けなどの金属チタン大手。東邦チタニウムが今期減益の弱気な予想だが、同社は反対に増益の強気見通し。海外航空会社による旅客機の大口注文などがたびたび伝わっており、輸出価格の値上げ交渉も決着するなど事業環境は改善している。5月半ばに今期の増益見通しが発表されると、株価は上値抵抗線となっていた75日移動平均線を上抜けようとする動きが強まった。その反動によるじり安で一時は25日移動平均線下まで押される場面もあったが、6/6は大陽線を形成して75日移動平均線を明確にブレイク。下落トレンド終了とみる投資家が増えると予想する。ターゲットは3,850円、ロスカットは2,870円 | |
7269 | 6,500 | 4,500 | 6/4付けの読売新聞では、インドが世界の新車販売台数で2022年に日本を抜いて3位になったとみられると報じた。インドでは購買力のある中間層が増えているとのこと。そのインドで圧倒的なシェアを取っているのが、同社の子会社であるマルチ・スズキで、同地域での中長期的な販売拡大が期待できる。株価は5月終盤は相場全体の株高の流れに乗り切れなかったが、先週の急動意で年初来高値を更新すると同時に2月以降のもみ合いを上放れた。週足では13週移動平均線や52週移動平均線上で長い陽線を形成しており、上昇トレンド再開のサインと判断してよい。ターゲットは6,500円、ロスカットは4,500円 | |
9252 | 4,890 | 3,090 | 電力・ガス料金、宅配水など複数サービスの取次販売などを手掛ける。同社は4月、2023年8月期の通期の連結営業利益予想を従来の0.6億円から1.6億円に上方修正を発表した。営業業務の効率化やアライアンス先の強化によるサービス流通数の上昇に加え、不採算取引における支払手数料の条件変更が浸透したことが業績に寄与したという。株価は上方修正で騰勢を強めたあとは25日移動平均線まで調整する場面もあったが、5/12には上場来高値となる3,790円まで上昇。その後の高値を切り下げる調整局面から再び上場来高値を更新した。需給面の改善から上値追いが期待できる。ターゲットは4,890円、ロスカットは3,090円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・6/9現在、プライム・グロース市場に上場、PERが12.0倍以上、PBRが1.0倍以上、今期増収予想(会社予想)、株価が10日・25日移動平均線を上回っている銘柄の中から、成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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