今週の株式見通し(2023/3/20〜3/24)
今週(2023/3/20〜3/24)の日経平均株価の予想レンジは26,950円-27,550円。注目は3/21-22に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)となる。週間ベースではそれ以外に目立った材料が少ない上に、国内は3/21が春分の日により休場。FOMCの結果を消化する3/23までは動きづらい。
週前半は3/17の米国市場の軟調な流れを受け、銀行や保険株などのバリュ系業種には厳しい環境が続きそうだ。米地銀のファースト・リパブリック・バンクが再び急落したことで、地銀株にリスク回避の売りが広がった。
一方、米長期金利が低下、円高が進行しており、小型グロース株への物色が意識されそうだ。米主要指数ではハイテク株主体のナスダックや半導体株指数(SOX指数)の下落率が相対的に小さく、東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体関連は底堅い展開が予想される。
FOMC通過後は一転して米長期金利の上昇、円安方向への動きが予想され、週前半とは物色の優劣が逆転する公算が大きい。週後半は直近売られたバリュ系業種に買い戻しが予想されるが、金融不安が解消されない中で銀行や保険、証券といった金融株の戻りは限定的か。消去法的な観点からも、今回金融株と同じように売られた鉄鋼や非鉄金属、自動車などのバリュー系業種の方がリバウンド妙味は高そうだ。
日経平均株価(図表1)は先週、一時27,000円を割り込む場面があるなど不安定な動きとなった。一方、週末に持ち直したことで週足のローソク足は下ヒゲのある陰線を形成し、やや底入れ感のある形状となった。
75日移動平均線(27,256円 3/17)や200日移動平均線(27,361円 同)などの中長期線、5日移動平均線(27,325円 同)などが集中する水準が戻りの上値で意識されたが、3/16の陽線の両側にマドを形成した。直近の天井形成とは逆のパターンでもあり、今週の動向が注目される。3/13安値(27,631円)や25日移動平均線(27,646円 同)を上回ることができれば、底入れ感が強まる。一方、今回の急落を通じて10日移動平均線(27,838円 同)や25日移動平均線(27,646円 同)などが下向きに転じるなど短期線の悪化が重荷となる。27,500円より上の水準では戻り売りが強くなりそうだ。
上値メドは、3/13安値や25日移動平均線、10日移動平均線、3/10安値(28,118円)など。下値メドは、2/22安値(27,046円)、1/20高値(26,553円)、心理的節目26,000円、1/4安値(25,661円)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/7/1-2023/3/17)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、日銀金融政策決定会合の主な意見(3/9〜10開催分)、日銀副総裁就任予定(3/20)、2月全国消費者物価指数(3/24)などがある。
国内企業の決算では、ツルハHD(3/23)が発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、FOMC(〜3/22)、独3月ZEW景況感指数、米2月中古住宅販売(3/21)、パウエルFRB議長会見(3/22)、英国金融政策発表(3/23)、米2月耐久財受注、米2月製造業PMI(3/24)
などがある。
今週の注目銘柄!(3/20〜3/24)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
2270 | 2,050 | 1,720 | 牛乳、乳製品及び食品の製造・販売などを手がける。足元で日本株が調整色を強めているが、食品株としてのディフェンシブ性を発揮して、ネガティブな影響は限定的。直近でも水準を切り上げる動きが観測される。昨年11月の1,595円でボトムを打ち、長く続いた下落トレンドに終止符を打った。切り返した後は一進一退が続いているが、下値が堅くなってきたことで13週移動平均線や52週移動平均線など週足の節目を突破してきた。3/17時点でPBRは0.6倍台と割安感が強い。昨年12/28につけた直近高値1,850円に接近しており、これを超えて上値が軽くなる展開を予想する。ターゲットは2,050円、ロスカットは1,720円 | |
3093 | 1,550 | 1,090 | 総合リユースショップ「トレファク」を運営している。おう盛なリユース需要を背景に業績が好調。物価の高止まりが続いており、インバウンドの取り込みが見込める今期(2024年2月期)の業績にも期待できそうだ。株価は昨年の夏以降大きく上昇。今年に入ると高値を更新しては売られ、その後切り返すといった展開が続いている。直近では2月分の月次実績が好調だったことで再び高値を更新しようとする動きがみられたものの、3/10や3/13は地合いの悪化を受けて下落。ただ、一目均衡表の抵抗帯(雲)を割れずに下げ止まっている。好業績だけでなく生活防衛といったディフェンシブ性もあることから、不安定なマーケット環境下において今後の評価が高まると予想する。ターゲットは1,550円、ロスカットは1,090円 | |
7453 | 1,680 | 1,300 | 生活雑貨などを取り扱う「無印良品」を展開している。前期は急激な円安などが響いたが、足元では円高方向にシフト。コロナ規制が緩和された中国での売り上げ回復も見込める。また、今年1月以降は一部商品を値上げしており、利益率の改善による業績回復に期待したい。2月度の海外売上高では東アジア事業における直営既存店+オンラインストア売上高は前年同月比12.8%増となり、このうち中国大陸は同17.4%増となった。東南アジア・オセアニア事業は同34.2%増、欧米事業は同28.5%増と好調だった。株価は1月に発表した決算で急落を強いられたが、おおむね200日移動平均線付近では買いが入り下げ渋る展開が続く。週足の一目均衡表では転換線や基準線を上回る株価位置を保っており、上放れは時間の問題だろう。ターゲットは1,680円、ロスカットは1,300円 | |
7701 | 4,650 | 3,790 | 分析・計測機器大手。X線診断装置、半導体製造装置搭載のポンプなどを手がける。株価は1/5に3,570円でボトムを打った後は、2/7には4,195円まで上昇。200日移動平均線でいったん頭打ちとなり下押すものの、3/17には同線を終値バースで超えてきた。一目均衡表でも強気局面入りサインの「三役好転」に近づいており、注目に値する。週足では、26週移動平均線上で高値引けの陽線を立てた格好となっている。月足では60カ月移動平均線をサポートに下げ渋っており、日柄調整は一巡した可能性が高い。長期では右肩上がりのトレンドが崩れておらず、2021年9月につけた5,550円に向けて買いの勢いが強まる展開を予想する。ターゲットは4,650円、ロスカットは3,790円 | |
7729 | 5,610 | 4,730 | 計測機器製造の精密位置決め技術生かし、半導体製造装置に展開している。2月後半に半導体株の動きが良くなった際にその流れに乗り、3/9には5,180円まで上昇。全体市場が崩れたことで調整が入ったが、直近では上向きの25日移動平均線線に接近したところで下げ渋った。3/17の米国市場は軟調だったが、相対的に半導体関連は底堅く推移した。2月の中盤から基調が変化しており、2月は月間で12%超の上昇。ローソク足では実体の長い陽線を形成し、24カ月移動平均線を上に抜けてきた。昨年来高値が昨年の大発会につけた5,270円で、同水準が射程圏内に入っている。早期に昨年来高値を更新し、2021年6月につけた5,740円を試しに行く展開を予想する。ターゲットは5,610円、ロスカットは4,730円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・3/17現在、プライム銘柄で時価総額300億円以上、PBRが7.0倍以下、PERが25.0倍以下、配当利回りが1.0%以上、今期増収予想(日経予想)、25日・200日移動平均線を上回っている銘柄の中から、成長性や話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。