今週の株式見通し(2023/3/13〜3/17)
今週(2023/3/13〜3/17)の日経平均株価の予想レンジは27,650円-28,250円。米銀行持ち株会社SVBフィナンシャル・グループ傘下のシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻を受けて米国市場の混乱が続いており、東京株式市場も全般的に売り先行の展開が予想される。
米雇用統計通過後、今週も米2月消費者物価指数(CPI)や米2月小売売上高などの重要経済指標が多く、金融不安を抱えながら米国株の不安定な動きは続く公算が大きい。一方、市場では来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ幅が0.25%にとどまるとの見方が強まっている。そういった中、金融当局などの対応を通じて金融不安が一過性との見方が強まれば、株価の急反発も見込めそうだ。
売り一巡後は買い戻しや押し目買いが下値を支える。日本株に関しては中国景気や国内の景気回復への期待が企業業績への不透明感を和らげている。売り出しを発表した、ゆうちょ銀行株の購入資金を確保するための換金売りも出るだろうが、3月期末の権利・配当取りを意識した買いも予想され、日経平均株価の28,000円割れの水準では需給はタイトか。決算発表企業も少し増えることや、国内では2月の訪日外国人旅行者数の発表などもあり、決算イベントやインバウンド関連中心に個別色が強くなる場面もあるだろう。
米連邦預金保険公社(FDIC)は3/10、シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻し、事業を停止したと発表した。FDICが管財人になり預金保護を発動。SVBファイナンシャルの株価は増資計画の発表が嫌気されて前日に60.4%安と暴落したが、この日は取引が停止された。SVBの経営破綻を受けてシグネチャー・バンクが22.9%安、ファースト・リパブリック・バンクが14.8%安と地銀株が軒並み急落した。
注目された米2月雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が31.1万人増となり市場予想の20.5万人増を上回る強い結果となった一方、失業率が3.6%と1月や予想の3.4%を上回る悪化となった。平均賃金の伸びも前月比+0.2%、前年比+4.6%となり、それぞれ予想の+0.3%、+4.7%を下回った。雇用統計の結果を受けて、CMEのフェド・ウォッチが示す3月FOMCでの0.5%の利上げ確率は前日の68%から40%に低下し、0.25%の利上げ確率が60%に上昇した。
日経平均株価(図表1)は28,000円台を回復。先週末は一転して大幅安となったが、10日移動平均線(27,957円 3/10)を割り込むまでの調整には至っていない。そういった意味では現時点での調整は浅いといえ、上目線を継続したいところだ。
一方、3/9の「十字足」に近いパターンの両側にマドが開いており、目先の天井を打ったと判断することもできそうだ。心理的フシ(28,000円)〜3/3高値(27,961円)、2/6高値(27,821円)、25日移動平均線(27,705円 同)、1/16安値を起点に2/22安値を通る右上がりの支持線、中期の75日移動平均線(27,313円)、長期の200日移動平均線(27,347円)などが下値メドとなる。
2/6高値〜25日移動平均線、支持線などまでの調整にとどまれば、もみ合いをこなしながらも一段高のイメージは残る。昨年11月や9月につけた戻り高値を一度上回っていることから、年初からの上昇基調が簡単に崩れることはないだろう。
だが、中長期線を叩くまでの調整拡大となる場合、上値が限定的なこう着相場から再度下値を試す動きになっていく可能性が高まる。
上値メドとしては、3/9高値(28,734円)、8/19安値(28,913円)、8/17高値(29,222円)、2/6高値から2/22安値までの下げ幅を上値に3倍返した29,370円処などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/7/1-2023/3/10)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、1-3月期法人企業景気予測調査(3/13)、日銀金融政策決定会合議事要旨(1/17〜18開催分)、2月訪日外客数(3/15)、2月貿易収支、1月機械受注、2月首都圏マンション販売(3/16)
などがある。
国内企業の決算では、ACCESS、アクシージア、グッドコムA、学情、アイ・ケイ・ケイ、萩原工業、トーエル、ネオジャパン(3/13)、神戸物産、三井ハイテ、ヤーマン、正栄食、セルソース、MSOL、JMHD、J.S.B.、ポールHD、巴工業、アルトナー、Pアンチエイジ(3/14)、パーク24、アスクル、エイチ・アイエス、ANYCOLOR、トリケミカル、スマレジ、ギフトHD、シーアールイー、INTLOOP、pluszero、AB&C(3/15)、サンリオ、ビジョナル、サンバイオ、MacbeeP、GA TECH、丸善CHI、エニグモ、スバル興、モロゾフ、Hamee、サーキュ、ファーストロジ、OS映(3/16)、Eインフィニティ、稲葉製作、3Dマトリックス、Link−U、ダブルエー、アルデプロ(3/17)が発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、米2月消費者物価指数(3/14)、中国2月鉱工業生産、中国2月小売売上高、中国2月固定資産投資、米3月ニューヨーク連銀景気指数、米2月小売売上高、米2月生産者物価指数、米3月NAHB住宅市場指数(3/15)、ECB定例理事会(ラガルド総裁記者会見)、米2月住宅着工件数、米3月フィラデルフィア連銀景気指数(3/16)、米2月鉱工業生産、米3月ミシガン大学消費者信頼感指数(3/17)などがある。
米国企業の決算では、アドビ(3/15)、ダラー・ゼネラル、フェデックス(3/16)が発表を予定している。
今週の注目銘柄!(3/13〜3/17)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3652 | 3,030 | 2,220 | 研究開発型ファブレス半導体企業であり、AI製品・サービスに注力している。2023年3月期3Q累計(4-12月)では営業赤字となったものの、10-12月は黒字化。アミューズメント分野が伸びており、同分野向けの画像処理プロセッサ「RS1」が今後も業績をけん引すると考える。株価は昨年11月後半から12月末にかけて大きく上昇。その後は買いも一服し、2,200円から2,700円の間でもみ合いが続いている。ただ、もみ合う中でも徐々に下値は切り上げており、75日移動平均線が株価に追いついてきたことで日柄調整も終わりが近いとみる。3/10は地合いが軟調な中でもプラスで終えたことから、買いが強まると予想する。ターゲットは3,030円、ロスカットは2,220円 | |
5208 | 1,550 | 1,310 | プリント基板向けの電子材料を主力としている。今期は中国のゼロコロナ政策やコスト高が利益を圧迫する見込み。一方で、その中国も景況感が回復してきていることから、来期は業績持ち直しが期待できる。今期は期末に90円の配当を予定しており、配当利回りが6%を超える点にも注目したい。株価は2月に発表した通期業績予想の下方修正を受けて大きく下げる場面があったが、すぐに買い戻される展開。結局のところ2月からは1,400円前後でのもみ合いが続いている。ただ、次第に煮つまり感が強くなっており、まもなく上放れの動意か。2022年からの少し長い期間でみると右肩上がりが続いている。ターゲットは1,550円、ロスカットは1,310円 | |
5759 | 3,040 | 1,720 | 車載電池用と回路基板用の電解銅箔を専業としている。3/6に新株予約権の行使が完了したと発表。既存株式の希薄化率が25%近い大規模なものだったが、調達資金は米国の新工場建設資金に充てるといった前向きな内容だった。直近ではEV大手の米テスラがメキシコに新工場を建設すると発表しており、今後の車載向け需要が拡大する期待も大きい。株価は今期の赤字見込みや増資が嫌気され、2022年1月の上場来高値5,890円に対し2023年1月には1,479円(高値比75%安)まで下落した。一方、2月半ばを過ぎると急上昇しており、75日移動平均線を上抜ける展開。現在は一目均衡表の雲上限を意識してもみ合いが続く。増資による需給悪化の懸念も和らいだことから、来期以降の業績回復に期待した買いが強まると予想する。ターゲットは3,040円、ロスカットは1,720円 | |
6768 | 900 | 730 | バッテリー電圧を昇降圧させるリアクタなどの大手。2023年3月期3Q累計(4-12月)の連結営業利益は前年同期比7.1倍と好調な着地。中国に自社最大規模の生産拠点を保有しており、製造業の景況感が改善していることは業績にも追い風となりそうだ。株価は直近では昨年11月に908円の高値をつけたが、その後は地合いの悪化を受けて軟調な動きとなった。一方、1月半ばころからは上昇に転じ、2月には一時800円台を回復するなど堅調に推移。ここ数日の出来高は増加する場面があるほか、25日移動平均線も上向きに変わりつつある。今後の業績期待とともに直近高値908円を奪還し、2021年6月以来となる1,000円台をめざす展開を予想する。ターゲットは900円、ロスカットは730円 | |
9716 | 1,070 | 860 | 商業施設やホテルなどで使われるディスプレイの企画・設計を手掛ける。3/8に2023年2月期の見通しを修正しており、売上高見通しは引き上げた一方、営業利益以下の見通しは引き下げた。利益面に関しては、資材価格の上昇や価格競争激化の影響を受けたとのこと。ただ、これを受けた翌3/9の株価は売りが先行したものの、寄り付き直後を安値に強気の中陽線で終えた。今年に入ってからは1/13に850円まで下落し、その後は持ち直しが続いている。昨年以降の値動きをみても、850円近辺では押し目買いが入っていることが多い。人々のマスク着用が緩和されることは、同社にとっては事業機会が増加する要素となる。今回のリリースで悪材料出尽くしとの見方が強まり、株価も底打ち反転の展開を予想する。ターゲットは1,070円、ロスカットは860円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・3/10現在、プライム・グロース銘柄で時価総額1,500億円以下、PBRが3.0倍以下、25日移動平均線が横ばいか上向きにある銘柄の中から、特に成長性と話題性を中心に業績面やテクニカル面など総合的
- に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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