今週の株式見通し(2023/2/27〜3/3)
今週(2023/2/27〜3/3)の日経平均株価の予想レンジは27,200円-27,700円。東京株式市場は円安進行が主力株の支えになる一方、米長期金利(米10年債利回り)の動向に一喜一憂する神経質な展開が続く見通し。月末・月初の週で中国2月製造業PMIや米2月ISM製造業景気指数など注目の経済指標が多く、米国ではターゲットやダラー・ツリー、メーシーズなどの小売企業の決算発表もある。ホーム・デポによる弱いガイダンスで個人消費に対する不透明感が強くなっており、弱いヘッドラインには株安連鎖の反応が起きやすく留意が必要だ。
先週は連休明けの米国市場で米10年債利回りの上昇や景気への先行きへの警戒感からダウ平均、ナスダックともに大幅安となり、日経平均株価は27,000円近くまで下押す場面があった。一方、米半導体関連株の大幅高が好感されたほか、日銀総裁候補の所信聴取で大規模な金融緩和策が継続するとの見方が強まり、祝日前まで売られていた電機や機械などのハイテク株に買い戻しが強まる展開となった。
一方、今の物色の流行りは、PBR(株価純資産倍率)が1倍割れのバリュー株(割安株)である。東証が「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の論点整理」と題する資料で、PBRが継続的に1倍を割れている企業に対し、改善に向けた方針や具体的な取組みなどの開示を求めていくべきと示したことで、企業側による収益性の拡大、増配や自社株買い・消却などの株主還元、M&Aなどを通じた株価対策への思惑が投資家の注目を集めている。
当面はPBR1倍割れのバリュー株への物色は続くことが予想されるが、短期的には過熱感も指摘される。日銀金融政策決定会合(3/9〜3/10)や米2月雇用統計(3/10)の発表が来週に控えており、直近買われたバリュー株は伸び悩む展開が予想される。一方、中国の製造業PMIの改善継続や、米10年債利回りの上昇一服がみられれば、先週末同様、電機や機械などのハイテク株(景気敏感系グロース株)への見直し買いにつながる場面も予想され、指数上昇にも寄与が大きくなる。
先週末の米主要指数の大幅安の要因となった、米1月個人消費支出 (PCE) 価格指数は変動の大きい食品、エネルギーを除くコア指数が前年比+4.7%と12月分の+4.6%や予想を上回り、前月比でも+0.6%と12月分や予想を上回る伸びとなった。FRB(連邦準備制度理事会)が注目するインフレ指標の高止まりを受けて利上げの長期化見通しが強まり、米10年債利回りは一時3.97%台まで上昇する場面があった。
米10年債利回りは2月に入ってから一本調子で上昇している。だが、概ね月ごとに上昇と低下のリズムが続いており、3月は足元までの上昇基調が一服するかに注目だろう。
日経平均株価(図表1)は小動きの基調から変動率がやや高まる局面に入っている。2/21に出現した分岐を示唆する「十字足」から、2/22には短期線の25日移動平均線(27,418円 2/24)に加え、中長期線の75日移動平均線(27,300円 同)、200日移動平均線(27,271円 同)を一気に下回る弱い動きとなる場面があった。一方、先週末は逆に短期線や中長期線上へ早々に回復し、前日の下げで開けたチャート上のマドも埋め戻す強い動きがみられた。
先週末は下げを否定するような値動きであり、今週は反発の持続力が試される。2/22の大幅安がダマシの下げであるなら、10日移動平均線(27,497円 同)上への回復を通じて、上方向に勢いつく可能性も高い。
上値メドとしては、10日移動平均線、2/6高値(27,821円)、心理的フシ(28,000円)、12/14高値(28,502円)など。短期的な下値メドは、2/22安値(27,046円)、1/23高値(26,938円)、1/20高値(26,553円)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/7/1-2023/2/24)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、参議院で日銀総裁・副総裁候補者に対する所信聴取(2/27)、1月商業動態統計、1月鉱工業生産指数、1月住宅着工統計(2/28)、2月新車販売台数(3/1)、10-12月期法人企業統計(3/2)、2月都区部消費者物価指数、1月失業率、1月有効求人倍率(3/3)などがある。
国内企業の決算では、東和フード(2/27)、ラクーンHD(2/28)、伊藤園(3/1)、泉州電、ロックフィール(3/2)、アインHD、日駐、カナモト、DyDo、内田洋、ハイレックス、ファースト住、日本スキー、日ハウスHD(3/3)が発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、米1月耐久財受注、米1月NAR仮契約住宅販売指数、世界最大級のモバイル展示会「モバイル・ワールド・コングレス2023」(スペイン・バルセロナ、〜3/2)(2/27)、米12月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米2月消費者信頼感指数(2/28)、中国2月製造業PMI、中国2月財新製造業PMI、米2月ISM製造業景気指数(3/1)、米2月ISM非製造業指数(3/3)などがある。
主な米企業決算では、ターゲット(2/27)、ロウズ、ダラー・ツリー、セールスフォース・ドットコム(3/1)、ベスト・バイ、コストコ・ホールセール、メーシーズ(3/2)が発表を予定している。
今週の注目銘柄!(2/27〜3/3)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2292 | 3,230 | 2,600 | 牛肉・ホルモン輸入の先駆け。ホルモン焼き「こてっちゃん」を主力としている。原材料高が厳しい食品業界において、鳥インフルエンザ流行が卵の価格高騰に拍車をかけている。今期は原材料高などの影響により2ケタの減益を見込むが、卵の代替となるタンパク源として、食肉・ホルモンの需要増加に期待したい。 株価は2021年4月以降、巣ごもり需要を受けて上昇が一服。その後は下落基調が続いている。一方、1/16に示現した大陽線で底打ちの公算が大きい。200日移動平均線から押し戻される展開が続くが、短期オシレータ指標には底値圏のシグナルが確認できる。ターゲットは3,230円、ロスカットは2,600円 | |
3088 | 7,700 | 6,060 | 都市型ドラッグストアの草分け。PBや化粧品、医薬品に強い。2023年3月期3Q累計(4-12月)の連結営業利益は484億円(前年同期比74.2%増)で着地。医薬品、化粧品、雑貨、食品の各商品が前年同月比で2ケタの増収となったことなどが寄与した。免税販売も回復基調で、中国のインバウンドへの伸びしろも大きい。株価は2022年1月以降、安値を切り上げる上げ相場を展開している。2/16高値6,840円からの反落局面にあるが、高値圏ゆえの好需給が一段高への期待を高めやすく、インバウンドの代表格として存在感を高めていく公算が大きい。ターゲットは7,700円、ロスカットは6,060円 | |
4776 | 3,300 | 2,200 | 業務アプリ構築のクラウドサービス「キントーン」で有名。前期は積極的な広告投資により大幅な減益となったものの、期初計画を大きく上振れる着地。認知度向上を踏まえ、今期は過去最高益を見込む。株価は2021年11月から急降下したが、2022年6月から一転してV字回復。12月には下落直前の高値2,794円を上回る2,800円まで買われた。今年に入るともう一段上昇し、2月には2,899円まで買われる展開。直近は地合いの悪化を受けて下げているものの、好調な月次実績が材料視され、2/22は前日の陰線を下から切り込む陽線で反発している。ストキャスティクスも売られすぎの水準から戻り始めており、短期的には買い戻しが続くと予想する。ターゲットは3,300円、ロスカットは2,200円 | |
5986 | 420 | 274 | 特殊鋼の専門商社。自社で製造・加工・販売を行うほか、EV向け充電スタンド関連事業も展開している。新年早々、政府がEV急速充電器の規制緩和に乗り出したと伝わったことで、1月からは株価が堅調に推移。2023年をめどに緩和する方向とされており、政策に期待した物色が続きそうだ。2022年後半の株価は11月に発表した下方修正や立会外分売を嫌気して大きく下落。一方、今年に入ると前述の報道を機に買われ、2月には下げた分を取り戻す展開となっている。この上昇によって25日移動平均線が強く上向いたほか、一目均衡表の抵抗帯(雲)も上抜けたことから、トレンド転換とみた買いが増えると予想する。ターゲットは420円、ロスカットは274円 | |
6013 | 1,500 | 1,260 | ごみ処理・水処理・バイオマス発電などのプラント建設および保守を手がける。2/9の3Q決算発表時に通期の利益見通しと期末の配当見通しを引き上げた。受注済みのプラント建設工事が順調に進ちょくしているほか、メンテナンスや新電力事業などのストック型ビジネスも順調に伸びている。昨年11月の上期決算発表時にも、上方修正と増配を発表している。 2/9のリリースを受けて、同日の株価は大幅上昇。翌日も買いが続き、昨年11月につけた戻り高値1,325円を上回った。今年1/16安値1,191円で当面の底を打った可能性が高まっており、当面は上げ基調の地合いが続くと予想する。ターゲットは1,500円、ロスカットは1,260円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・2/24現在、プライム・スタンダード銘柄で時価総額 1兆円未満、PERが80.0倍以下、配当利回りが0.5%以上、信用倍率が20.0倍以下(2/17現在)、25日・75日移動平均線が横ばいか上向きである、今期増収予想(日経予想)の中から、出来高推移、成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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