今週の株式見通し(2023/1/10〜1/13)
今週(2023/1/10〜1/13)の日経平均株価の予想レンジは25,900円-26,500円。東京株式市場は4日立会いで週末のオプションSQ以外はやや材料難となる。先週は米長期金利の低下で電機セクターが相対的に底堅く推移した。今週もその流れから、米ハイテク株の動向や世界的半導体メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)の決算発表などが注目される。半導体関連を多く含む電機セクターに買い戻しが強まるかが、指数上昇のカギとなる。
国内では安川電機の第3四半期の決算発表が予定されている。同社株は足元まで下落基調が続いており、反転上昇のきっかけとなるかどうか。前回発表時に続いて下方修正となれば、他の設備投資関連の上値を抑える要因になることもある。なお、同社は下期の平均為替レートについて、第1四半期の決算発表時点の計画から円安方向に見直している(1米ドル120円→140円、1元19円→20円)。前回決算時に想定レートを円安方向に見直した企業は多く、足元の円高が続けば株価上昇の足かせとなる。
小売企業やグロース系企業を中心に決算発表が数多く、個別株物色はにぎわいが予想される。
一方、最大の注目材料は、1/12発表の米12月消費者物価指数(CPI)である。先週末の米主要3指数は軒並み2%を超える上昇となり、米半導体株指数(SOX指数)の上昇率は一時5%を超える場面があった。12月雇用統計で賃金の伸びが鈍化したことや、12月ISM非製造業PMIが予想以上に悪化したことで、米連邦準備理事会(FRB)による積極的な利上げへの警戒感が和らいだ。
12月のCPIでは変動の大きい食品、エネルギーを除くコア CPI の市場予想は前年比+5.7%となっており、11月の+6.0%から伸び率がさらに鈍化する見通し。米長期金利の低下を支えにハイテク株主体のナスダックの底上げにつながるか、ダウ平均の34,000ドル回復などが試される。
1/13 に発表されるミシガン大学消費者態度指数(速報値)にも注目だ。調査対象が少ないためブレが大きい面はあるが、消費者の1年先期待インフレ率もCPI と同様に金融市場の材料になりやすい。
日経平均株価(図表1)は下値模索が続いている。一方、1/6は前日から安く寄り付くも上値を試す展開となった。大発会の下げで開けたマドを埋め切ることはできなかったが、久しぶりに長い陽線を形成して終えた。
5日移動平均線(25,939円 1/6)を上回って終えており、次は一目均衡表の転換線(26,141円 同)や10日移動平均線(26,163円 同)などを上回れるかが焦点となる。さらに、昨年3月の安値以降で下値のフシとなってきた月足の36カ月移動平均線(26,201円 同)上を回復できれば、日銀による政策変更で急落した12/20の大陰線の中値(26,878円)付近までは軽いのではないか。
一方、現時点では下値模索の基調が続いており、月末にかけて昨年3月安値を下回るような月足陰線を形成するなどの場合、当面のネガティブな値動きにつながりかねない。昨年9月陰線から10月陽線で切り返したような高値もち合いを維持するには、1月は反転上昇によって月足陽線で切り返すことが必要となる。
上値メドとしては、心理的節目(26,500円)、12/20の大陰線の中値(26,878円)、25日移動平均線(27,049円 同)、200日移動平均線(27,271円 同)など。短期的な下値メドは、1/4安値(25,661円)、10/3安値(25,621円)、心理的フシ(25,500円)〜6/20安値(25,520円)、3/9安値(24,681円)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2023/1/6)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、12月都区部消費者物価指数、11月家計調査(1/10)、11月景気動向指数(1/11)、12月都心オフィス空室率、地域経済報告(さくらレポート)(1/12)、オプションSQ(1/13)がある。
企業決算では、安川電、ウエルシアHD、ローソン、キユーピー、クリエイトSDH、イズミ、リテールPT、リソー教育、コジマ、ライク、スタジオアリス、わらべや、アレンザHD、東京個別、カネ美食品、キユソー流通、エコス、アヲハタ、ライトオン、バイク王、三光合成、ヒマラヤ(1/10)、ABCマート、ビックカメラ、サイゼリヤ、U.S.M.H、ライフコーポ、ローツェ、コーナン商事、コシダカHD、カーブスHD、技研製、タマホーム、出前館、クリーク&リバ、AIT、イートアンドH、明光ネット、カンセキ(1/11)、ファーストリテイ、7&I−HD、東宝、SHIFT、イオンモール、久光薬、イオンFS、ディップ、マニー、OSG、Sansan、フジ、イオンディライ、いちご、USENNEXT、TKP、乃村工、JINSHD、不二越、大黒天、ウイングアーク、エスプール、トーセイ、アイドマHD、歌舞伎、松屋、オンワードHD、サーラ、大有機、キャンドゥ、CSP、トランザクショ、PRTIMES、トレファク、ブックオフGH、進和、FIXER、ボードルア、柿安本店、ウォンテッドリ、インタアクション、三協立山、ビーウィズ、ヤマザワ、中本パクス、小津産業、毎コムネット(1/12)、イオン、ベイカレント、コスモス薬品、サカタのタネ、クリレスHD、ウエストHD、松竹、イオン北海、吉野家HD、竹内製作、プレナス、コメダ、S Foods、MV東海、ニッケ、パソナG、IDOM、アークランズ、ベクトル、ワキタ、リンガハット、FPパートナー、SFP、TSIHD、北の達人、オキサイド、バリュエンスH、ダイト、霞ヶ関キャ、エネクスインフラ、三栄建築、チヨダ、北興化、ティムス、スターマイカHD、佐鳥電機、モリト、ラクトJPN、ジャステック、イージェイHD、Bエンジニア、サーバーワクス、アステナHD、UUUM、RPA、串カツ田中、セラク、シンメンテHD、Gunosy、住江織、Enjin、プラズマ、ヨシムラフード、前沢工、Jフロンティア、東名、ビザスク(1/13)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントは、米11月消費者信用残高(1/9)、米10年国債入札(1/11)、米12月消費者物価指数、米12月財政収支、米30年国債入札(1/12)、米1月ミシガン大学消費者態度指数(1/13)などがある。
米企業決算では、シティグループ、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、ユナイテッドヘルス・グループ(1/13)が発表を予定している。
今週の注目銘柄!(1/10〜1/13)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
3196 | 1,620 | 1,350 | 「築地銀だこ」を主柱とし、アジアにも進出している。昨年の11/14には2022年12月期の通期業績予想を上方修正。4月以降の売上高が堅調に推移していることが理由とした。海外でも回復の兆しが見えてきていることや、新店舗の出店に意欲的で、今期の業績貢献にも期待できる。株価はコロナショック時の急落から順調に上昇。前述の上方修正を受けて一時1,600円近くまで買われる場面も見られた。その後は調整したものの、上昇基調にある75日移動平均線を意識して下げ止まる気配。12月の権利落ち日後は値固めが進んでおり、まもなく反転上昇に期待できそうだ。ターゲットは1,620円、ロスカットは1,350円 | |
3998 | 1,000 | 755 | オンライン学習教材を塾、学校、個人向けに展開している。東京都の小池知事が0歳〜18歳に月5,000円程度を給付すると発表。開始時期や配布方法は今後の発表次第だが、同社が個人向けに提供する教材コースは月額8,000〜10,000円程度であり、給付金をきっかけとした契約が増えやすいと考える。株価はコロナ禍でテンバガー達成後、その後の下落幅が大きく昨年10月以降は1,000円を割れが続く。一方、12/28安値726円を起点に出直り感が強くなっており、1/6には75日移動平均線を強い陽線で上抜けてきた。出来高も増加しており、短期的には強いモメンタムが続きそうだ。ターゲットは1,000円、ロスカットは755円 | |
4480 | 4,500 | 3,330 | 医療業界向けの人材紹介などを展開している。昨年11/14、人材プラットフォーム事業などの好調を理由に、通期業績予想を上方修正。11/21には東証プライムへの市場変更承認も発表した。高成長継続とプライム移行により、今後幅広い投資家からの注目が高まるだろう。株価は8月半ば以降、地合いの悪化により大きく下げたものの、10/3に2,445円の安値を付け、再び大きく上昇した経緯がある。12月には4,690円まで上昇した。12月後半は地合い悪化によって下げたものの、上昇基調にある75日移動平均線まで調整が進んだことで、まずは自律反発狙いから入りたい。ターゲットは4,500円、ロスカットは3,330円 | |
6630 | 1,680 | 1,240 | 美顔器などを手掛ける健康機器メーカー。中国のロックダウン長期化を受けても、売り上げは好調に推移。昨年の11/17には2023年4月期上期(4-9月)の業績予想を上方修正した。例年、中国では3/8の「国際女性デー」に合わせて行われる女性関連製品のEコマースイベントがあり、上期の好調を踏まえると下期業績にも期待できる。株価は9月半ばから大きく下落していたものの、上述の上方修正により大幅高。200日移動平均線上を回復しており、今後はインバウンド回復による実店舗の販売増加も見込めることから、堅調な推移が続くと予想する。ターゲットは1,680円、ロスカットは1,240円 | |
6817 | 1,800 | 1,200 | コイル専業大手。車載用や通信用に強い。昨年10/31、EV/xEV関連が堅調に推移していることを理由に、2022年12月期の通期連結純利益予想(IFRS)を従来の31億円から39億円に上方修正した。株価は上方修正を受けて騰勢を強める展開となった。12月中旬ごろまでは順調に下値を切り上げる上昇基調が続いたが、12/13高値1,571円からは調整局面ある。一方、RSIやストキャスティクスなどは売られ過ぎの水準からボトムアウトを確認することができ、調整一巡との見方から反発期待が強い。電機セクターの中では比較的高位置にあり、需給面にも懸念は薄い。ターゲットは1,800円、ロスカットは1,200円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・1/6現在、東証プライム・グロース銘柄で時価総額が1,500億円未満、PBRが10.0倍以下、信用倍率が12.0倍以下(12/30現在)、株価が75日移動平均線を上回っている銘柄の中から、業績面、成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。