今週の株式見通し(2022/11/28〜12/2)
今週(2022/11/28〜12/2)の日経平均株価の予想レンジは28,100円-28,800円。月末月初で日米中などの経済指標の発表が多く、週末には米11月雇用統計が発表される。米国の利上げペースが減速するとの見方が大勢となっているが、雇用統計までは為替市場や米債券市場は動けずの状態が予想され、むしろその安定感が株式市場市場にとっては追い風となろう。
目先の過熱感などから調整を見越した空売りが断続的に入ることも予想される。だが、ネガティブな材料には耐性、ポジティブな材料には強く反応する地合いの中、結局は空売りの買い戻しが指数を支える構図に変化はなさそうだ。米ブラックフライデー商戦に関するポジティブなニュースがあれば、国内の内需消費関連株への刺激になろう。
11月相場ではTOPIX(東証株価指数)が日経平均株価をアウトパフォームしている。今週は出遅れ感のある日経平均株価の巻き返しがみられるかが、ポイントの1つになるだろう。月間の業種別の騰落を振り返っても、上昇率上位には、卸売や海運、鉄鋼、銀行、非鉄金属などバリュー系の景気敏感株が入っている一方、下落側には精密機器や情報・通信などグロース系業種が入っている。月の最終週ということでリターンリバーサル(グロース系優位≒日経平均株価優位)を狙いたいところだが、米国市場でナスダックの大幅高が連続するような地合いでもない限り、上げても下げてもTOPIXの優位性が保たれる公算が大きい。
そうは言いながらも、グロース株を選別物色する向きは当然予想されるが、グロース系が全体的に買われるタイミングは米消費者物価指数(CPI)の発表(12/13)、12月FOMC(12/13-14)前後からとみられる。
2000年以降、11月の最終営業日を含む週の日経平均株価は極端に勝率が高い。今年は10月第4週以降、海外投資家による買い越し基調が続いていることに加え、例年11月末〜12月前半までは中間配当金の支払い時期にあたり、再投資への原資が増えることで需給面の下支え要因が生じる。大学ファンドによるバリュー株投資の期待なども心理的な支えになろう。
日経平均株価(図表1)は直近11/11高値(28,329円)を上抜け、10/3安値(25,621円)からの上昇基調が続いていることが確認できた。9/14の急落で開けたマド埋め(28,530円)にあと一歩届いていないが、短期指標の好転に大きな変化はなく、トレンドフォローが基本スタンスであろう。
上値メドとしては、10/6高値から10/13安値までの下げ幅を10/6高値に加えたV計算値(28,560円)、6/20安値を起点に7/1安値と9/7安値を通る右上がりの抵抗線、8/22の下げで形成したマド埋め(28,913円)、10/3安値から10/6高値までの上げ幅を10/6高値に加えたE計算値(29,176円)などがある。昨年9月高値を起点に今年の8月高値を通る右下がりの抵抗線も重要なフシとなる。
10月の月足ローソク足は2020年11月以来の実体(始値と終値のレンジ)の長い陽線を形成。9月は2012年秋口の安値を起点とした長期上昇トレンドラインまで下押す弱気一辺倒の値動きとなったが、10月はトレンドライン上から見事に陽線で切り返した。11月相場も10月に続いて陽線となる可能性が高い。12月は月足の一目均衡表では転換線が久しぶりに上向きに転じる見込みであり、8月高値(29,222円)を超えるような上放れにつながるかに注目したい。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2022/11/25)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、10月失業率、10月有効求人倍率(11/29)、10月鉱工業生産、10月住宅着工統計(11/30)、7-9月期法人企業統計、11月新車販売台数(12/1)がある。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、米サイバーマンデー(11/28)、米9月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米11月消費者信頼感指数(11/29)、中国11月製造業PMI、米11月ADP全米雇用リポート、米7-9月期GDP改定値、ベージュブック(11/30)、中国11月財新製造業PMI、米10月個人消費支出・個人所得、米11月ISM製造業景気指数(12/1)、米11月雇用統計(12/2)などがある。
米企業決算では、セールスフォース・ドットコム(11/30)、ダラー・ゼネラル(12/1)が発表を予定している。
来週の注目銘柄!(11/28〜12/2)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2150 | 1,750 | 1,170 | 医療従事者向けのサービスに強みを持つ。11/11に発表した3Q決算では営業利益は22.9億円で着地した。通期の計画は25.9億円。1Qが8.4億円、上期が15億円で、巡航速度でも通期計画は超過する可能性が高い。株価は昨年6月に2,515円まで上昇した後、長く下げ基調が続いたが、今年の3月に659円でボトムを打った後は上昇トレンドに転じている。3Q決算発表前に強めに下げる場面があったが、決算を確認した11/14には大きく上昇し、25日移動平均線上を回復する場面があった。3月安値からは倍値近くになったが、昨年6月の水準からは半値程度で、戻りは道半ば。通期の上振れ期待が高まる中、買いの勢いが強まる展開を予想する。ターゲットは1,750円、ロスカットは1,170円 | |
3288 | 6,800 | 5,400 | 都心部を中心に戸建て住宅の販売を手掛ける。今期2023年9月期の決算発表を受け、11/15には目を見張る上昇を見せた。今期の純利益見通しは前期比10.4%増の860億円。前期は同11.9%増の779億円で着地しており、会社計画の757億円を上振れている。11/15の上昇で6,380円まで上昇して年初来高値を更新。8月に6,110円をつけた後、9月後半には5,000円を割り込んでおり、6,000円どころは決して軽い水準ではなかったが、難なく高値を取ってきた。足元はさすがにその反動が出ているが、目先の過熱感からくるものであろう。米国の長期金利が上がりづらくなることは、住宅株にとってフォローの流れ。しっかり年初来高値を更新したことで、次は昨年11月につけた上場来高値の7,440円を目指す展開を予想する。ターゲットは6,800円、ロスカットは5,400円 | |
6571 | 1,700 | 1,315 | ヘアカット専門店を展開する。1Q決算は営業利益が前年同期比41.8%増の6.1億円と大幅増益となった。新型コロナ第7波のマイナス影響が想定よりも軽微であったとのこと。上期の会社計画8.4億円に対する進ちょく率は72.9%と高水準。通期見通し15億円に対する進ちょく率も40.8%と高く、先の計画上振れが濃厚だ。決算に対して株価も強く反応しており、11/15は5%を超える上昇。発表前は25日移動平均線近辺で一進一退となっていたが、同水準を明確に上回り、75日移動平均線や200日移動平均線も超えてきた。直近の安値が10月25日につけた1232円、年初来安値が5月につけた1228円で、ダブルボトムへの期待が高まる局面だ。ターゲットは1,700円、ロスカットは1,315円 | |
7581 | 3,290 | 2,680 | 低価格イタリアン「サイゼリヤ」を直営展開している。米国では利上げペース減速期待が高まったことで、長期金利が急低下。これを受けて、為替は円高(ドル安)に振れている。多くの外食企業にとって円安はネガティブな材料。特に同社はリーズナブルな価格で商品を提供しており、円安進行は利益を大きく圧縮する。その円安に対する警戒が後退することで、資金が入りやすくなるとみる。経済活動が再開したことで、今年9月以降の株価は強い動きが続いている。週足では13週・26週移動平均線が上向きに転じてきたことで、11月に入ってから上昇に勢いがついてきた。年末に向けて外食機会も増えると思われる中、円安一服を受けて一段高の展開を想定。2021年10月につけた高値3,225円を超えるのは時間の問題と考える。ターゲットは3,290円、ロスカットは2,680円 | |
8905 | 1,900 | 1,600 | イオンのショッピングセンターや商業施設OPAを開発・運営などを手掛けている。株価は9/28に1,560円まで下げた後、約1カ月半、横ばい圏での一進一退が続いた。その中で、1,600円より下での買い意欲の強さが確認できたことから、25日移動平均線が下落から横ばいに転じたタイミングで動きがよくなってきた。11/15に実体の長い陽線を形成すると、11/17も強い上昇となり、75日移動平均線も突破。週足でも、13週・26週・52週移動平均線と節目が集中した水準を3週連続陽線で上回った。米国はブラックフライデーから年末商戦に突入するが、国内でも事情は同じ。行動制限のない今年は盛り上がりが見込まれる。ターゲットは1,900円、ロスカットは1,600円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・11/25現在、東証プライム・グロース銘柄で時価総額が1兆円未満、PBRが7.0倍以下、PERが40.0倍以下、今期増収・増益予想(日経予想)、株価が75日・200日移動平均線を上回っている銘柄の中から、成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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