来週の株式見通し(2022/11/7〜11/11)
来週(2022/11/7〜11/11)の日経平均株価の予想レンジは26,900円-27,500円。米連邦公開市場委員会(FOMC)や米雇用統計の発表が通過した週となるが、米10月消費者物価指数の発表を控え神経質な展開が続きそうだ。指数ベースでは方向感は出づらく、戻り待ちの売りが上値を抑える公算が大きい。
主要企業の決算発表が続くことに加え、後半はグロース企業の決算発表が増加する。地合い次第という側面はあるが、米長期金利が高止まりする中でグロース銘柄への不安定さが助長される可能性がある点には留意したい。
一方、円安やアジア市場の動向が支えになるかどうか。香港ハンセン指数は下落基調が続くが、2008〜2009年の金融危機後に値固めをした水準まで売り込まれている。上海総合指数は4月安値まで調整が進んだ。自律反発が入りやすいタイミングに入っており、中国関連株の持ち直しが下支え要因になることが予想される。
米国市場はナスダックの相対的な弱さは気がかりだが、ダウ平均やS&P500の足元の調整は10月中旬からの上昇の反動として十分に解釈できる。押し目買いが入る可能性が高く、米10月消費者物価指数の発表や週末のオプションSQが通過した後は落ち着くのではないか。
11月後半には需給が幾分改善する。毎年とは言えないものの、11〜12月は海外投資家が日本株を買い越す傾向が強い。要因としては、11月下旬の感謝祭以降の年末商戦への期待や過去の株高の経験則などがあろう。また、2000年以降、11月の最終営業日を含む週の日経平均株価は極端に勝率が高い。11月末〜12月前半までは中間配当金の支払い時期にあたり、再投資への原資が増えることで需給面の支えが生じるためともいわれている。
FOMCでは、パウエルFRB議長は米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者会見で、利上げペースの減速と高めのターミナルレート(利上げの最終到達点)を示唆した。
今後は物価関連統計などを見極めながら、次回FOMCでの利上げ幅やターミナルレートを推測していくことになる。フェデラルファンド(FF)金利先物市場は、政策金利が2023年6月のFOMCで5.15%のピークを付けると見込んでいる。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、12月のFOMCでの0.50%利上げ確率は47.2%、0.75%利上げが52.8%となっている。
日経平均株価(図表1)は10/3安値(25,621円)から下値を順調に切り上げながら75日移動平均線(27,594円 11/2)上回る展開となった。一方、8/17高値(29,222円)を起点に9/13の戻り高値(28,659円)を通る右下がりの上値抵抗線が上値のフシとなる。上抜けることができれば、9/14の急落で開けたマド埋め(28,530円)が当面の上値の目安となる。
上値抵抗線からの急反落も想定すべき局面だが、25日移動平均線(26,941円 同)が上向きに転じており、その場合の下値サポート水準として意識される。
10月の月足ローソク足は2020年11月以来の実体(始値と終値のレンジ)の長い陽線を形成した。9月の下げ相場では、2012年秋口の安値を起点とした長期上昇トレンドラインまで下押す弱気一辺倒の値動きとなったが、10月はトレンドライン上から見事に陽線で切り返す格好となった。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2022/11/2)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、日銀金融政策決定会合の主な意見(10/27〜10/28開催分)、9月家計調査、9月景気動向指数 (11/8)、10月景気ウォッチャー調査(11/9)、10月都心オフィス空室率、10月工作機械受注(11/10)、オプションSQ、10月企業物価指数(11/11)がある。
企業決算では、NTTデータ、ユニチャーム、オリックス、エーザイ、味の素、島津製、ヤマハ発、ヤマトHD、スクエニHD、千葉銀、大林組、東センチュリー、太陽誘電、IIJ、昭電工、カルビー、ワークマン、アルフレッサHD、THK、SANKYO、デサント、帝人、レノバ、パイロット、DMG森精、東海カ、日触媒、住友ベ、FUJI、ニチアス、太陽HD、日立造、稲畑産、スターツ、マルハニチロ、リコーリース、ニチコン、KHネオケム、日管財、日東工、大阪ソーダ、フルサト・マルカ、日証金、JCU、図研、あらた、トーカイ、タムラ製、Uアローズ(11/7)、NTT、任天堂、ダイキン、三菱商、スズキ、INPEX、パンパシHD、住友鉱、東レ、三菱ケミG、出光興産、明治HD、ダイフク、SUMCO、飯田GHD、清水建、アズビル、しずおか、三井化学、ユー・エス・エス、王子HD、アコム、ハーモニック、名鉄、京阪HD、三菱ガス、参天薬、Gウイン、シップHD、デンカ、ハウス食G、DeNA、芙蓉リース、フジテック、丸一管、ピジョン、日化薬、伊藤米久、サワイGHD、GSユアサ、科研薬、住友倉、日鉄物産、古河電、ミズホリース、安藤ハザマ、アトム、ダスキン、グローリー、船総研HD、セイコーG、キッセイ薬、パーカライ、エレコム、タカラトミー、加賀電、アース製薬、武蔵精密、UACJ(11/8)、ホンダ、三井不、クボタ、ネクソン、キリンHD、日産自、シスメックス、旭化成、いすゞ、凸版印、ブラザー、NXHD、ホシザキ、空港ビル、東急不HD、エア・ウォーター、クラレ、ベネ・ワン、住友ゴム、カシオ、岩谷産、日光電、フジクラ、サッポロHD、カネカ、リゾートトラス、神戸鋼、平和、共立メンテ、第一興商、日製鋼、ベネッセHD、不二製油、Jマテリアル、TKC、クレハ、ニプロ、PHCHD、福山運、ダイワボHD、群馬銀、三井金、HUグループ、コロワイド、JTOWER、ヨネックス、産車体、ローランド、キョーリンHD、ライト工、住阪セメ、日清オイリオ、日本紙、能美防、サンゲツ、三谷セキ、コロプラ、芝浦機械(11/9)、東エレク、ブリヂストン、富士フイルム、テルモ、菱地所、バンダイナム、アサヒ、セコム、資生堂、大和ハウス、ENEOS、トレンド、日清食HD、三菱HCキャ、鹿島、マツダ、関西ペ、ニコン、ロート、日本新薬、博報堂DY、長谷工、日揮HD、大正薬HD、西武HD、東建物、川重、アマダ、ショーボンド、コムシスHD、コスモエネHD、リログループ、クレセゾン、コカコーラBJH、TBSHD、富士ソフト、応化工、三菱マ、ヤオコー、アンビス、太平洋セメ、西鉄、東芝テック、森永菓、五洋建、宝HD、石油資源、ニッパツ、森永乳、ペプチド、タカラバイオ、NOK、アイフル、ノエビアHD、日清紡HD、リンテック、アリアケ、JESHD、阪和興、テレ朝HD、セーレン、エンJPN(11/10)、ソフトバンクG、オリンパス、ゆうちょ、日本郵政、東芝、三住トラスト、住友不、サントリーBF、りそなHD、ヤクルト、ホトニクス、楽天G、近鉄GHD、日産化、大日印、かんぽ、コーセー、大成建、パーソルHD、アサヒインテック、コンコルディア、ゼンショーHD、ミツコシイセタン、ふくおか、丸井G、アシックス、京急、浜ゴム、すかいHD、住友重、上組、めぶきFG、あおぞら、DOWA、ラクス、インフロニアHD、アルバック、日電子、スズケン、ナカニシ、エクシオG、堀場製、戸田建、トリドールHD、セイノーHD、ADEKA、いよぎん、山口FG、ひろぎん、ミルボン、大王紙、ラウンドワン、九州FG、ちゅうぎ、Dガレージ、そーせい(11/11)が発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)(エジプト、〜11/18)(11/6)、中国10月貿易収支(11/7)、米国中間選挙(11/8)、中国10月消費者物価指数、中国10月生産者物価指数(11/9)、米10月消費者物価指数(11/10)、中国の大型通販セール「独身の日」、英7-9月期GDP、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数(11/11)などがある。
来週の注目銘柄!(11/7〜11/11)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1332 | 617 | 510 | 水産加工の大手、養殖事業なども手がける。11/2の取引時間中に2023年3月期上期(4-9月)決算を発表。通期の連結純利益予想を上方修正したことで、買いが集まった。上期営業利益は前年同期比4%減だったものの、コスト高の影響が大きいなかでも、2Q(7-9月)は1Q(4-6月)同等の実績(2Qは66.6億円、1Qは66.8億円)を確保。業績の底堅さが改めて意識されると考える。株価は7/26に608円の高値をつけ、その後は大きく売られる展開となっていた。しかし、上期決算発表をきっかけに大きく上昇したことで、25日移動平均線も大きく上抜けており、見直し買いが強まると予想する。ターゲットは617円、ロスカットは510円 | |
3086 | 1,400 | 1,100 | 大丸松坂屋百貨店が主力。10/11に発表された上期決算では、営業損益が132億円の黒字となり、前年同期の14億円の赤字から急改善した。通期の会社計画235億円に対しては、既に半分以上を達成。行動制限解除で人流が回復している環境下、上振れの公算は大きい。長期のチャートを見ると、2020年8月につけた600円をボトムに、右肩上がりのトレンドが継続中。百貨店株は10月前半に人気化した後、後半に売られたが、調整が軽微となっているものが多い。同社も13週移動平均線がサポートとなっており、直近の上昇で25日移動平均線上を回復した。昨年の高値は今年に入って既に超えており、次は2020年1月高値の1,612円を目指す展開を予想する。ターゲットは1,400円、ロスカットは1,100円 | |
4777 | 860 | 510 | PC・スマホ向けのオンラインゲームを運営している。2023年3月期1Q(4-6月)は営業黒字に転換。新作「フリフユニバース」のリリースにより、大幅な増収となったことが寄与した。同ゲームは今後、機能追加によりNFTゲーム/ブロックチェーンゲームとしてもサービスを提供する予定。メタバース関連の発表により、今後も物色機会は多いと考える。株価は前述の新作発表(22年5月)を機に上昇。190円台だった株価が6月に一時926円まで暴騰した。その後は下げても200円割れに戻ることはなく、三角保ち合いを形成。直近では25日移動平均線が上向き始めている。11/11には2Q決算発表を予定しており、業績のさらなる伸長に期待したい。ターゲットは860円、ロスカットは510円 | |
7995 | 2,880 | 2,530 | さまざまな産業向け配管などに使われるシール材の大手。10/26に発表した上期(4-9月)の連結営業利益は39.4億円(前年同期比46.2%増)。通期の見通しを据え置いているが、上期時点での対通期進ちょく率は61%と良好である。部材高騰がきつい2Qも順調なことから、通期上振れの公算は大きい。配当利回りも高く、下値が堅いと考える。2021年11月以降、株価はコロナ後の高値圏で推移。前述の決算を受けて10/27は安く始まったものの、結局は長い陽線で終えた。直後には200日移動平均線上に回復する場面があり、上値志向が強いことがうかがえる。2,700円台は戻り待ちの売りも控えるが、年初来高値更新に向けて下値を切り上げる展開が予想される。ターゲットは2,880円、ロスカットは2,530円 | |
8877 | 2,150 | 1,720 | 関西圏を中心にマンション販売を手掛ける。10/27に上期決算を発表。上期の経常利益は計画の16億円に対して、着地が22.4億円と大幅な上振れとなった。利益率の高い物件の引き渡しが前倒しになったことなどが寄与した。併せて株主還元強化も発表しており、年間配当予想は従来の40円から80円と倍増する見通しとなった。これらのリリースを受けて株価は3月につけた年初来高値を更新した。短期的な過熱感もあり高値もみ合いの日柄調整が予想されるが、一段高につながる可能性が高い。月足の一目均衡表では抵抗帯(雲)上に抜け出す格好となったため、好転による持続的な上昇が見込めそうだ。PERは5倍台、PBRは1倍を大きく割り込んでおり、年80円の配当なら配当利回りは4%を超える。強い動きが見られたことで商いの増加も期待でき、水準訂正の買いが株価を押し上げると予想する。ターゲットは2,150円、ロスカットは1,720円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・11/2現在、プライム・スタンダード銘柄で時価総額が5,000億円以下、PBRが0.5倍程度以上、今期増収予想 (日経予想)、株価が10日・25日移動平均線を上回っている銘柄の中から、成長性や話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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