来週の株式見通し(2022/9/12〜9/16)
今週(2022/9/12〜9/16)の日経平均株価の予想レンジは27,800円〜28,500円。東京株式市場は短期的な底打ち機運から投資家心理の改善が見込まれる。週前半は9月FOMC(連邦公開市場委員会)での0.75%利上げは織り込み済みとなる展開が予想され、先物主導で戻りを試す場面がありそうだ。
一方、外部環境に神経質な地合いは続きそうだ。翌週の9月FOMC(連邦公開市場委員会)を控え、週後半は主力大型株への買い戻しが一巡しやすい。為替市場でのボラタイルな値動きにも警戒が必要だ。
日米株価ともに8月高値からの調整幅が大きく、外部環境が落ち着けばリバウンド狙いでも十分な収益チャンスである。小型株への短期売買は続くことが予想され、決算発表が多少は増加することで個別株ベースの材料にも注目が向きやすい。経済指標では、米8月消費者物価指数や米8月小売売上高などへの米国市場の反応が注目されるほか、国内では8月工作機械受注に注目したい。前年の一時的な落ち込みからの増加率に機械株がポジティブに反応する可能性もある。
パウエルFRB議長はインフレが抑制されるまで金融引き締め政策を継続すると述べている。9月FOMC(9/20-21)に向けたブラックアウト期間に入ることで、9/13の米8月消費者物価指数に落ち着きがみられた場合、株価の反発基調を強めることが予想される。地区連銀経済報告では、物価の伸びの鈍化の兆候がみられると指摘されている。予想外のインフレ結果となった場合でも、改めてリスク回避の株売り圧力が強まる想定はやや単純すぎる気がする。
9月末に向けては年金などのリバランスや、中間期の権利取りを狙った買いも入りやすい。9月は短期トレンドの転換や同方向でも勢いが生じやすく、FOMC後の上昇に備え押し目買いのスタンスが有効だろう。
日経平均株価(図表1)は6月安値(25,520円)からの上昇で一時は年初来高値(29,388円)に迫る場面があったが、8月後半からは短期間で大幅な値幅調整を強いられた。だが、今週は75日移動平均線(27,430円 9/8)上で下げ渋り、窓開けをともなった高値引けの強い陽線で力強く急反発する動きとなった。
トレンド転換を判断する新値三本足が再び陽転。一時的な反発であるとしても、上値に勢いが生じないと調整が長引くタイミングであっただけに、9/8の上昇はポジティブな動きといえよう。
一目均衡表でも抵抗帯(雲)上の推移から上方向に持ち直していくシナリオに一歩近づいた。目先的には6/9高値28,389円や、8/29の急落によって開けた大きな窓埋め水準の28,608円処が上値の目安となる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2022/9/8)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、8月工作機械受注(9/12)、7-9月期法人企業景気予測調査、8月企業物価指数(9/13)、7月機械受注(9/14)、8月貿易収支、ゲーム見本市「東京ゲームショウ」開幕(幕張メッセ、〜9/18)(9/15)がある。
企業決算では、神戸物産、正栄食、シーアールイー、JMHD、巴工業、稲葉製作、スマレジ、アイ・ケイ・ケイ、学情、萩原工業(9/12)、三井ハイテ、エイチ・アイエス、ヤーマン、セルソース、J.S.B.、MacbeeP、グッドコムA、サーキュ、トーエル、Pアンチエイジ、シルバーライフ、モイ、ブラス、CINC、ザッパラス、はてな(9/13)、ビジョナル、ANYCOLOR、ラクスル、GA TECH、MSOL、ギフトHD、エニグモ、アクシージア、3Dマトリックス、Hamee、ネオジャパン、トウキョベース、アルデプロ、CAICA、AB&C、INTLOOP、ノバック、ダブルエー、Link−U、coly、クラシコム、クシム、アセンテック、プラネット、ビジョナリー、プロレド、カラダノート、クロスプラス、タンゴヤ、ジェネパ、クロスフォー(9/14)、アスクル(9/15)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、米10年国債入札(9/12)、米8月消費者物価指数、米30年国債入札(9/13)、米8月生産者物価指数(9/14)、英国金融政策発表、米9月ニューヨーク連銀景気指数、米8月小売売上高、米9月フィラデルフィア連銀景気指数、米8月鉱工業生産(9/15)、中国8月鉱工業生産、中国8月小売売上高、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数(9/16)などがある。
来週の注目銘柄!(9/12〜9/16)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3556 | 750 | 504 | リユース・リサイクル関連のサービスを手掛ける。直近でリサイクル市場の拡大期待を高めるニュースが出てきたことを材料に、足元で商いの増加を伴って動意づいている。同社も9月1日に、東京都江東区など5つの自治体で自治体公認の宅配便を活用した使用済みパソコンおよび小型家電の回収を開始することを発表しており、リサイクル関連として注目度が高まっている。株価は5月に387円でボトムを打った後は戻り基調。8月12日に発表された3Q決算では、営業利益は前年同期比14.3%減の3.6億円と減益着地ではあったが、上期時点の実績は1.7億円で、直近3カ月の業績は良い。週足チャートでは先週、久々に52週移動平均線を上に抜けてきた。当面、抵抗となりそうな水準は少なく、強い基調が続くと予想する。ターゲットは750円、ロスカットは504円 | |
4331 | 2,000 | 1,360 | ハウスウェディングに強みを持ち、全国に直営施設を展開している。コロナ禍の落ち込みから回復傾向となり、今期最終利益は30億円(前期比59.8%増)を見込む。他社を含めて都内の式場をみると土日のブライダルフェアは昨年から賑わっており、延期・中止となっていた挙式再開の流れが継続している。リオープニング関連の中でも、特に回復が大きい業界として注目したい。株価は8/5発表の1Qの大幅増益を受けて翌日急騰。株価が一時1,900円台に乗せた後は、感染第7波などの影響もあって売られたものの、足元では75日移動平均線前後で下げ止まる展開。9/7には東証プライム銘柄の7割が下げるなかで逆行高となり、5日・ 75日移動平均線をダブルでブレイクアップした。業績期待とともに再び上昇が強まると予想する。ターゲットは2,000円、ロスカットは1,360円 | |
6436 | 2,900 | 2,350 | 勤怠管理システム大手。今年4月までの株価は下げ基調が続いた。しかし、2023年3月期の業績見通しが好感されて4月後半に急伸後、下値を切り上げる動きが続いている。働き方の多様化を追い風に1Qの営業利益は前年同期比83%増となるなど、足元の業績は好調だ。8/19に年初来高値2,707円をつけた後は調整売りに押されている。しかし、上述した4月後半の急伸後のもみ合い中心レベルまで調整が進んだ。一目均衡表の抵抗帯(雲)上限まで調整したことも、押し目買いの判断を強める要因だろう。ターゲットは2,900円、ロスカットは2,350円 | |
6768 | 870 | 660 | バッテリー電圧を昇降圧させるリアクタの大手。環境車向けリアクタは自動車減産の影響を受けて1Qは計画未達。その後、9/6付けの日本経済新聞朝刊では大手の車載半導体の在庫がコロナ前水準に回復したと報じられており、2Q以降の挽回が期待できる。省エネEV半導体を量産することも伝わっており、自動車生産の回復傾向に伴って利益回復にも拍車がかかると考える。2021年後半からの株価下落は2022年5月に一服し、底打ち後は一転して堅調に上昇。ボリンジャーバンド+3σに接触すると+1σから20日移動平均線付近まで調整する傾向がみられ、直近も同様の展開となっている。8月2週目には13週移動平均線が26週移動平均線を上回るゴールデンクロスを形成しており、買い優勢の展開が続くと予想する。ターゲットは870円、ロスカットは660円 | |
9227 | 1,100 | 698 | 電子レンジに使われるマイクロ波を産業用に大型化するプラットフォーム技術を独自開発している。昭和電工や住友化学など化学大手との共同開発を複数行っており、そのオンリーワン技術に対する注目度が高い。同技術を使った場合の設備の小型化、CO2排出削減の効果は非常に大きいと試算され、将来的には国内で最もCO2を排出しているとされる製鉄も変革できる潜在能力を秘めている。6月に上場したばかりだが、株価は徐々に下値を切り上げる格好となり、公開価格605円を上回って推移している。8月終盤からの軟調な地合いのなかでも底堅く推移している。ターゲットは1,100円、ロスカットは698円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・9/7現在、東証プライム・グロース銘柄で時価総額が2,000億円以下、PBRが10.0倍以下、今期増収予想(日経予想)、株価が13週・26週移動平均線を上回っている(マイクロ波化学除く)中から、成長性や話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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