来週の株式見通し(2022/9/5〜9/9)
今週(2022/9/5〜9/9)の日経平均株価の予想レンジは27,400円〜27,900円。東京株式市場は底堅い展開が予想される。週初は先週末の米国株の下落を受けて様子見スタートが予想され、リ・オープニング(経済再開)関連や内需株の選別物色が中心か。8月度の国内ユニクロ既存店売上高が15%増となったファーストリテイリングによる指数への寄与度合いにも注目だ。
米国市場は9/5がレーバーデーで休場。連休明けの米国株が買いポジション再構築による反発がみられれば、日経平均株価は短期的な下げ過ぎの反動が意識され、先物主導で自律反発の場面が予想される。
注目された9/2の米8月雇用統計で失業率が悪化したことや平均賃金の伸びが予想を下回ったことで、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ見通しがやや後退した。米10年債利回りは前日の3.265%から3.195%に低下。CMEのフェド・ウォッチが示す9月FOMCでの0.75%の利上げ確率は前日の75%から56%に低下した。
一方、今週は9月限メジャーSQを週末に控え、OPECプラス会合(9/5)やECB定例理事会(9/8)が開催される。原油と長期金利を刺激する可能性が高く、警戒ムードが和らぐことはなさそうだ。ECB定例理事会では大幅利上げが決定されるとの見方が強い。ジャクソンホール会合でのパウエルFRB(連邦準備理事会)議長発言は株式市場を突き放した印象を与えたが、米国だけでなく欧州の金融引き締めも強く意識される可能性が高い。
日経平均株価(図表1)は6月安値(25,520円)からの上昇で一時は年初来高値(29,388円)に迫る場面があったが、8月後半からは大幅な値幅調整を強いられている。一方、7月後半から8月上旬にかけて形成したもみ合い下限レベルが下値で意識されている。
今週は200日移動平均線(27,493円 9/3)や75日移動平均線(27,379円 同)を下値サポートとして、再び上昇基調に転じることができるかが焦点となる。
RSI(9日)は26.4%(9/2)と30%を下回る底値圏。週前半はボトムアウトの可能性も高いが、25日移動平均線(28,274円 同)上への回復はハードルが高い。一時的にでも8/29の下げで形成したマド埋めを意識するような勢いが上値に生じないと調整が長引く公算が大きい。
ただ、米国株のように200日移動平均線を下回る状態でダラダラ下げている状況ではなく、相対的な日本株の底堅さは保たれそうだ。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2022/9/2)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、7月家計調査、7月毎月勤労統計調査(9/6)、7月景気動向指数(9/7)、4-6月期GDP確報値、8月都心オフィス空室率、8月景気ウォッチャー調査(9/8)、メジャーSQ(9/9)がある。
企業決算では、くら寿司、ファーマフーズ(9/6)、アイル、アイモバイル、モロゾフ、サトウ食品、トミタ電機(9/7)、積水ハウス、ステムリム、サムコ、スバル興、ミライアル、Bガレージ(9/8)、クミアイ化、日駐、シーイーシー、ハイレックス、ポールHD、丹青社、ソフトウェアサー、丸善CHI、オハラ、テンポスHD、gumi、鳥貴族HD、フリービット、エイチーム、トーホー、HEROZ、ケア21、エッジテクノ、ユークス、トビラシステム(9/9)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、OPECプラス会合(9/5)、米8月ISM非製造業指数(9/6)、中国8月貿易収支、米7月貿易収支、ベージュブック、米アップルによる新製品発表会(9/7)、ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)(9/8)、中国8月生産者物価指数、中国8月消費者物価指数(9/9)などがある。
来週の注目銘柄!(9/5〜9/9)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1514 | 320 | 222 | 豪州などからの輸入炭を主力としている。石炭に関しては、8/19付けの日本経済新聞朝刊が発電用石炭の大口契約価格について一部で決着したと報じた。豪州産の2022年4月〜2023年3月分の年間契約で、年間価格は1年前の約3倍超と過去最高値のもよう。直近では欧州市場の天然ガス価格も急騰しており、高インフレ長期化の懸念も強まっている。 上記のような未曽有の事態のなか、資源価格の上昇を受けて株価は今年8/8に上場来高値(288円)を付けた。いったん売られた後、足元は25日移動平均線を支えに上昇トレンドを維持している。今期の利益予想(EPSは42.2円)を踏まえると増配余地は十分にあり、今後も強い基調が続くと予想する。ターゲットは320円、ロスカットは222円 | |
3667 | 555 | 365 | スマートフォン向けゲームの開発を手がける。今年1月に割り当てられた第15回新株予約権は、6月に行使がすべて完了。年内は新たな資金調達もないと考えられ、この秋には人気のキャンプアニメ「ゆるキャン△」のスマホゲームをリリースする予定。9月に入ったことから、新作リリースへの期待とともに注目されやすくなるとみる。株価は6月後半から大きく買われ、上昇トレンドへ転換。7月中旬から大きく下げたものの、上向きの75日移動平均線を支えに大きく買い戻される展開。その後は8/17に512円の高値を付けてから調整したものの、足元では日足のボリンジャーバンド-1σで下げ止まっている。8/30にはストキャスティクスにおいて20%以下の水準で%Dが%SD上抜けたことから、再び買いが優勢になると予想する。ターゲットは555円、ロスカットは365円 | |
6962 | 1,200 | 855 | 電波の基となる基準信号を正確・安定に作る部品「水晶デバイス」の大手。2023年3月期1Q(4-6月)の連結営業利益は前年同月比43%増と好調。車載分野、産業分野の高度化に伴い水晶デバイスの需要が拡大傾向であり、スマホ向けの不振を補い業績伸長が期待できる。株価は7月半ばに底打ちし、その後はやや持ち直す展開。一方で、同業である日本電波工業の上昇が目立ち、同社株には出遅れ感がある。8/25には一目均衡表の抵抗帯(雲)を上抜けていた。相場全体の調整に影響を受けているが、早期に持ち直しが期待できそうだ。ここからのダメ押しでも押し目買いの好機とみている。ターゲットは1,200円、ロスカットは855円 | |
7013 | 4,170 | 3,360 | 国内3大重工の一角。資源・エネルギー・環境部門の売り上げ構成比が4割を占めるが、電力安定供給が急務となるなか、政府が原発再稼働を積極的に推進。また、NEDOの支援を受けながらアンモニア火力などにも注力している。次世代エネルギーの開発に関わる国策企業として注目度は高いと考える。株価は6/9に高値4,305円をつけたあとは売り優勢の展開。ただ、下げ続けることはなく、8月に入ってからは26週移動平均線を支えに底堅い推移となっていた。そのような状況下、8/24には報道で来年の原発7基再稼働方針や、首相が次世代原発の開発検討を指示と伝わり急動意。75日移動平均線上に急回復となり、日足のパラボリックも陽転した。規模感の大きい材料を手掛かりに、再び4,000円台をめざすと予想する。ターゲットは4,170円、ロスカットは3,360円 | |
7271 | 900 | 685 | 自動車向けのエンジン部品などを手掛ける。自動車減産などが影響し2023年3月期1Q(4-6月)の連結営業利益は5800万円(前年同期比70.8%減)と苦戦。そのような状況下、トヨタ自動車が8/31に日米での車載用電池生産に最大7,300億円を投じると発表。同社は2次電池向けの新開発にも取り組んでいる。昨年にはトヨタとFCV用セルの電極接合シート検査ユニットを開発したことも伝わっており、注力する成長領域への期待感が高まる。株価は2021年後半からの下落が続き、今年5月以降の安値はコロナショック時の安値682円を下回った。ただ、下げ続ける展開にはならず、8月後半には600円台後半でのもみ合いから上抜けている。8月終盤には5日移動平均線が25日・75日移動平均線をともに上回りゴールデンクロスを形成。9/2までの上昇で6/8につけた戻り高値782円更新が射程圏に入った。ターゲットは900円、ロスカットは685円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・9/2現在、東証プライム・スタンダード銘柄で時価総額が7,000億円以下、PBRが7.0倍以下、今期2ケタ増収予想(日経予想)、株価が13週移動平均線を上回っている中から、成長性や話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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