来週の株式見通し(2022/7/18〜7/22)
来週(2022/7/18〜7/22)の日経平均株価の予想レンジは26,500円〜27,000円。東京株式市場は立会日数が4日となり、全般的には方向感に乏しい展開が予想される。日本電産や東京製鉄など注目の決算発表が予定されているが、発表企業の数が少ない週でもあり個別ベースでは材料が減少する。
円安進行で自動車・ハイテク株に買い戻しが入りやすい環境ではあるが、行き過ぎた円安を懸念するムードも目先は台頭しそう。売買代金の減少も予想され、IBM、ネットフリックス、テスラなどの決算を消化する米国株の動向に敏感になりやすいタイミングか。米6月の消費者物価指数が前年比+9.1%まで上昇したことを受けて、翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、パウエルFRB議長が先日の議会証言での質疑応答で否定しなかった1.00%の追加利上げの可能性が高まっている。
プラス材料はアメリカのIT関連株が相対的に底堅くなってきたことだ。NY原油相場の調整でエネルギー株の下落が大きくなる一方、IT関連株が下げ渋りから反発基調に変わってくれば、日経平均採用のグロース株への好影響が予想される。原油相場の調整も日本企業には燃料価格の低下を通じて、収益の圧迫要因が薄まることになり、これもプラス要因となる。
また、昨年から日経平均株価が低迷している要因として、指数への寄与度が大きいファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクG(9984)、ファナック(6954)など大型グロース株の下落が影響してきたといえる。一方、最近では、最も影響度が大きい、ファーストリテイリングが相対的に早く底固めから上向き始めている。アメリカのIT関連株の動向も重要だが、今後、ソフトバンクGやファナックなどが発表する決算が評価され、上昇基調に変わっていけるかが、日経平均株価の再浮上のカギになるとみられる。
日経平均株価(図表1)のテクニカル面では、7/14に上向きに転じた10日移動平均線(26,389円 7/14)や25日移動平均線(26,480円 同)を上回った。
RSI(9日)は51.6%→65.4%(7/14)に上昇。50%超の強気水準で上昇が続いており、過熱ゾーンに向けて騰勢を強められるかどうか。順調であれば、7月最終週には25日移動平均線が横ばいか上向きに変わる可能性があるため、現在の株価水準を保ちたいところである。
短期的には25日移動平均線の上向き転換に加え、6/28高値(27,062円)を超えられるかが強気確認のポイントとなる。6/28高値を超えることができれば、200日移動平均線(27,653円 同)に向けて上値余地は拡大する公算が大きい。
一方、6/20安値(25,520円)を起点に7/1安値(25,841円)を通る下値支持線を下回ると、下振れリスクが一段と強まることが予想される。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2022/7/14)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、日銀金融政策決定会合(〜7/21)、6月首都圏マンション発売、6月訪日外国人客数(7/20)、黒田日銀総裁会見、日銀が経済・物価情勢の展望を公表、6月貿易収支(7/21)、6月全国消費者物価指数(7/22)がある。
国内企業の決算発表では、ブロンコB(7/19)、日電産、ニデックOKK、アルインコ(7/20)、中外薬、オービック、ディスコ、OBC、ナガセ(7/21)、東製鉄、ジャフコG、サーティワン、岩井コスモ(7/22)が予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、米6月住宅着工件数(7/19)、米6月中古住宅販売(7/20)、ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)、米7月フィラデルフィア連銀景気指数(7/21)などがある。
米企業決算では、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、IBM(7/18)、ネットフリックス、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ロッキード・マーチン、ハリバートン(7/19)、テスラ、ユナイテッド・エアラインズ(7/20)、トラベラーズ、フィリップ・モリス(7/21)、アメリカン・エキスプレス、ベライゾン・コミュニケーション(7/22)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄!(7/18〜7/22)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3189 | 560 | 350 | 若年層の女性向け衣料・雑貨を手がける。7/11に発表した2022年8月期3Q累計(9-5月)の営業損益は2.5億円の赤字(前年同期は4.9億円の赤字)だった。メタバースファッションやNFT(非代替性トークン)に関する情報発信に注力しており、その話題性からたびたび注目される。今期3Q(3-5月)からメタバース関連事業を開始しているが、費用先行と思いきや早々に収益化していることはかなりの好材料といえる。株価について3Q決算発表後の7/12は売りが先行したものの、その後は赤字縮小によるアク抜け感から徐々に買い戻される展開。特に、大商いとなった7/7の大陰線の高値(437円)を上抜けると上値は軽くなる。ターゲットは560円、ロスカットは350円 | |
3360 | 2,900 | 2,350 | 病院コンサル、医療機器販売、調剤薬局運営、老人ホーム運営など、医療周辺の事業を幅広く手がける。4月につけた年初来安値からの戻り歩調が続く。5/10に発表された本決算では、今期の利益見通しがほぼ横ばい。これを受けた翌日は大幅安スタートとなったものの、寄り付き安値で切り返し、ローソク足では実体の長い陽線を形成した。本決算確認後に株価が底打ち反転したような動きとなっており、その後の調整局面では25日移動平均線近辺では買いが入っている。7月に入ってからは200日移動平均線も上回ってきており、2021年11月の急落で形成したマド埋め2,918円処に向けて上値余地があるとみられる。ターゲットは2,900円、ロスカットは2,350円 | |
3903 | 900 | 560 | スマホアプリ開発を主力とする。最近ではさまざまな企業がVR(仮想現実)やブロックチェーンといった目新しい分野に参入すると発表しているが、同社のVR参入は2015年と早い。それらに注目した先駆けのような存在でもあり、最近のリリースはメタバース一色になっている。不透明な相場環境のなか、その話題性から注目が集まりやすいと考える。株価は6/30に719円の高値をつけたが、7月に入りもみ合い基調にある。だが、25日移動平均線が下値で意識されている様子であり、このまま当面は下値を切り上げる展開が予想される。6月以降は出来高も増え、先高期待を抱く投資家が多くなっている。ターゲットは900円、ロスカットは560円 | |
6432 | 2,950 | 2,240 | ミニショベル主体の建機中堅。直近、1Q決算発表時に通期の見通しを上方修正した。先行き不透明感が強い中で、景気に左右されやすいミニショベルを扱う同社が1Qから見通しを引き上げたことはポジティブサプライズである。1Qの営業利益は前年同期比27.4%増の53.6億円と着地も良好。上期の見通しも62億円→80億円に引き上げているが、1Qの結果を踏まえると保守的に映る。株価は決算好感によって、7/12に形成した大陰線を否定するようなマドを伴う陽線を形成。75日移動平均線上を維持しており、一段高に期待できる。ターゲットは2,950円、ロスカットは2,240円 | |
9602 | 5,700 | 4,900 | 阪急系、発祥は映画興行。邦画配給、興行収入で断トツ。同社は7/12、2023年2月期1Q(3-5月)の連結営業利益が142.7億円(前年同期は105.2億円)だったと発表した。市場コンセンサスは134.0億円。「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」「シン・ウルトラマン」などのヒット作品が業績に寄与した。経済再開によって映画館への客足が回復し、業績拡大局面を迎えている。「トップガン マーベリック」や「キングダム2 遥かなる大地へ」など期待作品が多い。株価は7/13に年初来高値を更新。昨年11月につけた昨年来高値5,690円が視野に入っている。ターゲットは5,700円、ロスカットは4,900円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・7/14現在、東証プライム・スタンダード銘柄で時価総額が1兆円未満、PBRが7.0倍以下、株価が25日・75日移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性を含め、総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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