来週の株式見通し(2022/7/11〜7/15)
来週(2022/7/11〜7/15)の日経平均株価の予想レンジは26,400円〜27,000円。東京株式市場は週明けの動向が注目される。米雇用統計の結果を受けた米国株や長期金利の動向、参議院選挙の結果、安川電機の決算内容に対する反応、SQ通過後の需給の変化、ETFによる分配金支払いのための換金売りが生じたあとの反動高の行方など、地合いの変化を期待する向きは少なくない。
国内企業の決算発表が増加することで、個別株への決算プレーが盛り上がる。米6月消費者物価指数やベージュブックほか、JPモルガンを皮切りに米主要企業の決算発表も始まることで、週後半は外部環境にも影響を受けやすい。
国内では新型コロナ感染者が人流の増加によって再び増加基調になっており、鉄道や空運、外食、娯楽レジャーなどリオープニング関連株の売りにつながっている。人流が増加すれば瞬間的に感染者が増えるのは当然のことではあるが、しばらくは感染者数の推移に一喜一憂する雰囲気になる可能性も高い。
ちなみに、昨年の同じ時期の日経平均株価は、前半堅調、後半軟調となった。週明け7/12は600円を超える大幅上昇。翌日も3桁の上昇となり、前の週に大きく下げた分を取り戻した。しかし、中盤以降は戻り売りに押された。米国株は高値圏での推移が続いたものの、3指数の方向性がそろわない日が多かったことから、先行き不透明感が強まった。木曜日には後場大きく値を崩すなど不安定な動きがみられ、金曜日には大幅安となり、一時28,000円を割り込んだ。週間ベースでは前半の貯金が大きく、プラスを達成した。
参議院選挙があった年の7月はパフォーマンスが良くない。2001年以降、7回(2001、2004、2007、2010、2013、2016、2019)実施された参議院選挙の投票日前後30日間の株価の平均推移をみたものが図表1である。投票日を通過しても右肩下がりが続いた。あくまでも過去の動きであって、今年に当てはまるかは不明ではあるが、7月下旬から始まる3月本決算企業の第1四半期の業績発表への評価がポイントになりそうだ。
図表1:参議院選挙と日経平均株価(2022/5/27-7/7)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は26,000円水準を下値で意識する一方、戻りも鈍い。25日移動平均線(26,772円 7/7)はも下向きで推移しており、短期的には日柄調整が必要な局面とみられる。
株価が安定するポイントは25日移動平均線や、6/28につけた戻り高値(27,062円)を上抜けることである。上抜けることができれば、200日移動平均線(27,751円 同)まで上値余地は拡大する公算が大きい。
一方、上述したように現時点では25日移動平均線は下向きで推移。株価も同線を下回っており、6月安値(25,520円)を下回ることによる、6/9高値(28,389円)からの二段下げリスクも意識される。
6/9高値を起点とした下落波動が上げ転換となるか、下げ加速となるかの正念場(もみ合い)が続いており、どちらかに強い初動が生じた際には短期的には同方向にトレンドが続くことが予想される。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2022/7/7)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、参議院選挙投開票(7/10)、5月機械受注、6月マネーストック、日銀支店長会議で黒田総裁があいさつ、地域経済報告(さくらレポート)、6月工作機械受注(7/11)、6月企業物価指数(7/12)がある。
国内企業の決算発表では、コスモス薬品、ローソン、クリエイトSDH、松竹、ローツェ、コーナン商事、技研製、タマホーム、リソー教育、コジマ、ライク、スタジオアリス、CSP、東京個別、トランザクション、進和、アレンザHD、キユソー流通、カネ美食品、ブックオフGH(7/11)、東宝、イズミ、ビックカメラ、竹内製作、AIT、柿安本店、エコス、イートアンドH、ライトオン、インタアクション、カネコ種、イージェイHD、三協立山、トライステージ、カンセキ(7/12)、ABCマート、ディップ、サカタのタネ、マネフォワード、吉野家HD、サイゼリヤ、コメダ、ベル24HD、JINSHD、S Foods、プレナス、ニッケ、コシダカHD、リテールPT、ウイングアーク、松屋、アイドマHD、TSIHD、チヨダ、ノダ、ラクトJPN、Enjin(7/13)、ファーストリテイ、クリレスHD、いちご、Sansan、不二越、IDOM、TKP、リンガハット、SFP、ダイト、三栄建築、古野電、UUUM、PRTIMES、メディアドゥ、バリュエンスH、MrMaxHD、オキサイド、モリト、佐鳥電機、ビーウィズ、セラク、ロコンド(7/14)、ベイカレント、ウエストHD、サムティ、日置電、パソナG、三益半、ドトル日レス、出前館、日本国土、ベクトル、バロック、北の達人、大庄、RPA、ウォンテッドリ、Gunosy、ビザスク、テラスカイ、串カツ田中(7/15)が予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、米10年国債入札(7/12)、中国6月貿易収支、米6月消費者物価指数、ベージュブック、米6月財政収支(7/13)、米6月生産者物価指数((7/14)、中国4-6月期GDP、中国6月鉱工業生産、中国6月小売売上高、中国6月固定資産投資、米7月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米6月小売売上高、米6月鉱工業生産、G20財務相・中央銀行総裁会議(〜6/16、インドネシア)(7/15)などがある。
米企業決算では、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー(7/14)、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ(7/15)
などが発表を予定している。
来週の注目銘柄!(7/11〜7/15)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3558 | 1,540 | 1,060 | 靴中心の通販サイトを運営している。今期は伊藤忠商事とのライセンス契約の影響なども踏まえて小幅増益の見通しだが、株価2,000円以下を目安として自社株買いを継続的に行う予定。経済活動の正常化も進んできており、小売りの夏物販売は堅調。外出自粛で低迷していた靴の需要も増えると見込まれる。 株価は3/8に安値890円を付けてから徐々に底値を切り上げる展開。6月終盤からは日足の一目均衡表の抵抗帯(雲)を上抜ける水準に上昇しており、長らく下向きだった75日移動平均線が上向きに転じつつある。自社株買いによる株価対策の期待も併せて上昇基調が強まるとみる。ターゲットは1,540円、ロスカットは1,060円 | |
3935 | 480 | 350 | 電子マンガサイト「コミックノヴァ」や小説サイトなど、多面的な電子メディアを展開している。前期2022年2月期に黒字転換。今期も22%の営業増益を見込んでいる。電子書籍関連はコロナ禍の特需の反動を受けたが、この夏は異例の猛暑で不要な外出控えが呼び掛けられている。再び在宅時間が増え、電子書籍ニーズも高まると考える。株価は2020年10月に752円の高値を付けてから下落が続いた。その後、2022年2月安値300円を付けてからは戻り始め、5月後半からは75日移動平均線も上向きに転じている。6/30には5日・25日移動平均線をともにブレイクアップした。今期2桁増益予想の割にはまだ評価が物足りない印象で、猛暑で消費者の在宅ニーズが強まるとともに物色が強まると予想する。ターゲットは480円、ロスカットは350円 | |
4936 | 1,350 | 830 | 高価格帯のスキンケア用品をメインとする化粧品メーカー。中国への売り上げが大半を占める。今期は上海ロックダウンの影響がありつつも、足元では期初計画を据え置き、前期比増益を見込む。現状は無配だが、今期7月末の権利分から株主優待を実施する予定だ。株価は2021年2月上場時の公開価格1,450円を下回って推移しているが、バリュエーション面で見ると予想PERは25倍台でPBRは3倍台。化粧品国内最大手の資生堂(PER49倍台、PBR4倍台)など、ほかの化粧品株と比べても割高感はない。5月後半からは出来高も増えてきており、ロックダウン明けによる来期の業績期待、優待狙いの買いが加速すると予想する。ターゲットは1,350円、ロスカットは830円 | |
6238 | 1,430 | 1,030 | 「プリクラ」機器の大手。クレーンゲーム景品やホビー通販、カラコンなどさまざまな事業を展開している。なかでもキャラクター版権の獲得と、その商品化を行う事業が急成長中。この7月には同社が製作に関わるアニメ「ゆるキャン△」の映画がヒットしており、ゲーム事業の伸長にも期待したい。今期ガイダンス発表の翌日5/13に株価は急落したが、その日の場中の安値(894円)が底となり急回復。25日移動平均線が上向くなど上昇トレンドに転じている。昨年12月高値1,434円と上述の安値894円から見た半値戻し(1,164円)をほぼ達成。全値戻し(1,434円)に向けて買い優勢の展開が続くと予想する。ターゲットは1,430円、ロスカットは1,030円 | |
7707 | 650 | 430 | 遺伝子解析、免疫測定など装置を手がけている。コロナ禍では全自動PCR検査装置の需要を背景に一時テンバガーを達成した。今期は前期の受注増加の反動で大幅な減益を見込むが、足元では再び感染者数が増加傾向。また、国内初とみられるサル痘対策の関連銘柄としても注目を集めている。株価は2月以降300円台〜400円台で底ばいとなっていたが、6/24に発表したサル痘ウイルスDNAのPCR検査キット発売を手掛かりに急上昇。長くは続かず買いも一巡したかと思いきや「第7波」への警戒から7/6には再び動意づく展開となっている。足元の信用倍率は1.62倍と需給面は悪くないうえに、25日移動平均線が75日移動平均線を上回るゴールデンクロスも形成。コロナ不安が再拡大するなかで物色が強まると予想する。ターゲットは650円、ロスカットは430円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・7/6現在、時価総額が500億円以下、PBRが5.0倍以下、株価が5日・10日・75日移動平均線をすべて上回っている中から、業績面や成長性、話題性を含め、総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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