来週の株式見通し(2022/5/30〜6/3)
来週(2022/5/30〜6/3)の日経平均株価の予想レンジは26,600円〜27,300円。月末・月初を迎え全般的には盛り上がりに欠けるほか、米中の経済指標が手控え要因となる。一方、米国株の下値固めも進展しており、底入れ期待が強まるかが27,000円超えのポイントとなる。決算発表が一巡し個別材料が少なくなる時期でもあり、手掛かりは証券会社による投資判断や会社側からのプレスリリースなどに頼ることになろう。
ドル円相場は1ドル=127円付近を意識してこう着感が強くなっており、円安・円高のどちらに振れるかで物色業種が変わる。月末・月初でリターン・リバーサルが予想され、月間べースで騰落率下位の「輸送用機器(自動車)」は円安方向なら出遅れ買いが意識されやすい一方、円高方向には同じく騰落率下位では「パルプ・紙」「食料品」「小売」などが物色対象になりやすい。
日経平均株価の過去6月相場を振り返ると、1997年〜2021年までの25年間における騰落状況は17勝8敗と勝ち越しである。2015年は年間の高値、2016年は英国のEU離脱の賛否を問う投票があり年間の安値を付けた。2019年は4月高値からの調整が一巡し、月前半から切り返した。2020年は新型コロナショック後の安値から急反発したのち、高値を付けたタイミングとなった。そういった意味では6月は基調に変化も生じやすい。
昨年はFOMC(連邦公開市場委員会)におけるタカ派色の強い内容はある程度織り込んでいたこともあり、相場を大きく動かす材料とはならなかったが、今年はインフレ圧力が強まる中でFOMC(6/14-15)が分岐点となる可能性は高い。
また、6月は3月期決算企業の配当金が支払われる特殊な時期でもある。ここ近年、配当金総額は大幅に増加しており、市場に配当再投資を通じてプラス効果らしい動きもみられる。すべてが再投資にまわるわけではないが、地合いが極端に悪化する状況でなければ相場の下支え要因となる。
日経平均株価(図表1)は5/12安値(25,688円)からの反発基調が続いている。一方、3/25高値(28,338円)を起点とした短期右肩下がりの抵抗線を明確に上抜け切れない。25日移動平均線(26,687円 5/26)や75日移動平均線(26,811円 同)、上記の抵抗線などが同水準に集中しており、上抜けることができれば上方向にそれなりの勢いが生じる可能性が高い。一方、25日移動平均線が再び下向きに変わってきており、5/12安値に向けて再び押し目を探る想定も必要である。
短期的な上値メドとしては、昨年9/14高値(30,795円)を起点に11/16高値(29,960円)を通る右肩下がりの上値抵抗線、200日移動平均線(27,949円 同)など。下値メドは、5/19安値(26,150円)、5/12安値(25,688円)、3/15高値(25,441円)や25,000円付近、3/9安値(24,681円)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2022/5/26)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、4月失業率、4月有効求人倍率、4月鉱工業生産、5月住宅着工統計(5/31)、1-3月期法人企業統計、5月新車販売台数(6/1)がある。
国内企業の決算発表では、トリケミカル、菱洋エレク、ACCESS(5/31)、伊藤園、内田洋(6/1)、泉州電、アルチザ(6/2)などが予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、EU首脳会談(〜5/31)(5/30)、中国5月製造業PMI、米3月FHFA住宅価格指数、米3月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米5月消費者信頼感指数(5/31)、中国5月財新製造業PMI、ユーロ圏4月失業率、5月ISM製造業景気指数、ベージュブック(6/1)、米5月ADP全米雇用リポート、米4月製造業受注(6/2)、米5月雇用統計、米5月ISM非製造業指数(6/3)などがある。
なお、5/30の米国市場は戦没者追悼記念日のため休場、6/3の中国・香港市場は端午節のため休場となる。
来週の注目銘柄!(5/30〜6/3)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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4324 | 4,900 | 3,780 | 直近で個別要因を材料に崩れた銘柄の逆張り戦略に妙味があると考える。同社は1Q決算発表を受けて、5/17に大幅下落。ただ、着地は営業利益が前年同期比41%増の407億円。通期計画1,524億円に対する進捗率も26.7%と悪くはない。サプライズに乏しく決算反応が弱気なること自体に意外感はないが、中身が嫌われて売られ続けるような内容ではなかったと判断している。週足チャートでは上向き基調にある52週移動平均線を割り込んでいるが、昨年12月以降では同線を割り込むと押し目買いで切り返す動きが続いている。ターゲットは4,900円、ロスカットは3,780円 | |
6035 | 6,300 | 3,600 | 企業のIRに特化したコンサル業務を手がける。2022年3月期は2桁の営業減益となったが、3月に下方修正した数値とほぼ近い着地となった。大型案件などが当期中に実現しなかった影響が大きく、需要が減退したわけではない。昨今では敵対的TOBやMBOなどが多くなっており、活躍フィールドは拡大傾向にある。なお、2023年3月期の見通しは非開示である。本決算を受けた5/16の株価は上昇。3/15安値3,350円を下回ることなく推移し、下値を切り上げる動きが続いている。25日・75日移動平均線を上方ブレークしており、底打ち感が台頭している。ターゲットは6,300円、ロスカットは3,600円 | |
6501 | 7,450 | 6,150 | 2023年3月期の通期連結純利益予想(IFRS)は6,000億円(前期比2.8%増)を見込む。日立物流株式の売却を予定しており、事業再編等利益約1,400億円の計上を見込んでいる。 本決算発表時に自己株取得に関するアナウンスもあったことが好感され、5/2の株価は大幅上昇。微調整を経て、再び高値更新の動きがみられる。一目均衡表では「三役好転」の強気局面にあり、1/14高値7,037円や昨年11月高値7,460円が当面の上値のフシとなる。近年の事業ポートフォリオ再編により、成長期待が持続する公算が大きい。ターゲットは7,450円、ロスカットは6,150円 | |
7012 | 3,150 | 2,240 | 総合重機大手。航空機部品や鉄道車両のほか、自衛隊の潜水艦なども手がける。5/10に発表した今期の純利益予想がコンセンサスを下回ったこともあり、株価は一時売られる展開となったが、すぐに持ち直し上昇基調を継続している。今期は航空機向けの採算改善などが見込まれるほか、5/23の日米首脳会見では防衛費を大幅に増額するとの意向が伝わっており、事業環境のさらなる改善が見込める。期初の慎重な見通しを上回る業績に期待したい。 株価は週足の一目均衡表の雲を上抜け、13週移動平均線が52週移動平均線を上回るゴールデンクロス示現が目前となっている。26週移動平均線も上向いてきており、強い買い基調が続くと予想する。ターゲットは3,150円、ロスカットは2,240円 | |
9424 | 250 | 180 | 仮想移動体通信事業者(MVNO)の先駆け。今期の業績予想は未定としているが、このごろは楽天モバイルが0円プラン廃止を発表したことで顧客の大移動が起きている。同社は携帯通信(SIM)事業の契約回線増加により、前期営業利益が2.8億円の黒字(前の期は2.5億円の赤字)と大きく改善しており、格安プランの需要から今期も契約数の堅調な増加が期待できる。株価は決算発表(5/10)を境に反発し、4/4高値218円に迫る水準にまで回復。4/19は日足の一目均衡表における抵抗帯(雲)を上抜けた。昨年11月の高値圏(280円台)に向けて買いが継続すると予想する。ターゲットは250円、ロスカットは180円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・5/25現在、東証プライム銘柄、時価総額が300億円以上、信用倍率が7.0倍以下(5/20現在)の中から、テクニカル面や業績面、成長性や話題性を含め、総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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