来週の株式見通し(2022/4/11〜4/15)
来週(2022/4/11〜4/15)の日経平均株価の予想レンジは26,600円〜27,600円。東京株式市場は方向感が定まらない指数を横目に、個別色の強い展開か。
海運株に加え、商社株などのバリュー株の一角が調整色を強める一方、グロース株への押し目買いも選別物色にとどまっている。米国市場のナスダックの相対的な強さで小型グロース株が底固めを経て大幅高となる日がやや多くはなっているものの、ブレイナードFRB(連邦準備制度理事会)理事の金融引き締め発言が米長期金利の上昇を促し、グロース株への警戒感が再び強くなっている。中国景気の減速も同時に警戒要因となっており、外需セクターも決算発表を月後半に控え買いづらい。安川電機が4/8に発表する決算で受注動向が減速感を示すものであれば、設備投資関連中心に他の銘柄にも売りが波及する展開が予想される。
来週は小売や外食を中心に決算発表が比較的多くなる週でもあり、決算プレーが主体の相場展開が予想される。週後半にはJPモルガンなど米大手金融機関を皮切りにスタートする。米長期金利が再び上昇しており、メガバンク株の連動性に対する注目度が高くなる。
今週公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、ウクライナ情勢の不確実性から0.5%の利上げを踏み止まった。5月のFOMC での0.50%の利上げ見通しは強いが、ウクライナ情勢次第であろう。また、大規模な保有資産を月額950億ドルの規模で縮小することが示唆され、1年間では1兆1,400億ドルとなる。前回の2017-2019年のバランスシート縮小は7,000億ドル程度であり、それも償還元本の再投資停止により講じられた。今回は、市場が初めて経験する資産の大規模売却となるため、金利上昇に対する警戒感が高まりつつある。
日経平均株価(図表1)は連日でマドを開ける弱い動きとなり、上から押さえ込むような陰線が連続する格好となった。RSI(9日)は27.6%→20.2%(4/7)に低下し、徐々に沈静化に向かっている。
今回の高値からの調整も1月の戻り高値同様、昨年9/14高値(30795円)を起点に11/16高値(29960円)を通る右肩下がりの上値抵抗線から押し戻される展開となった。下降相場を象徴する強い下向きのトレンドラインでもあり、跳ね返されたあとの調整幅は比較的大きくなっても違和感はない。まずは、25日移動平均線(26761円 4/7)付近まで調整したことで、いったんの反発を期待したいところだ。
上値メドは、10日移動平均線(27762円 同)、3/25高値28338円、1/18高値28690円、29000円〜1/5高値29388円など。下値メドは、25日移動平均線、一目均衡表の基準線(26510円 同)、3/16高値25824円付近などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/1/4-2022/4/7)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、3月工作機械受注、地域経済報告(さくらレポート)(4/11)、3月企業物価指数(4/12)、2月機械受注(4/13)がある。
国内企業の決算発表では、コスモス薬品、ローソン、高島屋、ローツェ、ライフコーポ、Sansan、コーナン商事、技研製、タマホーム、アークランド、コジマ、ライク、北興化、進和、トランザクショ、カネ美食品、インタアクション(4/11)、東宝、Jフロント、イズミ、ビックカメラ、竹内製作、ニッケ、パルGHD、ハローズ、ケーヨー、スタジオアリス、CSP、東京個別、アレンザHD、エコス、ライトオン、イートアンドH、ボードルア、ヤマザワ、シグマ光機、MORESCO、エヌピーシー、トライステージ、WACUL、シイエヌエス(4/12)、ABCマート、マネフォワード、吉野家HD、サイゼリヤ、コメダ、アダストリア、プレナス、大黒天、リテールPT、コシダカHD、歌舞伎、アイドマHD、ウイングアーク、PRTIMES、AIT、TSIHD、チヨダ、オキサイド、モリト、プラズマ、ピックルス、ラクトJPN、イージェイHD、セラク、ビーウィズ、アステナHD、明光ネット、カンセキ、前沢工、オオバ、フロイント、トレファク、チームスピリト、インタファクトリ、エルテス、エムビーエス、スタジオアタオ、SERIOHD、ワンプラ(4/13)、ファーストリテイ、ベイカレント、良品計画、ウエストHD、ディップ、松竹、クリレスHD、アークス、ベルク、S Foods、パソナG、IDOM、ドトル日レス、リンガハット、ベクトル、TKP、日本国土、松屋、ダイト、ヨンドシーHD、メディアドゥ、SFP、三栄建築、古野電、ビザスク、北の達人、わらべや、バロック、MrMaxHD、Enjin、UUUM、大庄、RPA、グッドパチ、Gunosy、霞ヶ関キャ、サーバーワクス、テラスカイ、バリュエンスH、串カツ田中、ココナラ、佐鳥電機、アオキスーパー、アスタリスク、ウォンテッドリ、ティアンドエス、住江織、ヨシムラフード、サイエンスアーツ、ユーピーアール、ロコンド、シンメンテHD、サインポスト、タキヒヨー、天満屋ス、AFC−HD、Bエンジニア、メタリアル、Jフロンティア(4/14)、日置電(4/15)などが予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、中国3月消費者物価指数、中国3月生産者物価指数(4/11)、独4月ZEW景況感指数、米3月消費者物価指数、米2月財政収支、米10年国債入札(4/12)、中国3月貿易収支、米3月生産者物価指数(4/13)、ECB定例理事会(ラガルド総裁記者会見)、米3月小売売上高(4/14)、米4月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米3月鉱工業生産、米2月対米証券投資(4/15)などがある。
米企業の決算では、JPモルガン・チェース、デルタ航空(4/13)、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、ユナイテッドヘルス・グループ(4/14)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄!(4/11〜4/15)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2150 | 1,370 | 740 | 医療情報プラットフォーム「CareNet.com」を軸に医療従事者向けのサービスを展開している。グロース色の強い銘柄でもあり、昨年6月に2,515円の高値をつけた後は下落基調が続いている。ただ、2月を月間ではほぼ横ばいで終えると、3月は月間上昇を達成し、下げ止まり感が出てきている。75日移動平均線などを上抜けてきており、底固め完了で上昇基調に入った可能性が高い。昨年11月の日本経済新聞朝刊の特集記事「NEXT1000」において、売上高100億円以下の上場企業を対象に、直近1年の平均給与の増加率を調べた中で1位になったと報じられたこともある。医薬DX(デジタルトランスフォーメーション)の中核銘柄として注目したい。ターゲットは1,370円、ロスカットは740円 | |
3681 | 1,450 | 840 | Web会議などコミュニケーションサービスの提供を手掛ける。2021年12月期は製薬業界における小規模イベント配信が3Q(7-9月)以降に急減し、この傾向が4Q(10-12月)も顕著に続いた。エンタープライズDX事業における大型案件が翌期以降に納期ずれしたことや、Zoomなどの再販商品比率の増加なども響いた。2022年12月期第1Qの決算発表は4/28を予定している。株価は2/21安値(720円)を起点に戻り歩調を強め、一目均衡表では「三役好転」の強気局面入り。直近高値からの調整局面は押し目買い姿勢で臨みたい。ターゲットは1,450円、ロスカットは840円 | |
4480 | 3,700 | 2,450 | ヘルスケア領域向け成果報酬型人材紹介が主力。オンライン診療システムと電子カルテなども手掛ける。株価は2020年高値7,370円を起点に調整が長期間続いたが、ようやく底入れの兆しがでてきたようだ。3/15安値1,726円は2/24安値1,778円を一時下回ったものの、順調に下値を切り上げており200日移動平均線が目前に迫っている。2020年からの調整が長かっただけに上値余地も大きい可能性があり、トレンドフォローのスタンスを継続したい。まずは、2021年3月、5月、8月と同レベルの安値水準となった3,600円〜3,800円処が上値のフシとなる。ターゲットは3,700円、ロスカットは2,450円 | |
6521 | 6,650 | 5,080 | 単結晶、レーザーなど光製品のニッチ企業。半導体検査装置、がん診断PET装置向けが主力。2022年2月期3Q累計(3-11月)の営業利益は5.0億円(前年同期比4.5倍)で着地。通期計画に対する進ちょく率は89.4%である。半導体事業は受注状況が順調であったもののレーザ装置の調達部品の一部で納期が延伸したことで見込みをやや下回った。ヘルスケア事業はPET装置向けのシンチレータ単結晶が前年度後半の水準を維持した。4/13に決算発表を予定している。株価は3/23にダブルボトムが完成。その後も上値伸ばし、一目均衡表では雲を上回る場面があった。2月安値(3,990円)を切り上げる動きが続く可能性が高く、短期的な調整局面では押し目買いが有効だろう。ターゲットは6,650円、ロスカットは5,080円 | |
8923 | 1,500 | 1,140 | マンション開発から出発し、不動産流動化を手掛ける。同社は2/5、2022年11月期1Q(12-2月)の連結純利益(IFRS)が36.3億円(前年同期比17.7%増)だったと発表した。通期計画に対する進ちょく率は45.6%。不動産ファンド・コンサルティング事業でアセットマネジメント受託資産残高を伸長させた。また、物件販売ならびに将来の収益の源泉となる収益不動産や各種開発用地の取得を進めたことも寄与したようだ。株価は3月中旬から強いモメンタム相場が続く。短期的には過熱感もあるが、2021年9月高値1,258円を上回ってきており、次の主要な上値のフシは2020年1月高値1,572円までない。ターゲットは1,500円、ロスカットは1,140円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・4/6現在、時価総額が1,000億円以下、PBRが7.0倍以下、株価が10日・25日・75日移動平均線を上回っている、今期増収・営業増益予想(日経予想)の中から、成長性や話題性を含め、総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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