来週の株式見通し(2021/6/21〜6/25)
来週(2021/6/21〜6/25)の日経平均株価の予想レンジは28,400円〜29,200円。東京株式市場は為替市場や海外株など外部環境に神経質な展開が予想される。米主要指数は方向感や強弱のバロメータにはなるだろうが、朝方に織り込んだあとは物色は日替わり。経済再生関連、景気敏感株、半導体関連などのハイテク株、トヨタ自動車を核とした自動車関連株、あとは出遅れ感が強い保険・銀行株など、各々その日のモメンタムの強さが短期資金を引き付ける構図が続くだろう。
今週開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)で想定よりタカ派だった金利見通しを受け、当面のドル円相場は一段と円安バイアスが強くなった可能性が高い。3月末に付けた年初来高値110.96円や2020年3月以来の111円台が視野に入る。そういった意味でも、目先の物色は保険や銀行、自動車関連にやや分がありそうだ。
一方、上海総合指数が上値を追いきれずに失速気味である。香港ハンセン指数や台湾加権指数などにも弱さが波及するタイミングとも考えられ、取引時間が重なる日本株にとってのリスク要因となる。
ちなみに1年前の同じ週は、新型コロナウイルスの感染者数増加への警戒がくすぶる中、米国株や米株先物、為替動向などに神経質になった。ただ、地合いの良さを背景に大きく下げる局面では買いも入り、下値の堅さも印象付けられた。大型株に手掛けづらさが出てくる中、久々のIPO(新規上場)が活況となり、新規上場銘柄の初値は大きく押し上げられた。週を通して方向感は定まらなかったものの、週後半には米金融株高を好感した買いが入り、日経平均は週間では約33円の小幅なプラスとなった。
来週の新規上場はREIT(不動産投資信託)を除いて12社と昨年をはるかに上回る数が予定されており、市場全体の流れは昨年とほぼ同じ展開と考えても、概ね的を外すことはないだろう。
日経平均をTOPIX(東証株価指数)で割ったNT倍率が直近ピークから低下基調にあり、TOPIXが相対的に優位の局面にある(図表1)。だが、長期トレンドを示す52週線をサポートに反発する場合、短期的には日経平均株価が優位な局面に移行することになる。
ソフトバンクG(9984)やファーストリテイリング(9983)は相変わらず弱いものの、グロース指数をバリュー指数で割った相対指数でみれば、標準偏差バンドの下限(マイナス2シグマ)から当面は上昇に転じることが想定され、グロース株のリバウンド狙いの戦略も有効とみられる。グロース株といっても選別が必要な局面ではあるが、次の決算発表を迎える8月頃までは、精密や電気機器などハイテク株に資金が向かいやすい。素材系のバリュー株である鉄鋼や非鉄などの景気敏感株はしばらく調整局面が続くことが見込まれる。
図表1:NT倍率とグロース/バリュー指数の推移(2015/1/5-2021/6/14)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は75日移動平均線(29,105円 6/17)を上回るなど、レンジをやや上方修正する動きがみられる。25日移動平均線(28,732円 同)の上昇が強くなるタイミングでもあり、戻り歩調が続くかが注目される。
RSI(9日)は53.0%(6/17)と強弱の分岐となる50%を上回っている。過熱感があるレベルではなく、5/10の戻り高値(29,685円)と同時に、2月高値を起点とした上値抵抗線を明確に上抜けられるかが強気転換のポイントとなる。
一方、年初来高値を付けた2月以降、29,000円以上500円ごとに累積で60兆円程度の売買代金をこなしてきた価格帯に差し掛かっている。戻り待ちの売りが強く、上昇の持続力が長い価格帯とは言い難い。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2020/9/1-2021/6/17)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、日銀金融政策決定会合議事要旨(4/26〜27開催分)(6/23)、6月都区部消費者物価指数(6/25)がある。
企業決算では、アークランド(6/21)、ツルハHD(6/22)、コーセル(6/23)、高島屋、出前館、壱番屋、オークワ、瑞光、ジャステック(6/25)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表では、米5月中古住宅販売(6/22)、米1-3月期経常収支、米5月新築住宅販売(6/23)、独6月Ifo景況感指数、英国金融政策発表、米1-3月期GDP確報値、米5月耐久財受注(6/24)、米5月個人所得・個人消費支出(6/25)などがある。
来週の注目銘柄!(6/21〜6/25)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
4641 | 2,600 | 1,800 | 正社員技術者の派遣大手。同社の1Q(1-3月)の連結売上高は93億円(前年同期比4.1%増)となり、営業利益は10億円(同8.7%減)となった。主力のアウトソーシングサービス事業で、新型コロナウイルス感染症の影響により、契約単価、稼働工数が減少した。株価は4月以降軟調な値動きが続いていたものの、6月に入って下げ止まりの展開を見せている。バリュエーションも、今期予想PER13倍台と割高感が薄いことから、今後も買いは向かいやすいとみる。ターゲットは2,600円、ロスカットは1,800円 | |
4819 | 6,200 | 4,300 | 決済、広告、ベンチャー投資などネットビジネス周辺で多角化。同社の2021年3月期の連結収益は405億円(前期比9.6%増)、当期利益は95億円(同29.8%増)と堅調な着地となった。インキュベーションテクノロジー事業での国内IPO3社達成などを背景に収益が押し上げられた。加えて直近では国内大手証券が目標株価を引き上げており、株価は5月下旬以降強い動きが続いている。13週移動平均線のサポートも好感されやすく、今後も資金は向かいやすいとみる。ターゲットは6,200円、ロスカットは4,300円 | |
6200 | 2,700 | 1,900 | 企業等の人事部向けに講師派遣型研修、公開講座を運営。株価は昨年4月以降堅調な値動きを見せてきたものの、今年5月以降上昇幅を吐き出す展開が続いている。ただ、26週移動平均線を下抜けた辺りで買い戻しも強まってきている。おまけに足元では研修管理システム関連商材におけるワクチン接種業務機能の緊急提供も材料視されており、今後も下値を拾う動きが活発化すると考える。ターゲットは2,700円、ロスカットは1,900円 | |
7309 | 32,000 | 22,000 | 変速機、ブレーキ部品などの自転車部品で世界首位。同社の1Q(1-3月)の連結営業利益は326億円(前年同期比2.6倍)と大幅に伸びた。自転車部品事業において、新型コロナウイルス感染再拡大の状況下で、世界的な自転車に対する需要が引き続き高い水準で推移した。株価は5月以降26週移動平均線と52週移動平均線の間でもみ合いで推移しているが、目先の良好な事業環境やもともとの高ROE体質などもあって、もみ合いをブレークした後、当面は上値を試す展開が続くと考える。ターゲットは32,000円、ロスカットは22,000円 | |
8697 | 3,400 | 2,400 | 2021年3月期の連結営業収益は1,333億円(前期比7.8%増)、営業利益は746億円(同8.8%増)と堅実な伸びを見せた。現物取引における関連収益が大きく伸び、収益を押し上げた。加えて、足元では上限200億円規模の自社株買いも材料視されているほか、株価も26週移動平均線上で底堅さを見せており、買い安心感を背景に投資家の買いを呼び込みやすいと考える。ターゲットは3,400円、ロスカットは2,400円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で6/17現在、時価総額が300億円以上、PBRが3.0倍以上、PERが13.0倍以上、株価が5日移動平均線を上回っている、200日移動平均線が横ばいか上向きにある中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。