来週の株式見通し(2020/12/14〜12/18)
来週(2020/12/14〜12/18)の東京株式市場はFOMC(連邦公開市場委員会)などのイベントを通じて、12月の分岐点となる週になりそうだ。日経平均株価の予想レンジは26,700円-27,400円。
突発的な悪材料がなく良好な需給が保たれれば、新型コロナワクチンの実用化や日米の景気対策期待などが下支え要因となる環境は続く。高値もみ合いから27,000円を上回ると、売り方のショートカバーが上昇を勢い付かせる可能性が高く、FOMCに対するサプライズ反応にも注目したいところだ。
物色面では半導体関連などに高値警戒が強い一方、EV(電気自動車)関連が代替的な資金流入先となっている。自動車生産(EVシフト)は経済波及効果が大きく、幅広い業種に関連するだけにテーマとしての持続性に期待できそう。
海外投資家は12月第1週に現先合算ベースで日本株を5週ぶりに売り越した(図表1)。今週の株価推移からも買いを入れてない可能性が高く、FOMC後もクリスマス休暇で売買を見送る公算が大きい。そういった中、来週は新規公開株(IPO)が複数予定されており、個人投資家の動向がカギを握る。マザーズ指数は11月安値時にサポートになった75日移動平均線を下回っている。このまま11/2安値(1155.42P)を下回るとセンチメント悪化に繋がりかねないため、新興市場への見直し買いにつながる結果になるかが注目ポイントとなる。
昨年12月のSQ明けは主力株は米国株の堅調さに連動することができず、週後半にかけて手じまいムードが一段と強まった。一方、IPOしたばかりの銘柄が連日で全市場の売買代金ランキング上位に顔を出すなど、かなり派手な動きを見せ、マザーズ指数の年末高に好影響を与えた。
国内の経済指標の発表では、12月日銀短観(12/14)に注目。海外では、中国11月鉱工業生産、中国11月小売売上高、米12月ニューヨーク連銀景気指数(12/15)、米11月小売売上高(12/16)、米12月フィラデルフィア連銀景気指数(12/17)、独12月Ifo景況感指数(12/18)などに注目である。
企業決算では、神戸物産、ツルハHD、パーク24、アスクルなどが発表を予定している。
図表1:投資主体別売買動向(2020年10月第1週-12月第1週)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は高値更新基調が続いている。12/9には終値ベースの年初来高値を更新。高揚感は今一つではあるが、物色対象に広がりが出てきている点はポジティブな要素となる。12/9に形成した切り返しの強い中陽線にて、5日移動平均線(26,667円 12/10)や10日移動平均線(26,681円 同)上を早期に回復しており、トレンドフォローのスタンスに変化はない。
RSI(9日)は54.1%(12/10)と強弱の分岐点となる50%を割り込まず踏みとどまっており、再び過熱ゾーンに向けて騰勢を強められるかが焦点となる。TOPIXが年初来高値更新に追随できるかも注目点となる。
200日移動平均線(22,285円 同)からの上方かい離は12/10現在で20%に達しているが、バブル崩壊以降の反発局面では20%を超えたことも珍しくなく、それ相応の動きも期待できる。急騰前まで形成してきた6月以降のもみ合い期間(時間)なども考えると、短命に終わることはないだろう。25日移動平均線(25,962円 同)とのかい離も縮小してきており、年後半に向けて一段高となる「掉尾の一振」に期待したいところだ。
一方、2015年6月高値を起点として、2018年の2度の高値を通る右肩上がりの上値傾向線で止まっている状況でもある。つまり、長期的なフシにも達しており、早々に調整入りでも不思議ではない。
短期上値メドで重要なのは、1991年3月高値27,146円付近、1/20高値から3/19安値までの下落幅7,531円に対する1.5倍返しの上げとみた27,848円〜28,000円処などが挙げられる。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2019/12/2-2020/12/10)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、12月日銀短観(12/14)、11月貿易収支(12/16)、日銀金融政策決定会合(〜12/18)、黒田日銀総裁会見、11月全国消費者物価指数(12/18)がある。
企業決算では、神戸物産、クミアイ化、正栄食、セルソース、Pアンチエイジ、ネオジャパン、J.S.B.、Hamee、MSOL、Link−U、巴工業、アイ・ケイ・ケイ、ファースト住、システムディ、MacbeeP、ファーストロジ、バルニバーヒ、きんえい、トルク、ツクルバ、山岡家、シャノン、VALUENEX、ウイルコHD、バリュゴルフ、ナイガイ、ベルグアース、プリントネット、ブラス、総合商研、新都HD、日本テレホン(12/14)、ツルハHD、パーク24、アスクル、GA TECH、エニグモ、プロレド、ブシロード、オハラ、ギフト、アルデプロ、銚子丸、ダブルエー、ウインテスト、ナトコ、梅の花、ジェネパ、Mマート、明豊エンター、クロスフォー、ミロク、HyAS&Co.、土屋HD、リーガル不、ジェイック、MICS化学、オービス(12/15)、コーセル(12/16)
などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、中国11月鉱工業生産、中国11月小売売上高、米12月ニューヨーク連銀景気指数、米11月鉱工業生産、FOMC(〜12/16)、パウエルFRB議長会見、米11月小売売上高、米12月NAHB住宅市場指数(12/16)、英国金融政策発表、米11月住宅着工件数、米12月フィラデルフィア連銀景気指数(12/17)、独12月Ifo景況感指数、米7-9月期経常収支(12/18)などがある。
米企業決算では、レナー(12/16)、フェデックス、アクセンチュア、ゼネラル・ミルズ(12/17)、ナイキ(12/18)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄(2020/12/14〜12/18)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1961 | 1,500 | 1,100 | 設備工事大手。2021年3月期上期(4-9月)の営業利益は5億円(前年同期比84.2%減)と大幅に減少した。主力の建築設備事業で、大型工事の売上が端境期となったほか、新型コロナウイルスの感染拡大で小規模営繕工事が減少。足元では株価はもみ合いの様相を呈しているが、景気回復に向けた期待を背景に26週移動平均線の上抜けが迫っている。今が仕込む好タイミングと考える。ターゲットは1,500円、ロスカットは1,100円 | |
4902 | 500 | 340 | 複合機中堅。同社は未定としていた2021年3月期通期の連結営業損益予想を130億円の赤字(前期は8,200万円の黒字)とすると発表した。年間配当予想は前期並みの25円と据え置き。発表後、株価は悪材料出尽くし感もあって大幅高となった。直近では外資系証券による投資判断と目標株価の引き上げも好感され、騰勢はより強まっている。こういった流れを受け、買いは今後も継続しやすいとみる。ターゲットは500円、ロスカットは340円 | |
5019 | 2,900 | 2,000 | 石油元売り2位。同社は在庫評価損失を見込むことから、通期の連結純損益予想を従来の50億円の黒字から200億円の赤字(前期は229億円の赤字)に下方修正した。ただ、目先は世界的なエネルギー需要の回復観測を背景に原油相場が上昇しており、事業環境は好転。2021年1月からの出荷に向け、アジアで3カ所目の有機EL材料製造工場の本格稼働を開始したとも発表し、今後は買い戻しが優勢になると考える。ターゲットは2,900円、ロスカットは2,000円 | |
8068 | 3,600 | 2,500 | エレクトロニクス商社。同社は直近で2021年1月期通期の連結営業利益予想を従来の17億円から13億円(前期比39.7%減)に下方修正した。売上構成の変化による低粗利案件の比率が上昇している。ただ、目先では新型コロナウイルスのワクチン開発と米国における追加経済対策に向けた期待が高まっており、業績拡大の思惑は強まりやすい。今が買い時と考える。ターゲットは3,600円、ロスカットは2,500円 | |
9434 | 1,700 | 1,200 | ソフトバンクグループ中核の携帯会社。直近では、NTTドコモが政権の要請に応じ、携帯料金を引き下げの最終調整に入ったと報じられたことを受け、売られる場面があった。ただ、売りの勢いは限定的で、足元では右肩上がりの推移が継続。配当利回り6%以上という点も支援材料となっており、引き続きしっかりとした展開を見せると考える。ターゲットは1,700円、ロスカットは1,200円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で12/10現在、時価総額が500億円以上、配当利回りが5.0%以上、株価が5日移動平均線を上回っている銘柄の中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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