来週の株式見通し(2020/6/8〜6/12)
来週(2020/6/8〜6/12)の日経平均株価の予想レンジは21,900円-22,700円。取り巻く環境としては、新型コロナウイルスの国内感染状況に注意が必要な一方、米国の景気回復期待が日本株の一定の支えになる公算か大きい。週末のメジャーSQに向けて高値圏で不安定な動きが予想される。
ドル円が円安方向に動きだす雰囲気が出てきたことも、自動車株や出遅れ感のある素材系の景気敏感株には追い風だ。ただ、需給要因が強く寄与して上昇した指数への高値警戒は強く、特に日経平均株価は23,000円の心理的フシ目を前に上値を買いづらい。東京は「アラート」が出る状況であり、早期の経済活動再開期待が後退するとの見方が強まるようだと、利益確定売りを急ぐ動きが出てくる展開も想定される。
また、海外発のイベントでは、FOMC(連邦公開市場委員会)がある。最近発表された予想以上に改善を示す経済統計で株買いの勢いが増しているが、FOMC後のパウエルFRB議長の会見で景気認識の弱さが示されるようだと株式市場にとっては逆風となる。また、中国に対してカナダの通信2社がファーウェイの5G機器を使用しないことが判明したように、徐々に中国包囲網も築かれ始めている。米国の中国との通商摩擦に関連する報道などにはより敏感になる可能性があるだろう。
一方、マザーズ市場の活況で個人を中心に投資家の参加意欲は大幅に改善している。指数には高値警戒感はあるが、材料やテーマ性のある銘柄への物色が途絶えることは考えづらい。東証1部の騰落レシオ(25日)が約3年ぶりに150%を超え物色が一巡した可能性があり、ジャスダック市場を含めた新興市場が騰勢を強める展開が予想される。
主要な国内経済指標の発表では、1-3月期GDP確報値、5月景気ウォッチャー調査(6/8)、5月工作機械受注(6/9)、4月機械受注(6/10)、4-6月期法人企業景気予測調査(6/11)などに注目。海外の経済指標では、中国5月生産者物価指数、中国5月消費者物価指数、米5月消費者物価指数(6/10)などが重要である。
日経平均株価(図表1)は200日移動平均線(21,681円 6/4)を上回り、上値を試す展開となっている。23,000
円も視野に入るモメンタムが続く。一方、短期的な過熱感は強い。東証1部の騰落レシオ(25日)は約3年ぶりの150%超え、日経平均株価の75日移動平均線(20,185円 6/4)からのかい離率は12%前後まで拡大し、2016年以降の最高水準まで買われ過ぎの状況にある。また、急落によって1月高値と2月高値でダブルトップに類似する天井パターンを形成しており、そのネックラインである2/3安値(22,775円)に到達した。
RSI(9日)は依然として強いモメンタム圏にあるが、短期的には200日移動平均線に向けて下値の堅さを試す展開が予想される。
5月相場を振り返ると、月間では8.3%上昇、上げ幅では2015年10月以来の大きさとなった。過去10年間の騰落率(絶対値)の平均でみても、5月は大きく動きやすい反面、6月〜7月は小さくなる傾向がある。今年も足元までの上昇の勢いが減速する可能性があるだろう。また、2015年は年間の高値、2016年は年間の安値、昨年は4月高値からの調整が一巡し、6月前半から上昇に転じた経緯がある。そういった意味では年間では分岐点にもなりやすく注目の月になりそうだ。
5月までの上昇で重要なポイントは、過去のもみ合い期間の平均値を示す、24カ月移動平均線や36カ月移動平均線まで戻したことである。6月に入り、その2つの線が重なる21,800円弱の水準を上回り足元まで上値を伸ばしているが、月末の終値で上回った状況を維持できれば一段高が期待できる。一方、上げ幅を消し終値で下回ると、秋口に向けて下方向に調整するシナリオが浮上する。動きづらい6月相場ではあるが、終値には注目したいところだ。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2019/4/1-2020/6/4)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、1-3月期GDP確報値、5月景気ウォッチャー調査(6/8)、4月毎月勤労統計調査、5月工作機械受注(6/9)、5月企業物価指数、4月機械受注(6/10)、4-6月期法人企業景気予測調査、5月都心オフィス空室率(6/11)、メジャーSQ(6/12)などがある。
企業決算では、ユニプレス、テラ、萩原工業、学情、ミライアル(6/8)、三井ハイテ、ロックフィール、アスカネット、gumi、シルバーライフ、グッドコムA、B&P(6/9)、RIZAP G、アネスト岩田、丹青社、テンポスHD、トーホー、アセンテック、サトウ食品、巴工業、トビラシステム、ハウテレビ(6/10)、神戸物産、ドーム、ラクスル、シーイーシー、鎌倉新書、ACCESS、チムニー、ステムリム、GA TECH、オハラ、ラクーンHD、サムコ、ツクルバ、フロンティアI、バルニバーヒ、VALUENEX、シャノン、コンヴァノ(6/11)、高砂熱、サイボウズ、PI、サンバイオ、JMHD、プロレド、HEROZ、エニグモ、ヤーマン、スマレジ、イトクロ、シーアールイー、稲葉製作、やまや、J.S.B.、Hamee、フリービット、ネオジャパン、ラオックス、NJS、IMAGICAG、MSOL、アルデプロ、エイチーム、トーエル、ギフト、寺崎電気、Casa、Bガレージ、モルフォ、ダブルエー、OS映、MacbeeP、SKIYAKI、HyAS&Co.、ジェネパ、Mマート、バリュゴルフ、アジャイル(6/12)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、FOMC(〜6/10)(6/9)、中国5月生産者物価指数、中国5月消費者物価指数、パウエルFRB議長会見、米5月消費者物価指数、米5月財政収支(6/10)、米5月生産者物価指数(6/11)などがある。
来週の注目銘柄(2020/6/8〜6/12)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3865 | 540 | 370 | 業界5位、印刷・情報用紙と白板紙中心。同社の前期営業利益は112億円(前期比10.6%増)と増益での着地となった。主力の紙パルプ事業で、洋紙の価格改定と各種コストダウン効果などが寄与。今期の利益計画は減益となる見通しなものの、今期予想PER10倍以下という割安感もあって株価は3月下旬以降、底堅い推移を見せている。足元では13週移動平均線を上抜けており、75日移動平均線を上抜ける直前で、テクニカル的ポイントを意識した買いも向かいやすいと考えられ、今後もしっかりとした値動きを見せるとみる。ターゲットは540円、ロスカットは370円 | |
3946 | 2,280 | 1,580 | 段ボール用シート専業首位。新型コロナウイルスによる外出自粛と、その後の人々の生活スタイルの変化に伴って、EC(電子商取引)サイトの利用増などを背景とした段ボール需要の拡大が期待されている。株価は3月下旬以降、強い勢いで上昇しており、そうしたモメンタムがさらなる買いを呼び込んでいる状況。今期予想PER6倍前後という割安感の強さも注目を集めやすく、引き続き資金は向かいやすいと考える。ターゲットは2,280円、ロスカットは1,580円 | |
6916 | 1,300 | 900 | ストレージ、モニターなどPC周辺機器大手。在宅勤務関連の需要拡大で、モニター販売や関連機材の売れ行きが堅調になっていると報じられた。売上高の伸びは近年好調で、新型コロナウイルスの影響下でも売上を伸ばす逆境の強さから、買い安心感がある。足元では13・26週移動平均線を上抜けており、2月頃の株価水準をうかがう動きとなっている。在宅勤務普及の流れはコロナ禍終息後も継続するとみられ、今後もまだ増収期待は高まると考える。ターゲットは1,300円、ロスカットは900円 | |
6932 | 750 | 520 | 商業施設用照明器具で国内首位級。前期の売上高は392億円(前期比1.5%減)、営業利益25億円(同7.9%減)と軟調な着地となった。ただ、足元では悪材料の出尽くし感から株価は底堅い推移を見せており、下値余地は小さい様子。世界的に新型コロナウイルス対策としてのロックダウン(都市封鎖)措置が解除され、経済再開期待が高まる中、電気機器業種には追い風が吹いている。近年の高ROE体質も評価されやすく、今後も買われやすいとみる。ターゲットは750円、ロスカットは520円 | |
9534 | 2,090 | 1,450 | 札幌、小樽、函館が地盤の地方都市ガス大手。新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリスク回避相場の中で、内需・ディフェンシブ業種の同社には資金が長らく流入してきた。今期予想PERは14倍前後、配当利回り3%とフェアバリュー感は強いものの、市場としては香港情勢をめぐった米中関係の対立激化が新たなリスク要素として意識されており、リスク回避の買いはまだ向かいやすそうだ。ターゲットは2,090円、ロスカットは1,450円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で6/3現在、時価総額が1,000億円以下、PBRが1.0倍以下、株価が25日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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