来週の株式見通し(2020/6/1〜6/5)
来週(2020/6/1〜6/5)の日経平均株価の予想レンジは21,400円-22,200円。高値もみ合いから週後半は不安定な動きか。経済活動再開への期待感や新型コロナウイルスのワクチン開発報道にもそろそろ飽きるころであり、売りを出す材料探しの週となりそうだ。米国の重要指標の発表が多く、それぞれの結果に対する反応にも注目だろう。ダウ平均、日経平均ともに短期的には過熱感があるため、5月とは違って弱気の反応を示すことも考えられ注意が必要である。
物色面では巣ごもり関連から、新型コロナの影響を強く受けていた景気敏感株へ資金シフト、そしてバリュー面で割安感のある銘柄に上手く循環しているようにみえる。週末には米雇用統計の発表を控えていることや米中対立への警戒から、比較的安定感のあるハイテク株に再び物色が戻る可能性があり、その持続性が指数上昇のカギとなる。指数の上値が重くなる場合、5月の優劣で出遅れ感の強い業種への物色にとどまる公算が大きい(図表1)。
一方、米中の報復の強まりは相場のリスク要因であり、取引時間中を含めて関連する発言や報道などには神経質になろう。中国全国人民代表大会(全人代)は5/28、香港で反政府的な動きを取り締まる「国家安全法」を導入することを決定した。トランプ米大統領は香港版の国家安全法が成立した場合、中国に制裁措置を打ち出すと警告している。追加関税の応酬は休戦状態に入っているが、選挙戦略などもあり米中摩擦が再燃するリスクはつきまとう。
来週からは早くも6月相場である。日経平均株価の過去6月相場を簡単に振り返ると、1996年〜2019年までの24年間における騰落状況は17勝7敗と大幅に勝ち越し。2015年は年間の高値、2016年は英国のEU離脱の賛否を問う投票があり年間の安値を付けた。昨年は4月高値からの調整が一巡し、月前半から切り返した経緯がある。そういった意味では基調が変化しやすい月でもあり、外部環境の変化によっては6月入り序盤から調整に入るシナリオも想定しておきたい。
主要な国内経済指標の発表では、1-3月期法人企業統計(6/1)、4月家計調査、4月景気動向指数 (6/5)などに注目。海外の経済指標では、中国5月製造業PMI(5/31)、米4月建設支出、米5月ISM製造業景気指数(6/1)、ユーロ圏4月失業率、米5月ADP全米雇用リポート、米5月ISM非製造業指数(6/3)、米5月雇用統計(6/5)などが重要である。
図表1:業種別の5月の騰落(2020/4/30-5/28)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は10日移動平均線(20,748円 5/28)をサポートに下値を切り上げ、足元は上昇が加速する展開となっている。75日移動平均線(20,278円 同)や100日移動平均線(21,113円 同)に続き、長期トレンドをみるパラメータとして一般的な200日移動平均線(21,656円 同)を約3カ月ぶりに上抜いた。
RSI(9日)も強いモメンタムが続いており、22,000円超えが試される。対等日柄の変化日である5/25付近で相場が加速している点も、上昇継続を示唆している可能性が高い。次の主要な上値メドは、2/3安値22,775円前後が考えられる。
一方、足元の水準は、2012年安値付近を起点に2016年安値を通る右肩上がりの長期の上値抵抗線(下回る前は下値支持線だった)、月足の12カ月移動平均線、24カ月移動平均線などの強いフシが集中している。
2018年以降の価格帯別累積売買代金をみると、21,000円以上から500円刻みで200兆円前後の大量の売買をこなしてきたことがわかる。足元の上昇の勢いが減速した場合、やれやれ売りが戻りを抑える要因となり、悪材料とともに調整に入る展開が予想される。下値メドは、高い順に100日移動平均線、75日移動平均線、3/25高値19,564円前後などが考えられる。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2019/4/1-2020/5/28)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、1-3月期法人企業統計、5月新車販売台数、5月軽自動車新車販売台数(6/1)、4月家計調査、4月景気動向指数 (6/5)などがある。
企業決算では、オリバー、藤コンポ、ゼネパッカー、ワットマン(6/1)、日本精工、プレミアG(6/2)、内田洋、ウチダエスコ、三光MF、ティーライフ(6/3)、積水ハウス、ピジョン、空港ビル、アインHD、ファーマフーズ、泉州電、モロゾフ、日ハウスHD(6/4)、東芝、カナモト、日駐、ハイレックス、アイル、ポールHD、鳥貴族、フジコーポ、相模ゴム、インスペック、ITbookHD(6/5)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標は、中国5月製造業PMI(5/31)、米4月建設支出、米5月ISM製造業景気指数(6/1)、ユーロ圏4月失業率、米5月ADP全米雇用リポート、米5月ISM非製造業指数(6/3)、ECB定例理事会(ラガルド総裁記者会見)、米4月貿易収支 (6/4)、米5月雇用統計、米4月消費者信用残高(6/5)などがある。
来週の注目銘柄(2020/6/1〜6/5)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1413 | 2,260 | 1,570 | 規格型注文住宅「桧家住宅」が中核。緊急事態宣言の解除に伴い、経済再開に向けた期待が国内で広まりつつある。住宅建設の需要の盛り返しも予想され、足元で株価は大きく上昇。75日移動平均線も上抜ける動きを見せており、短期筋の資金も向かいやすい。4月の受注実績も前年同月比9.6%増と堅調となっており、ファンダメンタルズ的なポジティブ材料もあって、今後も堅調な値動きを見せると考える。ターゲットは2,260円、ロスカットは1,570円 | |
6292 | 1,050 | 730 | プラスチック成形・合理化周辺機器トップ級。同社は2021年3月期通期の連結営業利益予想を12.0億円(前期比24.7%減)と発表した。2020年3月期の営業利益は15.9億円(前期比30.9%減)で着地。東アジアが、米中貿易摩擦の長期化と中国国内での景気の減速などの影響を受け、赤字となった。しかし、新型コロナウイルスに対する懸念が後退しつつある中、悪材料の出尽くしによって市場は決算後に買いで反応。4月以降の堅調な値動きは維持されており、今後もしっかりとしたモメンタムを背景に買いは向かいやすいと考える。ターゲットは1,050円、ロスカットは730円 | |
6462 | 3,700 | 2,580 | ピストンリングで日系向け首位。世界的にロックダウン(都市封鎖)措置が解除される中、海外取引の復興が期待されている。そうした中、同社の建機や船舶向けピストンリングの需要も盛り返しが予想され、株価は底堅い展開となっている。ただ、他の景気敏感系の銘柄と比べると上昇の勢いは弱く、出遅れ感が目立つ。今後はその調整買いが向かいやすいとみる。ターゲットは3,700円、ロスカットは2,580円 | |
6724 | 1,630 | 1,130 | インクジェットプリンター国内首位級。2020年3月期通期の連結営業利益は395億円(前期比44.7%減)と大きく減少し、2021年3月期の営業利益予想も未定となったものの、配当予想については前期並みを維持する方針とし、市場はこれを好感している。株価は75日移動平均線を上抜ける目前であり、国内での経済再開期待の押し上げもあって、今後は投資家の資金が流入しやすい状況が続くと考える。ターゲットは1,630円、ロスカットは1,130円 | |
8053 | 1,700 | 1,180 | 住友系の総合商社。2020年3月期通期の連結純利益は1,714億円(前期比46.5%減)と大きく減少したものの、2021年3月期の年間配当予想は前期並みを維持する方針としたことが好感され、リリース後に株価は大幅高となった。足元では、NEC、東京都と5Gアンテナ搭載スマートポールの試行設置に関し協定を締結したと発表。成長テーマの取り込みに伴う将来的な利益成長に対する期待も高まりやすく、今後も下値を拾う買いが向かうと考える。ターゲットは1,700円、ロスカットは1,180円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で5/27現在、PERが20.0倍以下、PBRが1.3倍以下、配当利回りが3.5%以上、株価が10日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、成長性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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