来週の株式見通し(2019/7/1〜7/5)
来週(2019/7/1〜7/5)の日経平均株価の予想レンジは21,150円-21,550円。20カ国・地域首脳会議(G20サミット)、米中首脳会談などのイベント通過で、これまで様子見姿勢だった買い方が動きだしそうだ。
週明けの寄り付き前には6月調査の日銀短観が発表される。大企業製造業の業況判断DIは市場予想がプラス8〜12と、3月調査(プラス12)からは中心値で悪化が見込まれている。3月調査時点のドルの想定為替レート(108.87円)に大きな変化はなさそうだが、輸出や生産の悪化が懸念される中、2019年度の設備投資計画のデータが景気敏感株にポジティブサプライズに作用するかが焦点となる。同日の前場取引時間中には、6月財新中国製造業PMI(図表1)が発表される。5月は50.2と景気判断の境目となる50を3カ月連続で上回った。6月の市場予想は50とやや悪化が見込まれている。6/30に発表される政府発表の6月中国製造業PMI、日銀短観の結果に対する相場の流れにもよるが、予想に反して改善を示す場合は機械株や素材株など中国関連を中心に買い戻しが強まる公算が大きい。逆に、50を下回ると印象が悪く弱材料になる。
米国とイランの軍事衝突への警戒感は払しょくされていないが、週を通じては過度な不安心理で織り込まれた米利下げ期待の後退、米景気認識を通じた米長期金利(米10年債利回り)の動向が注目ポイントとなる。6月ISM製造業景気指数(7/1)、6月ADP全米雇用リポート、6月ISM非製造業指数(7/3)、6月雇用統計(7/5)など注目度が最上級に高い米経済指標に焦点が移る。良好な結果に金利高を通じてドル高・円安につながれば、先物主導で日経平均株価は上値を試す展開につながる公算が大きい。
ただ、米国市場は7/4が独立記念日で休場となり、7/5には6月雇用統計の発表を控えている。つまり、東京市場が米国株の動向を織り込めるのは7/3までの取引分となるため、週後半は次第にボラティリティが低下していくことが見込まれる。
ドル円のテクニカル分析では、1月のフラッシュ・クラッシュ時の安値から26週目が経過し、週足の一目均衡表では基準線が来週はいったん上昇に転じる。また、今週は2016年以降で何度か下値固めをしてきた水準を下値サポートとして、週間ローソク足は下値ヒゲ陽線を形成し底打ち感が広がりそうな雰囲気だ。こういった指標面のポジティブな現象が円安方向への揺り戻しのサインになる可能性がある。
図表1:財新中国製造業PMIの推移(2017/6-2019/5)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は6月初旬にアイランドリバーサールの底打ちパターンを形成し、緩やかに下値を切り上げる展開が続いている。一方、75日移動平均線(21,406円 6/27)を超えたところで上昇一服。6/4安値を中心に両サイドが対照的な動きになるとみれば、直近の下げは十分ありえる許容範囲である。値幅的には5/14安値(20,751円)から5/20高値(21,430円)までは679円戻しているため、直近高値である6/21高値(21,491円)から逆に679円下げた背反値とみれば20,812円程度まで下げる余地はあろう。だが、来週に向けては25日移動平均線(21,041円 6/27)が上昇に転じてくる可能性が高く、まずは同線付近で目先の売りが一巡するかが注目される。
RSI(9日)は58.3%(6/27)と強弱の分岐点で推移しており正念場が続く。上値メドは、75日移動平均線、200日移動平均線(21,645円 6/27)、3/4高値21,860円となる。ほか、昨年10/2高値(24,448円)を起点とする右肩下がりの上値抵抗線上なども重要な上値のフシとなる。下値メドは、25日移動平均線や5/14安値20,751円、6/5安値20,646円、2/8安値20,315円付近となる。
6月相場の月足ローソク足は2カ月ぶりに陽線を形成する公算が大きい。前半は米国株安や円高進行を受けてリスクオフムードが強まる展開となり、6/4には20,200円台まで下げる場面があった。
一方、月足の一目均衡表では6月は基準線が上昇に転じた。基準線のポジティブな上昇が6月後半に向けての戻りのきっかけとなったが、7月は転換線が大幅に低下(21,698円→20,823円)する見込み。過去にも転換線が下げる場面では弱含む月が多かっただけに注意が必要だ。一方、2012年以降、6月が相場の分岐点となり7月から方向性が変わることがあったことも確かである。
そういった意味では、6/28-29に大阪で開催される20カ国・地域首脳会議(G20サミット)はやはり重要なイベントになるだろう。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2018/1/4-2019/6/27)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、6月日銀短観、路線価公表(7/1)、5月家計調査、5月景気動向指数(7/5)
がある。
企業決算では、象印、ダイセキソリュ、日フイルコン、ダイセキ(7/1)、放電精密、ライトオン(7/2)、トライステージ、エスプール、アスクル、サムティ、TSIホールディングス、マルカ、三光合成、ニトリHD(7/3)、ABCマート、キユーピー、アヲハタ、わらべや、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス、セブン&アイ・ホールディングス、クスリのアオキ、大有機、クリーク&リバ、不二越、マニー、宝印刷、イオンモール、キユソー流通、乃村工、天満屋ス(7/4)、イオン、ウエルシアHD、サーラ、ネクステージ、サンエー、ジーフット、MV九州、薬王堂、フェリシモ、Fブラザース、メディ工房、MV北海道、ファンタジー、マルゼン、オンワードHD、ワキタ、トーセイ、日本BS放、ミニストップ、アークス、ベルク、アオキスーパー、MV西日本(7/5)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントは、中国6月製造業PMI(6/30)、世界経済フォーラム主催の夏季ダボス会議(〜7/3 中国・大連)、OPEC定例総会、6月財新中国製造業PMI、米6月ISM製造業景気指数、米5月建設支出(7/1)、ロシアなど非加盟国を含めたOPECプラス会合(7/2)、米6月ADP全米雇用リポート、米5月貿易収支、米6月ISM非製造業指数(7/3)、米6月雇用統計(7/5)などがある。
なお、7/4の米国市場は独立記念日のため休場となる。
新規上場では、7/5にフィードフォース(7068)がマザーズに上場する。データフィードを活用したマーケティングツールを提供している。人気の高いアドテク関連株。業績は軌道に乗り始めたばかりのタイミングというのが心配ではあるが、それだけに公開規模も極小で、6月ラッシュも一息付いたタイミングの上場になるだけに需給は逼迫(ひっぱく)することになりそう。
来週の注目銘柄(2019/7/1〜7/5)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2196 | 990 | 680 | 専門式場、ゲストハウス等多様な業態で展開。業績モメンタムは好調だ。今2020年3月期の連結営業利益予想は25億円(前期比14.1%増)と、前期実績である22億円(前の期比12.4%増)に続けて良好な伸びを見せている。新規開業した施設の稼働のほか、他社とのタイアップキャンペーンや既存施設のリニューアルといった施策も奏功。1組当たりの単価もわずかながら上昇傾向にあり、トップラインの伸びに貢献している。安心感のある業績により、今後も買いは向かいやすいとみる。ターゲットは990円、ロスカットは680円 | |
3003 | 1,120 | 780 | 旧富士銀行の銀行店舗ビル管理から出発。都区内の駅近接ビル中心に好物件所有、物件多角化を進めている。株価は5月まで弱い動きが続いてきたが、6月以降は下げ止まり、徐々に上昇する展開となっている。欧米で金融緩和期待が高まる中、不動産セクターにとっては追い風が吹いており、25日移動平均線を上抜けたばかりというテクニカル的ポイントもあって買われやすいとみる。今期高めのROEが期待されていることも買いを促しそうだ。ターゲットは1,120円、ロスカットは780円 | |
4970 | 2,360 | 1,630 | 半導体や液晶のフォトレジスト用感光性材料を製造。同社は業績拡大期待が高まりやすい。今期は半導体やフラットパネルディスプレーの需要拡大を見込み、増収増益を見通している。前期も感光性材料事業でFPD市場の長期的市場拡大が奏功し、業績は好調となった。今期予想ROEは14%と高めで、今期市場予想ベースの株式益回りも11%とうま味のある水準。チャートを見ると多少過熱感はあるものの、ファンダメンタルズ面での評価のもと、中・長期的には強い展開になるとみる。ターゲットは2,360円、ロスカットは1,630円 | |
7105 | 1,430 | 990 | フォークリフト大手。前期の2019年3月期通期の連結営業利益は132億円(前の期比41.8%増)と、大幅な伸びを見せた。のれん償却などの軽減と国内事業セグメントの増益が寄与した。また、期末配当も11円から13円へと引き上げられた。今期も増収増益を見込んでおり、投資家としては買い安心感がある。米国の物流機器販売代理店であるポン・マテリアル・ハンドリングの買収による長期的なトップラインへの寄与も期待され、資金は流入しやすいとみる。ターゲットは1,430円、ロスカットは990円 | |
7826 | 4,200 | 2,900 | 結晶製造容器、ターゲットなど製造。2017年6月期以降、売上高は急拡大している。それに沿って営業利益も大幅に伸びており、モメンタムはすこぶる良好。一方でPERは今現在6.7倍、PBRは1.1倍と控えめであり、上値余地は大きいと考える。株価は5月以降下落していたが、足元では下げ止まった感があり、今後はバリュエーション面に着目した下値を拾う買いが株価を押し上げるとみる。ターゲットは4,200円、ロスカットは2,900円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証上場銘柄で6/26現在、PERが12.0倍以下、PBRが2.0倍以下、配当利回りが1.0%以上、今期予想ROEが10.0%以上、今期営業増益予想(日経予想)の中から、テクニカル面や話題性、材料性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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