来週の株式見通し(2019/4/1〜4/5)
来週(2019/4/1〜4/5)の日経平均株価の予想レンジは21,100円-21,700円。東京株式市場は神経質な展開が予想される。3月調査の日銀短観や新元号の発表が週初から予定されており、特に11時30分頃に発表になる新元号に対する反応は読み切れない。日銀短観は前回調査から悪化が予想され、消化不良となる公算が大きい。海外景気の減速や中国向けを中心とした輸出の大幅減など背景に、多くの業種で景況感の悪化が見込まれる。
大企業製造業の2018年度の事業計画の前提為替レートは、12月調査の時点(109.41円)からほぼ横ばいか。2019年度は米利上げ打ち止めや日米通商交渉の不透明感などを背景に、やや円高方向に見直される可能性もある。その場合は経常利益計画も抑えられることになろう。ただ、実勢レートから大きくかい離することは想定しづらく、4月後半から始まる上場企業の決算発表における業績見通しへの警戒につながることはなさそうだ。
新年度入りで年金資金などによる資金流入に期待したいところだが、基本的には海外投資家が買い越し基調に転じるかが上昇持続力のカギを握る。米国株式市場は決算発表を前に強含む可能性が高いが、3/31に発表される中国3月製造業PMIの結果次第では、3000Pを割り込むようになってきた上海総合指数の不安定さが嫌気されることも想定しておきたい。
また、米長期金利が低下基調にある中、2月小売売上高、3月ISM製造業景気指数、3月雇用統計など米経済指標の発表が目白押し。金利動向に敏感な為替市場を通じて株価に影響する。
米中通商協議では、米政府当局者が中国との通商協議は早期合意の可能性は高くない、知的財産権問題で行き詰まっていると述べ、中国側も米国の要求に抵抗しており協議は難航していると報じられている。
来週も4/3からワシントンで米中通商協議が開催される。クドロー国家経済会議(NEC)委員長が、「数週間あるいは数カ月間にもわたって中国と交渉を続ける用意がある」と述べていることで予断を許さない状況が続くことになる。ただ、週後半に日本株が反応するとすれば、進展度合いを連想させるヘッドラインや閣僚の発言などが予想される。
長期化する要因としては、中国側が米知的財産の取り扱い改善、米企業に対する市場アクセス開放、通商合意の履行メカニズムに関して難色を示していることが挙げられている。
国内の経済指標やイベントでは、3月調査日銀短観、新元号公表(4/1)、2月景気動向指数(4/5)がある。一方、海外では、中国3月製造業PMI(3/31)、米2月小売売上高、米3月ISM製造業景気指数(4/1)、米2月耐久財受注(4/2)、米3月ADP雇用リポート、米3月ISM非製造業指数(4/3)、米3月雇用統計(4/5)などが注目材料となる。
日経平均株価(図表1)は下落基調にある75日移動平均線(20,989円 3/28)まで調整したが、直近の3/25安値(20911円)を前に下げ渋った。一目均衡表上では抵抗帯(雲)上限(20,877円)を下値で意識した可能性が高い。
一方、RSI(9日)は43.2%(3/28)まで低下。一目均衡表では依然として雲上でもみ合いの範ちゅうといえるが、遅行スパンが株価を下回る逆転(弱気サイン)を示現した。
現時点では3/25に形成したマドの上限(21,542円)を埋めていない。3/4高値を超えられない状態で急速に下押す陰線(マドをともなう)を形成しており、昨年12/26安値(18,948円)からの三段上げ目に失敗した可能性のあるパターンでもある。
RSIは目先的には下げが続きやすい中、遅行スパンが早期に好転(買いサイン)し、株価は雲上を維持しながら、もみ合い基調を維持できるかが最低限重要なポイントとなる。
当面の上値メドは、3/4高値〜3/11安値までの下落幅922円に対する1.5倍返しの22,321円、昨年10/2高値〜10/26安値までの下落幅3,477円を昨年12/26安値からの上昇幅とみた22,425円、昨年1/23高値〜3/26安値までの下落幅3,782円を昨年12/26安値からの上昇幅とみた22,730円などが挙げられる。下値メドは、3/11安値20,938円付近、2/8安値20,315円付近が考えられる。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2018/1/4-2019/3/28)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、3月調査日銀短観、3月新車販売台数、新元号公表、働き方改革関連法施行(4/1)、2月家計調査、2月毎月勤労統計、2月景気動向指数(4/5)がある。
企業決算では、しまむら、象印、地域新聞、クリエイトSDH、あさひ、メディカネット、WNIウェザー、日フイルコン、オークワ、キユソー流通(4/1)、キユーピー、アヲハタ、ライトオン、ナガイレーベ、西松屋チェ、北恵(4/2)、トライステージ、エスプール、KTK、バイク王、マルカキカイ(4/3)、7&I-HD、不二越、ハイデ日高、カネコ種、サカタのタネ、ダイセキソリュ、アダストリア、レナウン、京進、クリーク&リバ、三協立山、瑞光、三光合成、毎コムネット、ダイセキ(4/4)、壱番屋、サムティ、サンエー、薬王堂、Fブラザース、大有機、マルゼン、スギHD、マニー、オンワードHD、ワキタ、トーセイ、日本BS放(4/5)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、中国3月製造業PMI(3/31)、米2月小売売上高、米3月ISM製造業景気指数、米2月建設支出(4/1)、米2月耐久財受注(4/2)、米3月ADP雇用リポート、米3月ISM非製造業指数(4/3)、米3月雇用統計、米2月消費者信用残高(4/5)などが注目される。
新規上場では4/3に東名(4439)がマザーズに上場する。オフィス向け情報機器や光回線、LED(発光ダイオード)照明の販売。保険ショップのフランチャイジーや、マンション賃貸も手掛ける。成熟業態ながら業績は拡大しており、特に需給不安もないため、堅調なスタートにはなるか。
来週の注目銘柄(2019/4/1〜4/5)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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6192 | 350円 | 240円 | 住宅関連に特化したコンサルティング会社。3月中旬に、2019年4月期の第3四半期累計(5-1月)の連結営業利益が1.3億円(前年同期比27.9%減)だったと発表した。今後の成長に向けた販管費が損益を圧迫した。しかし、主力の高性能デザイナーズ住宅「R+house」事業を中心に会員企業の成果に連動するロイヤルティーなどは伸長。売上高の成長スピードは現状鈍化の兆しは見えないうえ、PSR(株価売上高倍率)はほぼ1倍と過少評価気味。今後は割安感から買われるとみる。目先的には310円前後が目標となる。ターゲットは350円、ロスカットは240円 | |
3987 | 2000円 | 1350円 | IoTインテグレーション事業を展開している。建設情報化施工支援システムが主軸。同社は3/18、クラウド版GNSS自動変位計測システムが国土交通省の現場ニーズに対する新技術マッチングに採択されたと発表し、急騰した。成長市場に属する企業らしく売上高成長の勢いは強く、それでいて財務レバレッジを利かすことで高いROEも実現している。2月からは軟調な値動きが続いてきたものの、75日移動平均線を下抜けた辺りから押し目買いが向かい始めており、今が狙い時とみる。目先的には1,700円前後が目標となる。ターゲットは2,000円、ロスカットは1,350円 | |
7703 | 1000円 | 720円 | 人工透析器具で高シェア。透析からバッグやフィルター等血液分野にシフト中。直近では住友ベークライトとの資本業務提携の計画を発表し大きく買われた。EV/EBITDA倍率は約1倍と極めて低く、ここ数年の売上高のさえない推移が影響しているもよう。ただ、今回の提携は医療機器製品事業の発展拡大を図ることを目的としており、もともと高成長が期待される医療機器分野なだけにトップラインの伸びへの期待から低いバリュエーションが見直される可能性は高そうだ。目先的には900円前後が目標となる。ターゲットは1,000円、ロスカットは720円 | |
7951 | 7000円 | 5000円 | ピアノや管楽器など楽器総合。電子ピアノでは世界首位。株価は2月以降堅調な値動き。国内大手証券では、構造的な市場成長に個別改善要因が重なると指摘。圧倒的な市場シェアの電子鍵盤楽器・ピアノを主軸に強固な事業基盤を維持し、今後も中国や新興国地域での構造的な市場成長を享受するほか、楽器の需要特性は必需品に近く民生用電子機器に比べて需要の下方硬直性があり、景気後退局面でも相対的に安心感があるという。2018年終盤の相場急落局面での下落幅の回復も早く、海外情勢が不透明な中で買いが入りやすいとみる。目先的には6,000円前後が目標となる。ターゲットは7,000円、ロスカットは5,000円 | |
2124 | 3000円 | 2000円 | 人材紹介業の準大手。英国、アジア等に展開する田崎・JACグループの一角となっている。売上高は非常に強いペースで成長しており、営業利益率、ROEはともに30%前後とファンダメンタルズは良好。PERは20倍とそれなりに成長は織り込まれているものの、足元の強い業績モメンタムを踏まえると割高感は少ない。株価は3月に入ってから弱い動きを見せていたものの底打ち感もあり、業績拡大期待による押し目買いが強まる可能性が高いとみる。目先的には2,600円前後が目標となる。ターゲットは3,000円、ロスカットは2,000円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証上場銘柄で3/27現在、時価総額が50億円以上、PERが10.0倍程度以下、13週移動平均線が上昇中であることかつ、株価が短期の5日移動平均線を上回っている中から、業績面、話題性、材料性などを総合的に考慮 してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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