来週の株式見通し(2019/3/4〜3/8)
来週(2019/3/4〜3/8)の日経平均株価の予想レンジは21,300円-21,800円。週末の米2月雇用統計の発表を控え短期筋も積極的に動けず、先物市場は6月限へのロールオーバー以外の商いの増加は見込みづらい。現物市場は内需・外需景気敏感銘柄への入れ替わり物色や、決算銘柄への売買がヘッジファンドなどの参入を中心に賑わいそうだ。3月の本決算月ということで持ち合い解消売りなどが上値を抑える要因となるが、米国株の堅調が続くことが予想されるほか、業績への期待値に影響するドル円相場が底堅く日本株の支援材料になるかが注目される。
ドル円は週足の一目均衡表では抵抗帯(雲)が110円台前半で推移しており下値支持になりやすいほか、転換線という短期線が来週は上昇に転じることで、円安に対してポジティブな要因が発生する。
一方、ドル円の2009年以降の3月相場を振り返ると、2009年〜2015年まではすべての年で月足は陽線(月初よりも月末の方が円安に進んでいること)だった。2016年〜2018年は陰線ではあったものの、下げ渋ったケースが目立つ。
週末は3月限のメジャーSQが算出される。過去の「SQ」前後は相場の短期的な分岐点になってきたことも少なくない。図表1は、年4回あるメジャーSQ日の前後20日間の日経平均株価の動きがどうだったかということを、2006年〜2018年の平均でみたものである。SQ日を「1」として指数化したグラフであり、横軸が「日数の経過」、縦軸が「水準」である。
9月のSQ後は上昇のあと弱含む傾向がある一方、12月は「掉尾の一振」で買いが一巡する。一方、3月、6月は比較的堅調となる傾向がある。特に3月は年度末の配当狙いの買いや期末のドレッシング買い、4月からの新年度相場への期待感、月末にかけては年金資金などによる配当再投資の買いなど、季節的な要因もあって上昇に弾みがつく傾向がある。
ただし、これはあくまでも過去の平均値であり、アノマリーだけを頼りにした戦略は得策ではないといえる。
国内経済指標やイベントでは、1月景気動向指数(3/7)、10-12月期GDP改定値、2月景気ウォッチャー調査、メジャーSQ(3/8)がある。一方、海外の経済指標では、米2月ISM非製造業景況指数(3/5)、米2月ADP雇用統計、米12月貿易収支、ベージュブック(3/6)、ECB理事会(ドラギ総裁記者会見)(3/7)、中国2月貿易収支、米2月雇用統計(3/8)などが材料視される。
図表1:メジャーSQ前後の日経平均株価の値動き(2006-2018年)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は再び5日移動平均線(21,468円 2/28)を割り込んだが、10日移動平均線(21,372円 同)がサポートになった。戻り売り圧力が強い水準に差し掛かっているため、上昇が続く10日移動平均線をサポートに早々に反発に転じられるかが焦点となる。
目先的には、2/5高値(20,981円)から2/8安値(20,315円)までの下げ幅の倍返し21,650円処や、昨年10月高値(24,448円)から12月安値(18,948円)までの下げ幅に対する半値戻し21,698円、マド埋めとなる12/4安値(22,033円)などが上値のフシとして重要となる。ただ、習性値幅の観点からは、そろそろ上昇が一服しても不思議ではない。昨年12/26安値(18,948円)〜2/26高値(21,610円)までの上昇幅は2,662円に達した。昨年1月高値(24,129円)からの急落後、3月安値(20,347円)〜5月高値(23,050円)までの上昇幅の2,703円とほぼ同値幅を上げたことになるからだ。
一方、変化日として重要なのは、昨年10/26安値〜12/26安値までの「42」日間に対する対等日となる3/1、ほか3/8となる。その前後で反転調整の可能性が高いが、上昇が加速する起点になることも想定される。
長期的な視点でみると、昨年12/26安値は2012年の安値水準を起点に2016年安値を通る長期トレンドライン上で下げ止まり、足元まで上昇が続いている。ただ、24カ月移動平均線(21,449円 2/28)を2月末の終値で上回ることができなかった。3月相場で上回ることができれば、2016年安値からの上昇時と同様に上昇基調が続く可能性が高まるが、24カ月移動平均線は上述したフシとも重なっており、上昇が一服するタイミングになる可能性も低くない点には留意しておきたい。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2018/1/4-2019/2/28)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、2月都心オフィス空室率、1月景気動向指数(3/7)、1月家計調査、10-12月期GDP改定値、1月経常収支、2月景気ウォッチャー調査、メジャーSQ(3/8)がある。
企業決算では、DyDo、ティーライフ、ゼネパッカー、エイケン工業、タカショー、ピープル、ピジョン、泉州電(3/4)、くらコーポ、ザッパラス、フジコーポ、アインHD(3/5)、アスカネット、ラクーンHD、アイル(3/6)、積水ハウス、日ビュホテル、アイモバイル、不二電機、アルチザ、トップカルチャ(3/7)、鳥貴族、HEROZ、フルスピード、日駐、ケア21、バルニバービ、エイチーム、ソフトウェアサー、フリービット、ミライアル、ユークス、クミアイ化、日本スキー、イトクロ、インスペック、ナ・デックス、ファースト住、カナモト(3/8)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標では、米12月建設支出(3/4)、米2月ISM非製造業景況指数、米12月新築住宅販売、米1月財政収支(3/5)、米2月ADP雇用統計、米12月貿易収支、ベージュブック(3/6)、ECB理事会(ドラギ総裁記者会見)、米1月消費者信用残高(3/7)、中国2月貿易収支、米2月雇用統計(3/8)などが注目される。
米企業決算では、セールスフォース・ドットコム(3/4)、ターゲット(3/5)、ダラー・ツリー(3/6)、H&Rブロック、コストコ(3/7)などが発表を予定している。
新規上場では、3/5に中堅ゼネコンの日本国土開発(1887)が東証1部に上場する。かつて1954年11月に東京店頭市場(現ジャスダック)にて株式公開し、10年後の2月には東京証券取引所の第一部指定となっていた。だが、1998年12月に会社更生法適用を申請し、翌年3月に上場を廃止した。
自主再建のため根本的な要因であるファンドの存在はなく、上場廃止時とは打って変わっての建設業界は好景気が続くが、最近は人手不足と人件費上昇が懸念される。少なくとも新味があるわけではないため、特別人気が出ることはないだろう。ただ東証1部案件として、それほど大きいサイズではなく、PERはかなり低く設定されている。買い気配ではスタートできるのではないか。
来週の注目銘柄(2019/3/4〜3/8)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
---|---|---|---|---|
2395 | 1,010円 | 733円 | 前臨床受託事業が収益柱。2000年にはSMO事業に展開し、新薬開発プロセスを網羅的に受託できるバリューチェーンを確立してきた。 2019年3月期の第3四半期累計(4-12月)の連結営業損益は3.4億円の黒字(前年同期は11.8億円の赤字)で着地。上記決算発表と同時に、通期の連結営業利益予想を従来の2.5億円の黒字から3.9億円の黒字(前期は7.0億円の赤字)に引き上げた。前臨床事業での堅調な受注状況を背景に利益率の改善が図られていることから修正に至ったという。株価は上記発表の翌日、出来高を増加しながら戻りを試したが、上に往ってこいで終えた。ただ、その後の調整期間も短く、一目均衡表の雲をサポートに決算好感時の高値(833円)を上回った。先週から再び出来高が増加しており、先高期待が強くなってきたようだ。ターゲットは1,010円、ロスカットは733円 | |
3997 | 1,950円 | 1,380円 | 金融関連会社のシステム開発・保守・運用など行う。2019年12月期の通期営業利益予想は3.0億円(前期比41%減)となっている。これは、強みを高めるための戦略投資実施(人材獲得・育成やデータセンター強化などの先行投資)によるものであり、過度に悲観する必要はない。売上高は順調に増加する見通しであることから、来期以降のV字回復に期待したい。 株価は昨年12月安値(1,400円)を起点に急速に戻りを試す展開があったが、長い上ヒゲ陰線で上昇一服。その後はほぼ全値押しに近い水準まで下げた。一方、再び底固めの局面にあり、打診買いのタイミングであろう。ターゲットは1,950円、ロスカットは1,380円 | |
4555 | 7,500円 | 5,940円 | 後発医薬品大手。2019年3月期の第3四半期累計の連結営業利益は前年同期比5%増の219億円となり、通期計画240億円に対する進ちょく率は91%に達した。上期の138億円からの上積み幅も大きく、ポジティブな決算を受けて翌日の株価も3%超の上昇。同日は日経平均株価が200円超下げるさえない地合いの中、高寄り後にいったん利益確定売りに押されたものの、切り返して長い下ヒゲをつけた陽線を形成する強い動きを見せた。13週移動平均線や26週移動平均線を上回っており、中期のサインも好転している。短期的には日足の陽線続きで過熱感はあるが、6,200円水準を割り込む場面があれば押し目買いでも対応したい。ターゲットは7,500円、ロスカットは5,940円 | |
6082 | 1,550円 | 1,150円 | 「銀のさら」「釜寅」など調理済み食材宅配事業を全国展開。2019年3月期の第3四半期累計の営業利益は7.0億円(前年同期比10.5%増)で着地。WEB主体のマーケティング戦略、メニュー改定が奏功し、基盤事業である銀のさらの売り上げが好調に推移したことなどが寄与した。販管費においてWEB注文強化への広告宣伝費などがあったにもかかわらず、しっかりと2ケタ増益となった点を評価したい。株価は1月安値(1,167円)付近で下げ渋り、5日移動平均線に続き、25日移動平均線も上回ってきた。底入れ確認には至っていないが、リバウンド狙いでも十分な利幅が得られそう。昨年6月の急騰直前の水準まで調整が進んでおり、中長期的にも買い場になる可能性もある。ターゲットは1,550円、ロスカットは1,150円 | |
9039 | 7,770円 | 6,620円 | 2/26付けの日本経済新聞では、「引っ越し難民多発懸念」とのタイトルで、代金過大請求のあったヤマトHD傘下企業の引っ越しサービス受注再開が4月以降になることを報じている。記事内では人手不足が深刻化する中、利用者が繁忙期を避ける自衛策を取った結果、サカイの1月の引っ越し事業売上高が前年同期比で11%増えたことも取り上げられている。 同記事が刺激材料になり、2/26の株価は大幅高。その後も堅調だ。2017年10月高値(6,740円)以降の長いもみ合いも上抜ける格好となっており、上値余地は拡大した公算が大きい。直近の信用倍率は0.43倍と低水準で、テクニカル、需給の両面で上値が軽くなる展開を予想する。ターゲットは7,770円、ロスカットは6,620円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証上場銘柄で2/27現在、時価総額が3,000億円以下、PBRが4.0倍以下、PERが45.0倍以下、株価が10日移動平均線を上回っている中から、業績面や話題性、材料性などを総合的に考慮 してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
- ※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。